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第82話 真夜中の交戦


ヘリオスの村へ戻る途中、雷轟かと思うほどの音が鳴り響いている。

それが何度も何度も向かうヘリオスの村から聞こえて来る。

そして戻って来たヘリオスの村上空には、恐らくさっき俺たちが見た魔物の大群が空を舞う。

半円球のシールドに魔物が攻撃をしている様子が見られる。


「シン! 魔物がヘリオスの村を襲ってるわ!」


「見れば分かる! 行くぞ!」


上空から魔防壁を攻撃している魔物たち。その衝撃の波が村の入り口にまで微かに届く。

メアが魔防壁をそうっと手を近づけて触るがすり抜ける。

魔防壁は人間には意味がない。ラングレッドによると一部の人間ーー悪しき者を妨げる魔防壁も存在するようだが、あっさりヘリオスの村に入れたことをみると俺たちは違った。


「君たちは! どうして戻って来た!?」


面識はなかったが、ヘリオスの村の住人が俺たちにそう言った。


「どうもそのまま行く気になれなかったものでな」


「くっ! 馬鹿な子達だ! ーーアイツらは、夜いつもヘリオスの村を襲いに来る魔物。しつこいなんてレベルじゃないぞ」


上空へ目を移すと一向に攻撃の手をやめない魔物たち。数は……40、50体以上いるだろうか。


「何故、アイツらは村を襲っている?」


「……それは」


言葉を詰まらせる男。

魔物が人々を襲う、そこには何の理由もない。

魔物は誕生した時から人間を襲う遺伝子を持っており、そもそも理由なんて存在していない。


ただ、そう何度も魔物がヘリオスの村を襲いに来るというのは、いささか疑問を感じる。

殺し損ねた人間が其処にいる。魔物の執拗さは俺も痛いほどに分かってはいるが、この数は異常だ。


そして、魔物の中でも一際目立つ二体。魔物たちが魔防壁を攻撃しているよりさらに上空で翼をゆっくりと動かす。


「エルン! 何してる!? 早く来い!」


「ああ分かってる! 君たちは早くこの村から出るんだ!」


そう言ってエルンと呼ばれた男は来た男と行ってしまった。


「どうする?」


「どうするも何も、行くしかないだろ」


「セシル、出番?」


セシルがニヤニヤしながら言う。


そして。


行こうとした。


その時だった。


ちょうど、魔物の群れが集まっているところに空高く光の柱が真っ直ぐに立ち上る。

それに触れた魔物は悲鳴を上げて消滅する。

それがさらにもう一本、天に向かって立ち昇る。

魔物の群れが避け、散々する。


急いで騒ぐ方へ行くと、ヘリオスの村の住人たちが弓らしきものを持って放っていた。


「あなた達戻って来たの!?」


クレアが俺たちに気づく。


「状況はだいたい見て分かる。俺たちに出来ることなら協力する」


うんうんと頷くセシル。


「……協力ったって、これは私達ヘリオスの村の問題。部外者であるあなた達には関係のないことなの。ーーだから」


「だから何!? 部外者だから出て行けって!? 私達、そんなに嫌われてる!?」


「そ、そう言うわけじゃないの。これには深い理由があって……」


深い理由。

魔物が人々を襲うのに理由なんてあるのだろうか。

人間を食う殺す、それ以外に脳のないやつらに理由なんて存在しない。


「だったら、その深い理由とやらを聞かせてくれ」


「……それは」


話したがらない、秘密にしたがる。

そういう時、人は視線を合わせようとしない。

だが、今のクレアは俺の目をじっと見つめている。

何かを隠している、言いたいが言えない。そう思わざるを得ない。


「分かった。理由は聞かないでおこう。その代わり俺たちは俺たちでやらせてもらう」


「話したくなったらいつでも言ってよね!」


「よね!」


セシルがメアの言葉の末尾を真似て言った。


そうして、人々が集まる付近に行くと、武器を持たないと聞いていたはずのヘリオスの村の住人が武器を持っている。

初めて見る武器だ。


「俺たちも戦おう」


「戻って来てくれたのですね! ありがとう」


てっきり、また何で戻って来たなんて言われると思っていた。


「感謝するのは後よ! このままじゃ、アイツらこの村に入っちゃうよ!?」


雷轟のような衝撃音がまた始まり出した。

魔物は火を吹き、氷を放ち、尾で叩き、魔防壁に向かって体当たりする奴までいる。

本来魔防壁は魔物が少しでも触れれば、触れた魔物にかなりのダメージを与える。

だが、それも大多数の人間により構築された国や街の魔防壁に言えること。

現に、今このヘリオスの村を襲っている魔物たちにはそれほどダメージがないように見える。


「だからこうして抵抗しているのです! 魔物の侵入はこの村の恥! 入れはさせません!」


女は手を合わせ、引き延ばすように離す。

するとそれぞれの手の中心から光の線が向い繋がる。

弓とは言い難いが少し感じが似てはいる。

そして傾いている上の方の手を握ると下側の方から光の球が瞬時に移動。

女性は狙いを定めるように魔物に標準を合わせ、握っていた手を開ける。


高速。

文字通り放たれた高速の光球は狙ったであろう魔物に直撃。消滅はしていないが、ダメージは入ったようだ。

光球が直撃した魔物は上空で動き回る。


「変わった武器だな」


「これは私達ヘリオスの村の人間しか扱えないもの。使徒の矢と言って、ヘリオスの村に住む人間だけに許された力」


そう言って再び光球を放つ。


そんな使徒の矢を他のヘリオスの村の住人たちも放っている。


だが、それでも一向に攻撃の手をやめない魔物の群れ。

こんなことがいつも起こっているのか。

小さな戦。


いや、戦に小さいも大きいもない。


俺たちに出来ること。


メアは既に自らの長剣を抜いている。

セシルは準備運動中。


そして俺も、宝剣アスティオンを静かに抜いた。


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