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第244話 光の勇者、参戦


まずは観察眼による魔王のステータスの把握。だが、表示されない魔王のステータスはメアたちも同様だった。

魔王は魔物や魔人とは違う、別格の存在だということは明らかだ。ただ、ステータスに関しては魔人も観察眼には表示されない。


ラピスは能力を発動し、俺たち全員のステータスの上昇。

メアは氷虎に撃技を纏わせ向かわせる。

テールは金赤の矢を連続で放ち、セシルは高々と飛び上がり蹴りの態勢。

それらに加えて俺は攻迅斬波、絶空を撃技+6を纏わせて放つ。


手応えはあった。


セシルが白煙から跳び出して着地する。

白煙は空気の流れに沿うように下へと流れていく。


「ーー我相手に臆すことなく向かって来るとは……。初手からの連携プレイ、見事じゃ」


だが、戦闘前と変わらずその姿は健在。


「よく言う。それで石柱の間でも俺の斬撃を防いだんだな」


石柱の間で現れた時、攻斬波を止められた。

見えはしないのだが、白煙を遮るようにしてある壁のようなものは魔王を囲うようにしてある。


「ーー絶対領域。魔王のみが身に付けることを許される、このフォリスモスの王冠によって、お主らの攻撃が我の元に届くことは永劫不可能。何人たりとも我に傷を付けることは許されぬ」


魔王は身に付けるフォリスモスの王冠を軽く持ち上げながらそう言う。

なるほど、魔王が余裕を見せる理由の一つがそれか。魔王自身も恐ろしく強いだろうが、それ以前の問題だな。


「そんなの倒しようがないじゃない! 卑怯よ!」


メアは相手が魔王でも関係なしだな。


「娘、言葉には気をつけよ。二度はないぞ」


メアは顎を引き、長剣を握り締める。

相手が相手だけに、言葉一つで何しでかすかわかったものじゃない。

魔王が言葉を発するたびに重い空気が飛んで来るのが感じられるのは、その存在が故に為せることだろう。

だが、ここで臆していても何も始まらない。

討伐することで一体どれだけの人々が救われるか。それを考えただけでも俺たちが今この場にいる意味の大きさが分かる。

アリス王女に魔王の城の秘宝を盗んで来てほしいと頼まれ、最終的に行き着いたのは魔王との対峙。

一体何人もの勇者がこの城に辿り着き、そして散っていったか。

目に見えなくともこの場に感じるのは、そんな者たちの魂の叫びだろう。


「俺がやる」


たとえ、絶対領域なんていう壁があったとしても、引けない時くらい俺にだって分かる。

夢幻斬ーー。


「我の言葉を聞いておうたか? 我がフォリスモスの王冠を身に付ける限り、たかが勇者1人の攻撃なんぞ効くはずがなかろう」


「うるせえ。そういうことはこの技を受けてから言うんだな」


「やれやれ、揃いも揃って愚か者共め。ーーじゃが、今ここで引いてこの城を立ち去るというのなら我は何もせずにお主らを見逃そう」


「そんなの嘘! ……です」


そう、ですと小さく付け加えながらもラピスは言い切った。


「セシルたちは帰らない!」


「お、俺はどっちかと言えば……そ、そうさ! 帰らない!」


本当は帰りたい、そう言いいたかったのだろうが、視線を感じたようでそう言った。

ラピスがテールの言葉を聞いて頷く。


「私だって同じよ! それに、元から見逃す気なんてさらさらないんでしょ!?」


「娘よ、言葉には気をつけよ。二度はない、とそう言うたはずじゃ」


「何!?」


魔王が指を向けた瞬間、真っ直ぐにメアに向かって黒い光が放たれた。

黒い光はメアの体を侵食するように広がっていき、瞬く間に彼女を硬直させた。

そして次に魔王が手を真下に向けると、メアを下から持つように黒く魔物のような巨大な手、まるで龍のような手が出て来た。

その手はメアを掴んだまま、握り潰してしまった。




「うそ……だろ……」


魔王を強く睨む。

仲間が死ぬことがこんなにも堪えるなんて……


「そう悲観せんでも、お主らもあの娘と同じ運命を辿ることになるんじゃ」


今まで共に長い旅をして来た仲間がそんな軽く一瞬で……


夢幻斬!


