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吸血鬼と踊る狐  作者: 八九味
本館編
21/62

第二十章.乙女の苦悩

アカエイ「何も…ないですね…」


ー--フォル行方不明から三日目の午後20時ー--

 おかしい、あるはずの屋敷がそこにない。正確に言うならユーキという子から聞いた情報を元に聞いていた情報と…というよりわかっていたはずだ。ここに”何もない事は”。

フォルメス「見張るって話じゃなかったっけ?」

アカエイ「3時間は見張りました。ここからは散策する時間です。」

フォルメス「てか僕達さ。”分かってたはず”じゃん?

ここの森は元々狐族達が狩をするためにそのまま残してあって他の動物たちの住処を

脅かさないように…ってさ。おかしいよね。なら昔から僕たちはそれを知っていたはず。」

アカエイ「そんなの知りませんよ。立ち入り禁止の立て看板の奥に屋敷があったってだけじゃないですか。」

フォルメス「過去にそれを破った人が一人もいなかったのかな?あの子供たちは好奇心のままに

行った結果連れ去られたと。そもそも連れ去られたってのがこの孤島でおかしな話なんだよ。」

アデク「フォルメスの話も一理あるな。過去に破った子がいないとも思えないし破ったら家族か誰かに

話してる。屋敷が空でも飛んでこの孤島にでも辿り着いたとかしか思いつかねえな。元からこの森になかった

っていうならな。」

アカエイ「てことは今私たちが散々探してないってことは今空を飛んでいるとでも?」

アデク「物の例えじゃねえか。まあもうそういうしかないよな。俺達は隅から隅まで探した。」

フォルメス「君たちカメレオンって知ってるかい?」

アデク「あの体色変化する奴か?」

フォルメス「そうそう。もしかしたら森の風景に同化するための何かを屋敷に施してるんじゃないかい。」

 フォルメスは一つの可能性として屋敷はこの森に溶け込んでいる何かを施しているんじゃないかと

考えるが果てしない労働力であるし、そもそもその話だと元々このザングランド島に屋敷があったか

どうかの話がまるで解決しない。

アカエイ「話を逸らさないでください。」

フォルメス「いや一つの意見としてさぁ。」

アカエイ「アデクさん。これからどうしましょうかね。フォス爺様にどう報告したら。」

(全く聞いてねえし…)

