屋敷編.第二十一章 別館誘導計画
ーーー別館廊下 19日目 夜の20時頃ーーー
レピニア「レッサーお前先に逃げとったんちゃうんか…こんなむごたらしい姿になってもうて…。ん?
後ろで覗いてるお前。誰や」
???「あ、バレちゃった。」
レピニア「今は味覚を犠牲にしとるからな。お前の位置なんて嗅覚、視覚強化でバレバレや。常人の二倍
はあるからな。」
???「まあいいんですけど。レピ先輩はこんなところで何してるんですか?」
レピニア「ああ、イモーネか。こっちでうろちょろしてるってあいつから連絡があってな。
そんでレッサーと向かったんよ。したらやられてもうてな。あの二人めっちゃ強かったで。」
イモーネ「あ~なるほどです~。」
レピニア「それでやられて俺は捕まっとったんやがレッサーは途中で逃げたんよ。その部屋から。」
レピニアは近くの部屋を指さす。
イモーネ「ふむふむ。」
レピニア「したら逃げたはずのレッサーが部屋から出てすぐ右、突き当りの廊下で倒れててみたらやられとったんよ。」
イモーネ「ふむ。」
レピニア「じぶんから質問しといて随分興味なさそうやな。」
イモーネ「…はい?興味はありますよ。元々こういう性格なので。素っ気ないとかよく言われますがこれが私です。」
レピニア「そこまで我を通されると困るんやけどな…まあええわ。指示とかなんかでとるか?」
イモーネ「指示は出てないんですが、なんかシャトー様はすぐに戻ってこいって言ってました。」
レピニア「いやそれ指示やないかい。ひょっとして自分生粋のアホやろ。」
イモーネ「ひどい…ちょっと間違えただけなのに…アホって…」
レピニア(ちょっとどころではなかったんやけどな…)
「もう知らん。先もどっとるで。」
そういうと別館を後にシャトーの元に戻るのだった。
ーーーリリアン・シャトーの部屋(本館)ーーー
レピニア「ただいま戻りました。」
シャトー「お疲れ様ですわ皆様。レピニア様からご報告をお聞きしますわ。」
(相方がやられっちゅうのに冷静でいられん…恐らくシャトーの罠にかかったんや…もうわいはこいつに仕えるんは無理や…どうにかしてこの部屋を出ないとあかんけどどうにか出られる方法を…)
レピニア「はい。狐人を二人。別館で見つけましたが捉えられませんでした。透過できると思われる奴と魔導書を所持している奴を見つけましたがとんでもない威力の攻撃に耐え兼ねわいは負け、相方は逃げたんですが逃げた先の別の場所で死んでました。以上です。」
シャトーの部屋に集まったのは四人。レピニア、イモーネ、アレラ、カマン。パルミは子供でまだ早いとの判断で別室で過ごしている。
レピニア「相方が別館の穴の中に手を入れたまま座って壁にもたれかかって死んでいました。
これはなんかの仕掛けでもあったっちゅうことですか?」
シャトー「別館を担当していたとのことでしたら恐らく~………。飼っているスズメバチが原因だと
思いますわ。その穴は好奇心で手を入れていいところではないんでして。まあ私も伝えていなかったのは悪いと
思いますけども。」
アレラ「レピさんドンマイマイです~!元気出していきましょうよ!私たちは逃げたジーナちゃんと他
二人の狐人を確認して帰ってまいりました~!」
シャトー「誰か一人でも連れて帰って来たんですの?」
カマン「いいえ。連れて帰ってこれませんでした。裏切り者のジーナの技で苦戦しました。まさか
妹の能力を利用してくるとは。」
シャトー「言い訳は聞いていないのですわ。イモーネさんは?」
イモーネ「図書室には誰も来ていません。もし来たら排除いたします。」
シャトー「いい返事でして、では次の計画に・・」
と言おうとした瞬間、レピニアは足早に行動し部屋のドアをバン!と開けて部屋の外に出る。執事も別の場所にいたため予想外の行動に他の三人は呆気にとられつつも我を取り戻しイモーネとカマンは外に。
アレラは部屋の中にいて戻ってきても対処できるようにした。
ーーーU字型廊下ーーー
レピニアは執事が見張っていないことをいいことに向かって右側。屋敷的に大広間側の方に向かい助けを求めようとした。
レピニア「しめた!このまま大広間まで行ってとりあえずこいつらから身を」
その時、U字型廊下を出るための廊下にイモーネが先回りしていた。
レピニア「なんや。マーキングしとったんかい。」
イモーネ「はい。おとなしく戻ってください。」
レピニア「命令でもされたんか?」
イモーネ「シャトー様からは何も言われていないですけど普通逃げますか?捕まえないと殺されるのは
私たちなんですから。お願いですから戻ってください。」
レピニア「そこで塞いどると他の狐人が来てシャトーの部屋も割れてまうで?そうなったら困るのは
