44.おのれ騙したな
制作したお守りは、見た目は太い紐で首にかける勾玉。紐にも強化魔法がかかっているので、首をねじ斬るほどの力を加えないと切れない強度。本人が外そうとしても、手が勝手に動いて阻止します。「外してくれ」と誰かに頼もうとすると喉がつぶれて呼吸困難。紙に「はずしてくれ」と書こうとすると手がブルブル震える。という、意地悪仕様。この程度なら合法、合法。
こういう遠回りな仕様にしないと。「禁則事項です」とか「現地住民保護法に抵触します」とか、叱られるので。制作の苦労の大半は、機能の付加ではなく、法の目をくぐる作業でした。やれやれだよ。
宮司さんが教祖に渡す際に、「悪心を持つと効かない。むしろ悪化する可能性があると聞いている」と説明してから渡したのに。ためらいもせずに首にかけたそうです。どんだけ自分に自信があったんだろ。
最初は「おのれ騙したなあ」と、某キャラみたいに叫んだそうですが。しばらくすると静かになり。さめざめと涙を流し。「すまなかった」「許してくれ」とつぶやき出し。頭を下げて出ていったそうな。
数日後に今回の依頼料が払われてきたそうで、うちにも分前の振込がありました。大半がうちに来たみたいな話しだったけど、渋かったです。
教祖は反省の旅に出てしまったそうで。今は四国あたりを巡礼中。教団は、自称ナンバー2達が権力争いしていたものの。誰も決定打に欠け。そのうち財産を持ち逃げする奴がでて崩壊。今は税務署の査察待ちだそうです。教祖の勾玉は外れる気配もないので。善意の欠片もない、根っからの悪人だったんでしょうな。
短大生とナンパ学生は意外にうまく行っているようなので。生暖かく見守ります。
クレイマー親父は、教祖本人から「霊能が少しあるのは本当だが。その他はすべて嘘だった。騙していてすまない」と謝罪され。教祖が病室を出ていった後は呆然としていたそうな。まあ、もうどうでもいいので、放置でよいか。
なんか、すっきりしないけど。
後日談。
オカルトアレルギーが再発したクレイマー親父は。社に再突入して、再入院。
どっとはらい
次回から新章




