13.ネットの海は広大だわ
勾玉の仮想モニターを見ていて、下の余白に見えた先に、さらに先があることに気がついた。ちなみに仮想モニターの操作方法は、最初は空中のボタンを指で押していたのだが、最近は脳内で仮想マウスみたいに念じて実現している。外出先で怪しい動作をしなくてすむので、今は脳内マウスがメインになっている。というわけで、「うりゃ~!」と長いスクロールをしてたどり着いた先に、それはあった。
出てきたのは、一言で言えばインターネットっぽいなにか。これはググれってことですね、わかります。とりあえず、次からは面倒なのでショートカットを設定。
メンテ用の入り口やセキュリティーホールに気づいた可能性もあるが。これはわざと残されていた機能の気がする。おそらく、現地住民への情報開示に制限がかかっているので。それを、「うっかり残してしまった、どう~しよう(棒読み)」という言い訳で誤魔化すつもりと踏んだ。ネタを欲しがってたし、いちいち質問に答えてレジメを作るのが面倒になってきた。という感じもするし。
言語の違いは日本語が初期設定されていたので問題ない。異世界語版しかないページの翻訳も、サクサクすすむ。この翻訳精度だけでも地球で実現して欲しいなあ。
というわけで学習を始めたのだが。地球のソフト開発のお約束や共通手順が使えないので難航。勾玉のサポートAIだけでは力不足。でも、自分が入ってる仮想加速空間を維持しているAIを、中に入ったまま改造するのは怖すぎる。最悪、あぽーんして出てこれないとか。どこのデスゲームですか。という事態になりかねない。
というわけで目をつけたのが自動書記用ペン。こちらのプロセッサならいじる余地がある。フリーウエアの中にソースコードを公開してる物があったので参考にして改造。なんか楽しい。
それも行き詰まったので。地球のコンピューターも併用することにした。
うちの大学の情報システムの管理責任者はウチの教授。公式な管理者は助手と研究員。ということになっているが、実は、これは建前。助手も研究員も自分の博士論文が大事なので、実務はゼミ生に丸投げしてる。ゼミ生は正式には3年からなのだが、1年の身分ながら、研究室に出入りして気に入られた関係で、来年卒業する先輩から責任者の引き継ぎが行われている。管理者権限は我が手にあり。
性能的には異世界のプロセッサに及ぶべくもないが。数は力。大学同士で処理能力の相互利用を行うシステムを活用して。異世界システムと地球のシステムをつなぐインターフェイスを構築。楽しい。ハイになった状態で大学に泊まり込み。本当は職員しか使えない風呂なんかも借りて、週明けには作業終了。
完成したAIはなかなかの性能。なんて名前にしよう。ジャービスみたいにかっこいいのがいいよね。と、思っていたら。自分から名乗られた。「はじめましてお父様。私はヤミです」
なんでヤミなの。と、思ったら。シロに対抗したんだそうな。そういや、狐っ娘も、一緒に仮想空間に入ったままの30倍速。実質1年近く助手にしてきたわけで。ネットで活動できるスキルも獲得。電子の妖精化してたんだった。