アデク「そうだな。とりあえず爺様に報告するのはいいとして、一人村に戻ろう。残りの二人、俺たちの誰かがこの森に残って異変を察知できるようにしよう。」

アカエイ「いえ、それでしたら私一人だけで見張ります。問題ありません。」

フォルメス「賛成。」

アデク「賛成てお前は…女性がここに一人で残る事に少し躊躇いを覚えたらどうなんだ。」

フォルメス「いやいや、それは彼女に対する侮辱でしょ。僕たちはアカエイちゃんの実力を認めている

からこそ精鋭隊に選ばれたと思ってるし彼女は何があっても折れない。それを知っているからこその

返答なんだから。即立候補なんてこの上ないほど褒め称えられるべき行動でしょ。」

アデク「お前は時々痛いとこついてくるよな。ごめんアカエイ、俺が悪かった。」

アカエイ「いいですよ全然。私のお母さんにはついでにと言ってはあれなんですが報告だけお願い

します。」

アデク「了解。」

 そういうと二人は森の入り口に向かって歩き出すのだった。



ー--2時間後。アカエイ一人森の見張り中ー--


 アカエイは一人休憩中。シートに座っている最中に入り口の方から人が入ってくるのを察知。

アカエイ「何者です!!」

フォルメス「ごめんごめん。僕だよ僕。」

アカエイ「なんだ。」

フォルメス「おいつれないなあ。」

アカエイ「どうせまた手合わせしようとか言うんでしょう。今私は見張りという大事な役割があるので

別の機会に」

 そう言いかけるとフォルメスは座っているアカエイの両手を思いっきり掴み勢いよく地面に押し倒す。

アカエイ「…。どういうつもりです?」

フォルメス「アカエイちゃんの力を隅々まで見たいなあと思ってさ。」

アカエイ「シート敷いてるとはいえ土でぼこぼこなので背中痛いんですけど。」

 そういうとフォルメスは掴んでいる手を放して呆れた顔で話し始める。

フォルメス「他の子たちは照れたり照れ隠ししたりしてて簡単に僕の思い通りになりそうなのに

アカエイちゃんは相変わらず無理そうだね。」

アカエイ「なりそうって、そもそもなったことないでしょう。」

フォルメス「半分正解。そして半分は不正解。思い通りになるけどそれは僕自身能力を使わないと

人を魅了できていないという証明にもなってしまうから不甲斐ないんだよね。」

アカエイ「自覚有りなんですね。それに能力使ったらいいじゃないですか、今は私しかいませんよ。」

フォルメス「そういうことじゃないんだけど…。モテる男はなんでも見抜かれちゃうね。」

フォルメス

能力:チャーミングコントロール

概要:相手に触れた際、相手の心拍数・体温上昇率に伴いそれ相応の秒数相手を意のままに操ることができる。発動条件はしっかり五秒間能力を発動すると意識して触れること。リスクとして振り払われる等の

事をされて触ってから五秒立たずに触れている手を離すとその手が一時的に全く動かせなくなる。


アカエイ「もう!本当に早く帰ってください。仕事の邪魔です。」

フォルメス「嫌よ嫌よも好きのうちとは言うけどそれすら言われないとは本当に傷ついちゃうね。」

アカエイ「あれは男性陣が思い込みで作ったような風潮を表した言葉でしょう…。」

フォルメス「冷たいなあ。ほんとなんかアカエイちゃんだけはうまくいかないんだよなあ。」

アカエイ「貴方能力私に使ったことないでしょう。」

フォルメス「……ていうかさ。アカエイちゃんってさ。僕の事、やっぱいいや。何でもない。」

アカエイ「…なんです?そういう言いかけてやめるみたいなのすごいモヤモヤするので辞めてください、不愉快です。そういうのは貴女で言えば(僕の事)をいう前の段階でもともとやっぱいいやって言う気だったんですよ。それで私の反応を伺ってる、そういうことを言う人間は大体そうです大嫌いです。

貴方と一緒に精鋭隊ってひとくくりにされてるのが嫌になってきました今すぐこの森から去って

ください。」

フォルメス「え、なんかごめん。こ、殺される前に去らないとね、じゃ、じゃあ頑張って~…」

 アカエイの剣幕にびっくりして何も言えず立ち去って行くのであった。


アカエイ「…いなくなりましたかね……………。ぷはぁー---!!!死ぬかと思いました…心臓が

やられたらどうしようかと…ひぇぇ~~~、押し倒されたときなんてどうしようかと。」

 アカエイはどうしようもなくフォルメスが好きだった、だがフォルメス自身はどんな女の子に対しても自らの能力を行使し操っていたがどれもつまらないと思っていた。

(不本意というもの+本人のプライド的にも)

だがフォルメス自身はアカエイに対してのみ行使したことがなく、長い間の付き合いだったためどうせ

自分のことは何とも思っていないのだろうという決めつけで、アカエイは結果的に助かっている。


 あれから何分経っただろうか、ハァ…ハァ…と暗がりの森の向こうから声が聞こえる。

???「やっと見つけた。獲物がよぉ…」

アカエイ「な、何者で…その怪我はどうされたんですか!!!」

 反射的にしゃべってしまったが見たところ見ず知らずの犬が四足歩行で真っ黒い体に傷だらけで

歩いてこちらに向かってきていた。

墓犬「俺は墓犬。ったくシャトー様も俺が外にいるときはあれを使うなって言ってるのによぉ…」

アカエイ「シャトー様?」

墓犬「おおよそ予想はつくがあんた見張りでもしてるんだろう。いいぜ。俺はあの屋敷について知ってることは話してやるぜ。」

 ということは屋敷から刺客を送られてきたのか、屋敷側の人間にこちらの居場所が把握されている可能性が高いと一瞬考えたがあれを使うな…というセリフから見るに刺客というよりは不本意でこの森にいるという事だろうか。

 森の中を隅々まで探したが屋敷の場所がわからなかったためこの犬から聞き出そうとアカエイは

考えた。

アカエイ「…なるほど。では屋敷の場所を教えていただけるってことですね。」

墓犬「その代わりあんたが負けたらあんたは死ぬ。俺の獲物として死ね。」

アカエイ「優しいんですね。では遠慮なく行かせていただきます。」


登場人物

アデク

フォルメス

能力:チャーミングコントロール

アカエイのことが好きというのが本心ではあるが、色々な女性を村で操っているため

女たらしだと思われている。それゆえにアカエイからは嫉妬されている。

アカエイ

フォルメスのことが好きだが、女たらしな性格を嫌い、自分のことだけを見てほしいと思っているが

それを伝えられずにいる。

墓犬

ここにいる目的とは…?


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