27 ようやくひとまずの情報交換は終了した
それにしても驚愕の連続だったな。
万眼鏡だけでも高性能でこれさえあれば、なんでも鑑定できちゃうから、今後人に騙されることもないなと安心してたんだが…。
無限収納印籠も便利だ。
…問題はこの無限収納印籠という魔道具と現代のハイテク情報ツールであるスマホを融合したことにあるんだと思う。
今やどんなスマホにでも入っている検索エンジン。そしてそれに付随しているAI。
問題はこの辺なんだろうな。
融合することによって、魔道具としての高速化、高効率化。
そしてさらに万眼鏡と情報リンクすることで『知識』が『知恵』に変わった。
それぞれ単体だとそれぞれが『便利な道具』の範疇に収まっていたんだけど。
道具が知恵を持つと恐ろしいことになるって実感してる。
いつか人類がコンピューターに支配される時代が来るなんて言われてたけど、目の当たりにしちゃったよ。
思い出しても震えが来るけど、もう少しで世界征服を始めるところだった。
そんなの面倒で、大変なだけ。俺の身には余る。
俺は俺の周りの環境を守れて、楽しく過ごせたらそれでいい。
自分が食うだけの畑仕事でものんびりしながら、趣味で陶芸やガラス細工なんか始めて、畑の真ん中にある創作工房で好きなもん作って暮らす。
こういうのが夢なんだけどな。
なんかここ数日で大きく逸れていってる気がする。
明日伏見のおばあさんのところに行って何か解決するのかね。
…してほしいな。切実に。
とりあえず最優先事項は日本での生活の確保だな。
仕事できなくなっちゃうから金も確保しなきゃいけないし。
前途多難ってこういうこと言うんだろうな。
…もう寝よ。切りね~や。
翌日目覚めると、見知らぬ金髪の女性がベッドの横に入っていた。
俺はびっくりして、ガバッと起き上がり「誰?」と聞いた。
目を見開いたままこっちを見てる。怖え~よ。誰だよこれ。昨日酔っぱらって誰か連れ込んだとか…。いやいや、無い無い。昨日は情報整理で疲れてバタンキューだったはず。
「おはようございます、京介様。私は京介様の秘書としてサポートさせていただきます、情報端末タブレット『レティ』でございます。以後、よろしくお願いいたします。」
な…なん…。
「なんで裸なんだ?」
「愛お姉さまが『お約束』だと申しておりましたので、このような姿でマスターが起きられるのをお待ちしておりました。」
あの野郎…。碌なこと教えやがらねーな。
「いいから服着ろ。そして布団から出てくれ。」
「了解いたしました。」(チッ)
…この子も少し変だぞ。今舌打ちしたよね。にこやかに笑いながら。したよね。
レティの体の表面が光りだし、パンツルックのビジネススーツ姿となった。
「改めまして。よろしくお願いいたします。京介様。」
この娘、何事もなかったようににっこりと笑ってお辞儀したよ。
こんなのばっかりか?
せめてあと一人、残りの輝乃だけは普通であってほしい。
(チッ)
また舌打ちしたよ、この娘。
表情はにこやか、さわやか系の美人なんだが、どっか黒いよね。
「それでは本日のご予定を確認させていただきます。本日はこの後朝食を済ませ、伏見稲荷大社まで出向いていただき、『猫又のおばば』様、あやかしの方々と会合がございます。その際、私レティと、愛、輝乃が同行させていただきます。ご予定の変更はございますか?」
「…う~ん。今日は一日、買い物に出かけたい。9時になったら近くのスーパーが開くから、そこで買い物して、あと飯食ってそのあと時間があれば伏見稲荷に向かおう。だめなら明日ってことで。」
「かしこまりました。それではご朝食の準備ができておりますので仕事部屋のほうにどうぞ。」
俺はうながされるまま、仕事部屋に向かった。
机の上にアイスコーヒー、トースト、サラダ、ベーコンエッグが並んでいた。
「へー。料理できたんだ。じゃあ、さっそくいただきます。」
俺はトーストをかじり、アイスコーヒーを口に含んだ。
「ところで京介様。私の身体はいかがでしたでしょうか。」
ぶーっッとコーヒーを吹き出してしまった。
こいつ、俺がコーヒー含むタイミングを狙ってやがったな。
小さくこぶしを握り締めてガッツポーズしてやがる。
「京介様の深層心理を深く検索させていただいたところ、このように胸は大きく、腰はくびれ、お尻は小さい女性が好みだと判断し、このように致しました。どこかご不明やご不満な点はございませんでしょうか。」
…こいつ絶対性格悪いぞ。
愛にしても突っ込みどころ満載だし。
でも、よく考えてみたら、こいつらの人格ってもともとは俺の人格の模倣から発展してるんだよな。
…そう考えたら、確かに俺ってこういうことするわ。
これこそ自業自得か。慣れるまで我慢しよう。
「何も不満はない。不安はあるけどな。ところで愛はどうした?」
「愛お姉さまは本日はまだ人化されておりません。お呼びいたしますか?」
「いやいい。とにかくこれ食って早いとこでかけよう。」
俺はレティを警戒しながらも朝食を済ませた。
油断するとすぐ仕掛けられそうだ。




