第一章 唸れ真黒の欲望
こんにちは。永井健作です。『Venom Desire2』始まります。
『Venom Deisre』(1)を読んでからの閲覧を推奨します。
よろしくお願いいたします!
それから僕たちは、バロロさんのことを手伝った。基本的にはバロロさんが魔法巨大モニターで調べて、僕たちはそれをまとめる係だった。……正直、僕たちは力になれているのかなって思ったけど、
「……一人じゃないってだけで、こんなにも違うんだね」
バロロさんはそう言った。それを聞いて僕たちも安心した。
正直、バロロさんは無理をしていた。グリザイユくんが心配なのはみんな同じだけど、副リーダーとして責任を感じているんだろう。夜通しで作業していたみたいで、サラリと前髪が揺れて時折見える目には、濃くクマができていた。
そして。
「……もう二十一時じゃん!」
ミライ・ユくんがそう言う。時計を見ると、確かにそうだった。集中しすぎて、誰も気づかなかった。
「……晩御飯を食べないと。基礎的な生活はしっかりしないとね」
「いや、徹夜してるバロロ殿のセリフではないな」
キアロくんがツッコミを入れる。あはは……!と皆で笑う。
それから僕たちは皆で晩御飯を食べて、お風呂に入って寝る準備をした。
「じゃ、今日は解散ということで」
バロロさんがそう言って部屋に戻ろうとする。が。
ガシッ!
僕がバロロさんのコートの端を掴んだ。
「おっと?」
「バロロさん……また徹夜するつもりでしょう?」
心配そうな目でバロロさんを見つめる。
「……いや?今晩はさすがに寝るよ」
「……信じられません」
「はは、困ったな」
バロロさんは困ったように笑う。
「……確かに、今日も夜通し調べるつもりだった」
「やっぱり!」
僕はハア……とため息をつく。そして。
「……今日は、僕の部屋で皆で寝ませんか?さっき、皆と話していたんです。バロロさんを寝かせるために……」
バロロさんは驚いたような顔をした。
「……お泊り会ってことかい?折角だけど、私はいいかな」
「……これは、ボスの弟としての、命令ですっ」
真剣な目でバロロさんをじっと見つめる。バロロさんは困っていたが、
「……はあ、分かったよ。カゲエご令弟。一緒に寝ようか」
諦めたようで、そのまま今夜は皆で僕の部屋で寝ることになったのだった。
◇
床に布団を敷いて、皆で寝ころぶ。その晩は皆でいろんな話をした。好きなアニメあるー?とか、好きな色何ー?っていう基本な話から。僕はグレー、ミライ・ユくんは青緑、キアロくんは白、トロンプくんはオレンジ、バロロさんは紺だって……まんま本人のイメージカラーで、笑ってしまった。……グリサイユくんなら、きっと赤!と元気に答えるだろうな。そう思った。
「……そういえばなんだけど」
なになに?と皆が聞く。
「……グリザイユくんのことなんだけどね」
一瞬、部屋が静かになる。でも、みんな真剣に聞いてくれた。
「グリザイユくんの血……真っ黒だったよね?」
一昨日の光景を思い出す。
「グリザイユくんも人間じゃない種族なのかな?」
疑問を皆に聞かせる。
「そういえば……そうだなあ。黒かったな」
「血が黒い種族なんて聞いたこと無いな……天使の血は薄いピンク色だそうだが」
「……そのことについて、丁度詳しく調べてたところさ」
皆バロロさんに注目する。
「ところが……〈黒い血の部族〉、情報がかなり少なくてね……。まるで、誰かに消されてしまったみたいに、全然出てこないんだ」
「……それは不可解ですね」
昨日グリザイユくんと会った時のことを思い出す。
「そういえば……グリザイユくん、故郷?のことを話し出した瞬間、すごく苦しそうに悶えてた……なにか、関係があると思う」
「グリザイユくんの故郷、か……」
皆考え込む。
「そういえば、この前海に遊びに行ったとき、本当に少しだけだけど家の話をしていました……!親と大喧嘩して、その時に狂桜を盗んできたんだとか。狂桜は、グリザイユくんの家に代々継がれる刀なんだとか……」
「……やはり、狂桜の謎も大きいね」
皆で話をまとめる。
「情報の少ない黒い血の部族、代々伝わる喋る妖刀、親と大喧嘩、故郷……」
「やっぱり、出生が関係ありそうだね」
うん、と皆でうなづく。
「……明日は、この世にいる部族について詳しく調べてみようか。全部の部族を調べつくすから、かなりの根気がいると思うけど……ま、心配はなさそうだね」
バロロさんの言葉に、みんな真剣な顔でうなづく。グリザイユくんを救うことに関係があるんだから、当然やるに決まっていた。
そしてその日は皆でおやすみをして寝たのだった……。
たとえ真黒の欲望が、運命を蝕んだとしても——この決意は、変わらない。




