第12話 代理ログイン2日目~薬草探し~
夕飯を食べてからスマホをチェックすると勇樹からメッセージが来ていた。
『何かな。楽しみ。でも無理スンナ』
えへへー。楽しみだって。
うん。いっぱい集めて驚かせちゃうぞ!
今日は教えてもらった薬草を探そう。大葉とリンゴって言ってた。
VRスーツを身に着け、コックピットの中央の360度ランニングマシンのような場所に立ちVRゴーグルを装着。
「ステータスオープン」
空中に現れた操作パネルのようなものでログイン。
視界はダンジョンの中に切り替わる。
「えーっと……、配信は勝手にスタートするのかな?」
勇樹はチェックしてるのかな?まだ移動中?いや、もう着いたかな?でも寝てるかもしれない……。時差どれくらいだっけ?うーん、分からないけど。
配信用ドローンに向いて手を振る。
「勇樹~見てる?今日もお義姉ちゃんがんばるからねー!」
さて。階段の踊り場でログアウトしたんだ。
1階に戻る?
それとも2階へ進む?
うーんと、勇樹は初心者用のダンジョンで危険はないと言っていたから、進んでもいいんだよね?
よし!2階へ行ってみよう。
階段を下りる。
「ふおうっ、外に出ちゃった!」
1階は岩に囲まれた空間……洞窟のようなところだった。
2階は目の前に草原が広がっていた。明るい。
見上げると、天井があった。
「あれ?外じゃないんだ……。こういう草原のようなダンジョンってことだよね?」
きょろきょろと周りを見渡す。
角の生えた兎がいる。
「知ってる。かわいいって近づくと、角で刺されるやつだ。小説とかにも出てくるよね。魔物なんだよね」
かわいくて抱っこしたくなるのはやまやま、近づかないように気をつけながら草原を進む。
「あ!そうだ!薬草!」
塩田君からの情報で、薬草をもらうと嬉しいって言ってた。
勇樹も嬉しいかな?
よし!薬草を探すぞ!
確か、食べられそうな感じのって言ってた。
あれ?でも、ダンジョロイドは物を食べないよね?どうするんだろう?ダンジョンの外に出せるのかな?魔物の死体はすぐ消えちゃうけど、ドロップ品は3~10日で消えるんだよね?薬草は?3日消えなければ食べられるよね?
食べるのかな?
だったら、美味しそうなのがいいよね。
足元を見る。
たくさん生えてる草。
しゃがんで近くで見る。
たくさん生えてる草。
……草にしか見えない。草、草、草。
え?何が薬草なんだろう?
食べられそうなものなんて何もないけど……。
立ち上がって、少し移動してまたしゃがんで確認。
「草……だよね?雑草……」
立ち上がって、少し移動。
「うーん、無理かも。なんか薬草辞典みたいなものがないと、分からないよ……」
はぁ、仕方がない。
さっきから気になってたんだよね。もう、薬草はいいや。
視界に入る気になっていた場所へ視線を向けた。
草原のずっと向こう。草とは明らかに違う色が広がっている。
「ふふふーっ!蓮華畑だよね、あれ!」
走って蓮華畑へゴー!。
「やった蓮華だらけ!嬉しい!前からずっと憧れてたんだ。蓮華、蓮華、蓮華!」
蓮華の花を数本摘み、また数本摘んで茎をぐるりとはじめに積んだ蓮華に回す。それからまた数本つんで茎をぐるりと回していく。それを繰り返して……最後に輪っか状にして茎を一番初めのところのぐるりと輪にしたところに入れ込む。
「できたー!花冠!」
すごい!すごいよ!
作ってみたかったんだ。でも、私が住んでいるところでは蓮華畑なんてなかったから。早速かぶってみよう。
乙女チックすぎる行動だと思うけど、24歳の女が何やってるんだろうという気もするけど、今は私はダンジョロイドだからいいよね!
「あ、そうだ。配信中だった。見てる人いるか分からないけど、ずっともくもくと花冠作ってるだけの配信……つまらないよね……誰も見てないかもしれないけど」
マイクロドローンに向けて花冠を見せる。
それから、頭に乗っけて見せ……ようとして。
「うわーっ!!!失敗」
猫耳が、猫耳があったんだ!耳が邪魔で載せられないっ!
嘘でしょう!せっかく作ったのに!
は、配信ってカットとかできないよね……。意気揚々と完成した花冠をカメラに向けながら頭にかぶって見せたらかぶれないとか……!は、恥ずかしすぎるっ。
真っ赤になって顔を抑える。ダンジョロイドは赤くはなってないと思うけど。
やり直し、やり直し。




