第23話 リサ
ついに、、この日が来てしまった。
人生最大の難関。
お姉様に、ご挨拶の日。
仕事終わりに和希が迎えに来てくれて
一緒に行く事になった。
北風が私に冷たく当たってくる。
こういう日は、どういう服装で行ったら
いいんだろう。
いつもリサの家に行く時は、
だいたい、ダル着。
さすがにダル着はあかんよな。
普通の服?
特別な日なのに、普通でいいのかな。
かしこまった服?
よけい緊張する。
一応、ちゃんとした手土産は買った。
お姉様の好物。
遊びに行く訳じゃないから、
オシャレをしていくのも、何か違う気がする。
決めれない。。
きっと和希は作業服だろう。
あ!和希がオソロで買ってくれた服にしよ。
ユニクロのロンT。
ダル着でもなく、かしこまってもない。
そこまで気合入った感じもなく、
調子乗ってるオシャレ感もない。
この日の為に買っておいたかのような
しっくり感があった。
それに、お守りみたいで、
着たらちょっと落ち着いた。
よし。コレにしよ!
ネイビーの綺麗めのパンツで
小綺麗な感じしていこう。
−−−−−
17時。
和希の仕事が終わる時間。
和希にもらった
ブレスレットと指輪もして
私の準備は整った。
「終わったよ~今から迎えに行く」
「お疲れ様〜ありがとー待ってる〜」
10分くらいで来れる距離。
なのに、時計は17時半をさした。
「まだ?どしたん?」
って送ったけど、既読に鳴らない。
何かあったのかな?
緊張して事故った?
まさかのブッチ?
待ってる時間がとても遅く感じた。
電話をかけようとした時、
「もう着く」
と返信が来た。
ヨカッタ。
こんな日に、不安にさせあがって。
「お疲れ〜」
と言って車のドアをあけた瞬間、
「え?」
2人の声がそろった。
同じ服。
「作業服は、あんまりかなーと思って
着替えに家寄ってた」
「だから遅かったんやー。心配した」
「ごめん。急いでたから携帯見てなかった。
てか、オソロやん。笑」
「私、着替えるわ。いや、でもこれに決めるまでも
3時間くらいかかったんやけど。」
「えーっ、じゃあもうこれで行こ!
3時間も待てやん
6時くらいに行くって言ってあるし」
「でも、恥ずかしくない?」
「そりゃ、、恥ずかしい。笑」
「しかも、和希も下ネイビーやし」
「上下一緒て、キモない。笑」
「めっちゃな。笑
ま、いいっか。ワンチャン気付かれやんかも?」
「そやな。俺、黒の服いっぱいあるし。」
いや、気付くやろ。
と心の中では思ってた。
結婚の挨拶にペアルックで行くカップルが
いるのだろうか。
−−−−−
ドキドキする。
和希が手を握ってくれた。
「緊張する?」
「過去1。和希は?」
「俺も。お前のがうつった。」
「何て言うか、練習してきた?」
「考えてはきたけど、、今、全部忘れた」
「えーー手に書いとけば良かったのに。笑」
「手汗で消えるわ」
「確かに。ベタベタする。笑」
と冗談で言ったら
繋いでた手を離して、スボンで拭いていた。
可愛い。
「うそ」と言ってもう1回手を繋いだ。
あっと言う間に、リサの家の前。
「大丈夫?」
「全然大丈夫じゃない」
「大丈夫。俺が全部言うから。
真子は後に隠れとけばいい。」
「うん。最初からそのつもり。笑」
「よし!行こか!」「うん」
気合を入れて、車のドアをあけた。
こんなに緊張して友達の家に行くのは
最初で最後であって欲しい。
−−−−−
「お邪魔しまーす」
なるべく明るく言った。
「は~い。あがって〜」
リビングのドアをあけると
ニヤニヤした夫婦が待っていた。
「えーーいきなりペアルックとか
まじてやめて。笑」
一瞬で気付いたリサが笑いながら言った。
「喧嘩売っとんか!笑」
シンも笑ってつっこんだ。
