第13話 ペラペラドア
もう一度蓮華を摘み、花冠……さっきよりも大きなものを作る。今度は大丈夫なはず!
花冠をドローンに見せて、若干どや顔をすする。
今度はちゃんとかぶれるよと、花冠を頭に載せる。猫耳が邪魔になることはなく、するりと……頭を通り抜けて、首飾りになった。
うっ。こんなはずでは……。
いや、首飾りをはじめから作るつもりだったんだよって顔をしておこう。
……ううう。恥ずかしい。
さ、気を取り直して、もう一度チャレンジだ!
一番初めの花冠は小さすぎて、次の花冠は大きくしすぎたから、中間のサイズで作ればオッケー。
よし。今度こそ!
ドローンに向けて花冠を見せて、頭にかぶる。
「やったー!ぴったりサイズだ!」
へへへ。
って、何をやってるんだろう。
急に恥ずかしくなって、失敗した花冠をもって立ち上がり移動を始める。
「……どうしようか、これ……捨てるのもあれだし……」
とぼとぼと歩いていく。
はぁー。下を向いてとぼとぼと歩いていたらごちんと何かにぶつかった。
「いたっ」
痛くはないけど衝撃が……。
って、昨日もジャンプして頭ぶつけたし、今日は前を見ずに歩いていてぶつかるとか。
ごめん、勇樹……。勇樹のダンジョロイドのスターマイン、チャンネル登録者数減っちゃうかも……。ごめん……。
ため息をついて顔をあげると、扉があった。
あれ遠くから見ても見えなかったよね?と思って横に回ると厚みが1ミリくらいしかない。
「紙みたいなドアが自立してる……」
不思議な光景だ。こりゃ横から見たら見えないとかそういうことか……。
ぽんっと納得しつつも、首をひねる。
「この草原の真ん中に立ってるペラペラなドアなんだろう?」
とりあえず、手を伸ばして触ってみる。
「あ、触り心地は普通にドアだ。っていうか、ぶつかったんだった。あはは。えっと、開けられる?」
ノブを持ってひねってみる。
「……鍵がかかってる」
開けゴマとか言ってみる?でも、違ったら恥ずかしいしなぁ……。
とりあえずノックしてみる?
コンコンコン。
ガチャリと鍵が開いた音がした。
おお!開く!っていうか、誰か入ってたんだ!誰が出てくるんだろう!
ドアが開いたら、びゅんっと何かが飛び出してきた。
『誰じゃ!妾わらわの眠りを妨げる者は。容赦はせぬぞ!』
キャンキャンキャンと3つの頭の犬が吠えている。
か、かわいいっ!
『ふん、覚悟はいいか。今さら助けてくれと言っても無駄だぞ』
キャンキャンと真ん中の頭が吠えている。右の頭が私の頭の上に載っている花冠をじっと見ていた。
「あ、これ?欲しい?どうぞ」
頭から外して犬にのっけた。
「うわー、かわいい!キュート!」
そうそう、サイズ違いでまだあったんだよね。
犬の頭は3つ。小さなものは左の犬の耳にひっかける。大きなものは真ん中の犬の首にかけた。
「かわいい!めちゃくちゃかわいい!」
『うむ、確かに、かわいいの』
犬の頭がお互いの顔を見合わせて嬉しそうにくぅんと鳴いた。
「そう、嬉しいの?よかった。あ、見て、あっちに白い花もある!今度はあの花で作ってあげる!」
蓮華とは違う花が群生してるところが目にはいり走っていく。
『ぬ?待つのじゃ!』
あわわ、なんか普通に走っただけのつもりなのに、スターマインの能力がすごすぎて一歩が飛ぶように進んでいく。
『なんというスピードなのじゃ!妾が全速力を出さねば追い付けぬとは!』
ワンワン吠えながら追いかけてくる。
あーっ!かわいい!撫でたいなぁ。撫でちゃだめかなぁ?
頭が3つあるってことは魔物なんだよね。
かわいいと思って手を出しちゃだめって……。角の生えた兎と一緒だよね。我慢だよ、我慢。
白い花はシロツメクサだった。
せっせとシロツメクサで花冠を作っていく。……えーっと、蓮華の耳飾りと冠と首飾りをつけたから、首飾りのない子たちには首飾り、首飾りの子には王冠を作ってあげようかな?
よし、そうしよう。あ、ついでに自分の分もね。だから、大が2つに中が2つだ。
私が作業しているのを、お座りしてじっと見ている。
あー、もふりたい。もふりたい。
我慢我慢。
「できたー!」
1つ目の大のシロツメクサの花の首飾りができたところで、みつ首ワンちゃんに見せる。
「蓮華もかわいいけど、シロツメクサもかわいいよね!きっと似合うと思うんだ……つけてもいい?」
と言うと、ワンっと大きく吠えた。
『もちろんじゃ!』
うわぁっ!大きな声!びっくりした!
思わずしりもちをつく。




