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人の姫は魔王に恋をする  作者: 青留 なる
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0.プロローグ

ちょっとした実験も含め、青留あおと なるです。

おもしろいと思っていただければ幸いです。

「キャ――――!!!」


 甲高い子どもの声が鳴り響く大きな城。

 声の正体は――人間の姫。


「姫さま!?」

「姫さま!!」


 侍女とメイドが恐怖によってなのか魔法によってなのか。とにかく、気を失った状態で黒い影にお姫様抱っこをされる姫を見て黒い影に向かって叫んだ。


「ソフィー!」

「ソフィアちゃん!」


 そう姫の名前を呼ぶのはソフィアの両親であり、この国の国王と女王。

 姫の寝室の一つ下の階におり、王たちの寝室のテラスから姫の名を呼んでいる。


「くッ……」


 この国で最も高い場所、姫の寝室に勇者が着いた。


「姫を返せ! 魔王!!」


 黒い影の正体。

 それはこの世界を脅かす魔族の中の王、魔王であった。


「フハハハハハ! 人の姫はいただいた。勇者よ。返して欲しくば、我が城、魔王城に来るんだな!」

「魔王さま。転移します」


 魔王が笑い続ける中、そう魔王の部下が言い「待て!」と勇者が柵を飛び越え、手を伸ばした。

 だが、その手が魔王に届くことはなく、難易度が高いとされる転移魔法によって逃げられてしまった。


「くッ!」


 空中に飛び出した勇者は一つ下の階のテラス、王たちの寝室のテラスに着地した。


「ノア……勇者…………」


 目の前で娘を、しかもこの世界で一番邪悪とされる魔王に連れ去られた国王の瞳に光はなかった。


 名前を呼ばれた勇者・ノアは唇を噛み、放った言葉は「誓います。これから王女ソフィアを助けに行き、魔族の手から解放すると!」


「誓ってくれるか……」

「……スミス、ドライアンド、ガルシア、リー、ヴォーカー」


 女王は五人の名前を呼んだ。


「この五人はソフィーが鍛えあげてきたわ……一緒に行って必ず貴方の助けになります」


 女王は一足遅かったが後ろに集まってきた者たちの名を呼ぶ。


「姫に救われた命。命に代えてでも救い出して見せる! 勇者・ノア。これから頼む。ルカだ」


 青髪青眼の青年、ルカ・スミス。


「ここで名前を呼ばれてハイ以外の返事ある? ノアくん。マシューだよ。よろしくね!」


 白髪に右が赤眼の左が緑眼の少年、マシュー・ドライアンド。


「ボクで……助けられるなら。よろしく。ルークだよ」


 水髪黄眼の少年、ルーク・ガルシア


「カッコいい俺様が、カッコよく助ける以外の選択肢は――否! ジョシュアだ。よろしく勇者どの」


 金髪緑眼のジョシュア・リー


「ウチ、ソフィアにはたっくさん助けてもらったんや。ココや。よろしゅうな? 勇者サン?」


 赤髪赤眼の狼の獣族の少女、ココ・ヴォーカー。


「……俺は、勇者と名ばかりだ。だが、姫が鍛え上げたというなら心強い。ノア・テイラーだ」


 勇者は五人と握手を済ませ、テラスから国全体を見渡す。

 城の前には姫がさらわれたと聞きつけた市民達が城の前に集まっていた。


 ソフィアは市民からもいい印象だったため、心配をする声が沢山上がる。

 市民の方に体を向け拳を作った右手を胸に当て、

「勇者・ノアは王女・ソフィアを助けに行く旅へ向かいます!!!」

 そう、国の人にも誓った。


 そう声を張り上げると、市民からは「どうか、姫さまをお助けください!」「勇者さま、よろしくお願いします……」と言った声が上がる。

 誰もが願っていた。姫が無事であること、乱暴されていないことを願っていた。



               ()()()()()()()()()――――――――――


「…………面白くなりそう」

 そう言った人物は、ペロッと唇をなめた。

直し済み

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