「真子が勝手に真似した。笑」
えーーーーいきなり裏切られた。
卑怯者め。
「ちゃうって、和希が着替えてくるなんて
思ってなかったし。本当に、たまたま」
「作業服でくるつもりやったけど、
今日めちゃ汚れたから、本当はたまたま」
「はいはい。たまたまな。
仲がよろしい事で。」
リサが軽くあしらう様に言った。
恥ずかしかったけど、
オソロの服のお陰で、出だしがその話題になり
ちょっと緊張がほぐれた。
−−−−−
「とりあえず、座れ〜」シンが言った。
「・・・いや、座る前に、、
2人に大事な話があります。」
と突然かしこまった。
2人が手を止めてこっちを見た。
せっかく和んだ雰囲気が
和希の一声で、一気に緊迫した。
緊張した声で、和希が話始めた。
「俺、この前、真子にプロポーズしました」
「え!いきなり?」
リサがビックリして口を挟んだ
「うん。俺の気持ちは固まってたから。
でも、真子もいきなり結婚は、、
って事で、とりあえず、結婚を前提として
お付き合いをしてくれる事になりました。
俺は、ずっと前から真子の事が好きで、
でも自分の過去とか、リサと真子の事とか
色んな事を気にして、
ずっと自分の気持ちを抑えてきたけど、
ある事がきっかけで、
このまま何も言えないまま
誰かに真子を取られるのだけは、嫌や。
て思った。
もう2度とそんな思いはしたくないし、
後悔もしたくない。自分にも負けたくもない。
って思って、
もういい加減、自分に正直になる事に決めました。
そう思わせてくれたのは、真子。
また人を好きにならせてくれたのも、
俺の人生を救ってくれたのも、真子。
俺を成長させてくれるのも、
これから一緒に生きて生きたいのも、
全部、真子。
こいつ以外は考えられやん。
(手をぎゅっと握ってきた)
だから、前にも言ったけど、
もし反対するなら、俺は家族の縁を切って、
家出てく覚悟はできとるし、
もし、万が一、真子に何かいやな事したら
誰であろうと、絶対許さん。
俺は真子を一生守って行くって決めたから。
だから、お前ら、
これからは義姉妹として仲良くしてくれ。
以上。」
プロポーズされた時も嬉しかったけど、
今日の方が、何十倍も嬉しかった。
和希は、本当に純粋で、真っ直ぐで、
一途に愛してくれている。
それが十分に伝わった。
たぶんリサにも十分伝わってる。
「真子は? 和希でいいの?」
「うん。私も、和希がいい。」
「良かった〜。
私は和希がまた振られると思って、
そればっか心配してた。
どうやって慰めようって。
真子が和希の事好きなんて
1回も聞いたことないし。」
「それは、、お姉様には言えやんやろ!
でも、私もちゃんと和希の事好きやから、
大丈夫。安心して」
リサは涙ぐんで
「ありがとう。真子
和希の事、よろしくね」
と言ってくれた。
私もつられて泣きそうになった。
「俺は気付いとったけどな〜」
シンがニヤニヤして言った
「えーーーー」
私とリサがびっくりして声をあげた。
「思い出してみ〜
飲み会の時、2人を横に座らせたのも、俺。
一緒にタクシーで帰らせたのも、俺。
いつも2人をくっつけさせようと思って
頑張ってたんやで」
自慢げな顔をして言ってきた。
「あー確かに。言われてみれば」
自然すぎて気づかなかったけど、
何かにつけて、シンは2人にさせようとしていた。
そして、シンの思惑通りになってしまった。
「え、兄ちゃん、いつから?」
「そんなん、和希が真子を見とる時の
目を見れば、誰でも分かるわ〜」
「えー私全然気づかんだけど」
ブラコンのリサが悔しそうに言った。
私も気づかなかった。
「そんなに目がハートやったんや。笑」
と私は和希をからかった。
和希の顔がちょっと赤くなった。




