白石の裏の顔
衝撃の事実に美月は目を白黒させた。一体どういう事なのだ?二の句が継げずにいる美月にダルマ先生は真相を明かす。
「確かに白石は力がある。うちのエースだ。だがそれに胡坐をかいて、部活内で不遜に振舞っている。気に入らない子を仲間外れにしたり、パシリに使ったり、下手な子を苛めて辞めさせたりしているんだろう?」
「・・・・・・・。」
美月は押し黙った。それはダルマの言っている事は事実だと認めたも同然だった。
「私も薄々は分かっている。だが、誰も告発する者がいないので、尻尾を掴めないんだ。」
「・・・・・・・。」
「本人も練習をしない。周りにも悪影響を与える。それがこの前の大会で君以外の成績が芳しくなかった原因だ。」
「・・・・・・・。」
「私は白石の様な選手を強化指定するべきではないと思った。これからは君をうちの柱にと考えている。」
「は、柱。私が・・・・・バトミントン部の柱?」
「そうだ。」
ダルマ先生は力強く言った。どうやら冗談ではないらしい。美月は低体温症にでもなったかのような真っ青な顔になった。
「わ、私を柱にするなんて・・・・・そんな、無茶な。」
「そんな事は無い。山下は真面目な練習態度でバトミントンに真摯に取り組んでいるじゃないか。どんなに劣勢になっても絶対に諦めない。それがこの前の大会での4位入賞に繋がったんだ。」
「・・・・・・・。」
「今後は君にうちのバトミントン部を引っ張って行って欲しいと思ってる。」
「ちょ、ちょっと待って下さい。そんな事、白石さんがどう思うか・・・・・。」
美月はダルマ先生のいきなりの提案に腰砕けとなった。
「・・・・・。君だって分かっているんじゃないのか?今のバト部の現状を。」
「・・・・・・・。」
確かにダルマ先生の言う通りだった。実は美月もバトミントン部の現状を憂いていた。今のバト部は白石の力が強すぎる。皆、顔色を窺い、全てに於いて彼女の意向が反映される部活。苛め、嫌がらせ、集団無視が横行、もはやバトミントン部ではなく、白石部とでも言うべき暗黒の部活と化していたからだ。
「先生の言ってる事は私にも分かります。でも、私に何が出来るっていうんですか?」
「君は今まで通りやってくれたら良いんだ。県の指定強化選手として、バトミントン部の皆を背中で引っ張って行って欲しい。」
「・・・・・それだけ?」
美月は些か拍子抜けした。てっきり白石先輩に対して何らかのアクションを起こす事を求められるのではないかと恐れていたからである。強化指定を受託して、背中でバト部を引っ張ると言う事は言われなくても最初からそのつもりだったのだ。
「そうだ。やってくれるか?」
ダルマ先生はそのクリクリした目で、美月の顔色を窺う。
「・・・・・・。そんな事で良いのなら。出来る範囲でお受けします。」
美月は明るい口調でダルマ先生の申し出を受託した。