夢幻斬は予想通り魔王の直前で遮られてしまう。


「諦めが悪い奴よ。……なんじゃ? ーー!!!!!」


夢幻斬は遮られた、が、直後起き始めたのは魔王を囲う見えない壁の崩壊。

崩壊した壁は遂に夢幻斬を通し、魔王本体に直撃した。

手応えありだ。


「やったわ!!」


そうどこからか声が聞こえた。


「メア! 無事だったのか! ……お前」


白い仮面を付けた羽衣を着た者。

隣にはメアがいる。


「危機一髪だったね。俺が来なかったら彼女死んでたよ?」


「ああ、恩に着るよ」


本当に感謝しかない。

白い仮面を取ったその顔には痛々しく斬られた跡があるのは、奴、ジバルドとの戦闘の跡だろう。

魔物撲滅本部の勇者であり、元魔王軍側にいた勇者の1人、アルギナがそこにいた。


「ーーアルギナよ、お前がいつか裏切るのは等の昔に知っておうた」


やっぱり生きていたか。

まあそうだろう。あれくらいでやられるような相手ではない。


「ならなんで俺を魔王軍に入れて置いていたんだよ?」


「なあに、ただの暇つぶしじゃ。勇者が我ら側に寝返るなんぞ、我からすればただの余興に過ぎん」


「そんな余興に出し抜かれた今の気分はどんな感じ?」


「口を慎むんじゃ。人間の娘1人の命なんぞ、いつでも奪い取れる」


魔王がアルギナから視線を移したのは俺。

魔王は身に付けるフォリスモスの王冠を手に取る。


来るか。

そう思った時、魔王の周囲に黒い渦が立ち込めていく。

ややあって黒い渦が消えていくと、黒翼を生やした先ほどとは違った姿がそこにはあった。


「気を付けることだね。ああなった魔王は、少なく見積もっても地獄の使徒を束にしても遥か上をいく」


「忠告どうも。それよりお前も俺たちと戦ってくれるのか?」


「そうしたいのは山々だけど、俺は手を出さないでおくよ。敵はまだ、魔王だけじゃないようだしね」


そう言うように、魔王の後方から1体の魔人。今までの魔人とは比べ物にならない圧を放っている。


「ーームナシイナ。ワレワレ二タテツクニンゲンガ、タッタノコレダケトハ」


「そう言うなサタナキアよ。次期、魔王候補のお前の力を存分に試すにはうってつけじゃ。何せ我のフォリスモスの結界を破ったのだからな」


サタナキア、そう呼ばれる魔人には前に向く二本の角があり、他の魔人と同様に両翼もある。違うのは武器を持っていること。


「……エティネル、ソレハナンノジョウダンダ?」


魔王はこの通りというように、フォリスモスの王冠を再度身に付けて見せる。


「次期魔王候補のお前に受け継がせるつもりじゃったが、この通り使い物にならぬ」


「……ヤブッタノハダレナンダ?」


魔王がスッと指を上げた瞬間、サタナキアの鋭い眼光が俺に向けられて圧の壁が押し寄せて来る。

サタナキアは大鎌を手にし、三日月型の斬撃を放った。悲鳴のような音を上げる斬撃は大気をも歪曲させる。


「……ジャマヲ」


だがその斬撃は俺に届くことなく、一つの斬撃によって相殺された。

見たことのあるシルエットだ。


「お前……」


「また会ったね。ここまで来るなんて凄いじゃないか。ーーだけど、ここは僕らに任せてもらおう」


大剣のような大きさであるが長剣のように細い十字の剣。

宝剣ルークス所有者、魔物撲滅本部の勇者、クランの姿がそこにはあった。


「後から来てそれはないな。魔王は俺たちが倒させてもらう」


魔王がまだ大きく動かないうちに早々に討伐したいところだが、そうもいかないか。

それに魔王だけじゃない。


「ワラワセルナ。ワタシヲマダタオセテイナイトイウノニ、サラ二ソノウエ二タツエティネルヲタオセルハズガナイ」


「正論だ。ーーだったら僕とアルギナがお前の相手をしよう。君たちはそれまで魔王の体力を削っていてくれ」


なんか、その言い方は気になるな。

が、そんなこと気にしてる場合じゃない。


「話し合いは終わったようじゃな。我からすれば死期の差が少し遠のいただけじゃ。この場にいるお主らは全員黄泉へいく。最期の最期に我の相手が出来ることを光栄に思うことじゃ」


魔王から感じる絶対的自信。絶対領域を張っていたフォリスモスの王冠が使えなくなってしまったとしても消えることはない。

アルギナやクランが来てくれたことで戦場は俺たちにプラスになったが、まだ見せない魔王の力の前に対するは2人を除く俺たちのみ。

俺たちが魔王を討伐するか、それともされる側か……否! “魔王討伐”、それを勝ち取り俺たちはこの城を出る!


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