シャトーやろ。普段は鍵ではなく二段構えの部屋になってるから気付く以前に誰も入れんかったんやろうけど今はそうはいかんやろ。ほんまにどいてくれ。トイレに行きたくなっただけなんや。」
イモーネ「トイレならこの扉を通る必要はありません。私から見てすぐ右のそこの部屋がお風呂とトイレが併設されてますので使ってください。それと”シャトー様”です。頼みますよ先輩。」
レピニア「しゃあない…痛いやろうけど!」
と拳を握り殴ろうとしたが目の前にはいなかった。背後から近づく音。カマンだった。
カマン「先輩っ!何してるんですかっと!」
レピニア「なんやその拳。遅いなあ。」
カマン「遅いっていうなら受けてみてくださいよ!」
そういって腰を落とした形からの躊躇いのない拳で攻撃するもレピニアは平然としていた。
レピニア「自分らの能力は全部知っとるで。無駄な努力はやめたほうがええで。」
カマン「それはお互い様では…?」
レピニア「それもそうやなぁ!」
ー--シャトーの部屋ー--
アレラ「シャトー様~~~?捕らえに行かないんですか~?」
シャトー「いいんですの。なんとなくわかっていたことですから。それにしてもアレラ様は捕えに行かないでここで何を?まさか私の警護とは言いませんわよね?」
アレラ「いえいえ~!レピさんが戻ってくる可能性もあるの」
シャトー「あるわけありませんわ。」
強くアレラの発言を遮った。
「仮に貴方方全員を巻いてからわたくしに何かしらの攻撃をするにしても力量差がお分かりであると思われるレピニア様がそんな失態をするわけないからです。この世で最も愚かな生命は力量差が分からない者のことです。言い方が少々下品になってしまいますがお馬鹿さんだとしても裏切ったりしても常に暗い方でしてもわたくしは何もお咎めいたしませんし何も言いませんのよ。ただ挑んでくる相手には力量差が分かっているかどうかを重視していますので。」
そう長々と喋るとアレラは委縮してしまった。
シャトー「とりあえず計画に支障はありませんので、あの子たちにも計画を伝えるように。
いいですか。”別館に今本館にいる狐様達を誘導させる”ようにお願い致しますわ。
そうですね。今から48時間。明後日の21時までにお願い致しますわ。」
アレラ「既に亡くなっている者はどうしますか~?死体が腐るとお屋敷に影響が出ると
思いますけど~。」
シャトー「…その件に関しては問題ないと思いますので生きている者だけを連れてくるように。」
アレラ「は~~~い。お任せください~。」
シャトー「返事は伸ばさない。ですわ。」
ーーーその頃U字型廊下ではー--
イモーネ達はレピニアを捕らえる事に失敗し、2人居たにもかかわらず逃げられたことで怒りっぽい
カマンがイモーネを責め立てる。
カマン「ねえねえ!なんでさっき能力使ったの!!!」
イモーネ「能力使ってなかったら最初に逃げられてたと思うんですけど。」
カマン「二回目よ二回目!なに!?怖かったの!?」
イモーネ「男の人から殴られるの怖いんですよぉ。」
カマン「弱虫!ビビり!ばーか!シャトー様から怒られる事に比べたら幾分ましでしょうが!なんで
そんなことも分からないの無能!三姉妹だからもてはやされて何の不満もないくせにとか思ってるなら
言ってあげるけどね!三兄弟は真ん中が一番つらいんだからね!長女があんなん(馬鹿)だからとかも
あるけど真ん中にいるといろいろと比べられて辛いんだからね!」
イモーネ「私は一人っ子なのでそのような立場になったことがないから境遇が分かりません。」
カマン「相手の立場に立って物事を見れないような奴は皆そういうんだ。ムカつく。あーあ。
馬鹿、無関心、最低。」
イモーネ「で、で、でもなんて言ったらいいかわからなくて。正しい反応というかなんて声をかけたら
いいかわからなくて。」
カマン「もう、そういうしょげた雰囲気で来られるとこっちが萎える。正しい反応なんて求めてないし
人それぞれなんだから正解はない。女性は感情で喋る生き物なんだから、自分と話してる相手とで感情に
差異があると気づき始めるとだんだん萎えて疲れも吹き飛ぶんだから今のイモーネちゃん。正解…って!
何ジロジロ見てるの…」
イモーネ「はい…ごめんなさい。明日は図書室で見張りしてるのでなんかあったら連絡をお願いします。」
カマン「はいはい。分かったから…って!イモーネちゃんも行くの!!!!!(怒られに)」
カマンのことを良く知れてうれしいと思ったイモーネだった。
登場人物
レピニア
相棒であるレッサーを失い呆気に取られるもすぐに持ち直し、本館に戻った後裏切りを決意、シャトーの手から逃げている最中。
イモーネ(狩)
臆病で小心者の女の子。本を読むのが好きで図書室の見張りを任されている。
シャトー
相変わらず何を考えているかわからないシャトーだが…?
アレラ・カマン
今回はパルミだけ別室に置いていくと判断した。