表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/58

48. イベント襲来

 ドリッテの東門を守る門番へ、広樹たちは通行許可書を見せた。

「ようこそドリッテへ」

 広樹たちはそれぞれ簡単な名乗りと挨拶をする。すると門番も挨拶を返してくれた。門番の名前はテレンスというらしい。

「ところでテレンスさん。なんだか町の様子があわただしい感じがするんですが、いつもこんな感じなんでしょうか?」

「まさか。普段はこんなことはありませんよ。詳しい説明は冒険者ギルドでおこなっておりますし、同時に人員募集もしておりますので、そちらでご確認をお願いします」

「わかりました。これから冒険者ギルドへ行ってみます。ありがとうございました」

 テレンスへお礼を述べて、広樹たちは冒険者ギルドへ向かうと、その道すがらクエストが発生した。


 クエストの種類:イベント:A-1

 ・冒険者ギルドでイベントの詳細を確認しよう 0/1回

 内容:ドリッテの町があわただしい。冒険者ギルドへ行って詳しい説明を受けよう。

 報酬:HP全回復ポーション(成功率80%)×10個


 報酬の内容を見てJude(ジュード)たちはざわめくが、広樹と晴樹は冷静だった。

 晴樹が広樹の耳元でささやく。

「ドリッテってことはキアーラさんだっけ?」

「だね。80%に上がってるってことは、王都に近くなるほど高くなるってことかな?」

「かもな。まあ王都が100%なのか90%なのかはわからないけど」

 どうせ噴水広場の前を通るということで、先にワープポータルへの登録を済ませてから冒険者ギルドの中へと入っていく。

 冒険者ギルドの中の窓口はどこも混雑していた。

「混んでるねー」

「住人も利用しているからなー」

「とりあえず適当に並んで話を聞きましょう」

 Gillian(ジリアン)の誘導に従って、比較的人の少ない端の窓口へと並んだ。


「いらっしゃいませ」

 まずは先頭にいたGillian(ジリアン)が口を開いた。

「先ほどドリッテに着いたばかりの冒険者よ。門番のテレンスさんから冒険者ギルドで説明を受けるように言われて来たのだけど、何が起こっているのかしら?」

 窓口にいた青年はオーブリーと名乗った。

「早速ではございますがお尋ねの件についてご説明させていただきます。今朝、ドリッテの北東にありますドリットダンジョンにてスタンピードが発生したとの一報が入りました。とはいえその後の知らせで魔物たちはドリッテへは向かっていないことがわかっておりますのでそこはご安心ください。わずかにはぐれが迷い込む程度で、ほとんどの魔物はネクストタウンへと向かっているようです」

「え? 僕たちはついさっきネクストタウンからドリッテに来たばかりなんだけど、それらしい魔物には遭いませんでしたよ?」

 広樹が首をかしげながら尋ねる。

 それに対してオーブリーは同意するようにうなずいた。

「はい。今のところドリットダンジョンで活動している冒険者たちが対応しておりますので、街道からは確認できないでしょう」

 「ああ、そういうことか」と広樹たちは納得した。

 今度は晴樹が尋ねた。

「そういえば人員募集? も、しているとか? それはどういうものですか?」

「今はまだ弱い魔物しか外に出てきておりませんが、そのうち徐々に強い魔物も姿を現すことでしょう。とうぜんネクストタウンにいる冒険者では対応できなくなってきます。ですからあふれ出てくる魔物を殲滅するために必要な人員を、ここドリッテや王都ラッヘルからも募集しているというわけです。皆様にもぜひご参加いただきたい」

 そこで最初のイベントクエストがクリアになり、次のクエストが現れた。


 クエストの種類:イベント:A-2

 ・冒険者ギルドで殲滅戦への参加を表明しよう 0/1回

 内容:ドリッテ北東部にあるドリットダンジョンでモンスタースタンピードが発生した。殲滅戦に参加する意思を示そう。

 報酬:イベントエリア入場券×1枚


「まあこうなるよな」

 晴樹は小さくつぶやき、広樹たちも軽くうなずいた。

 『イベントエリア入場券』はインベントリへセットしておけば期間中何度でも出入りできるようだ。

 クエストをざっと確認して、広樹たちはオーブリーへと視線を戻した。彼の説明に耳を傾ける。

「もちろん今すぐ戦闘に参加していただくわけではございません。ネクストタウンからのご移動でお疲れでしょうし、装備や消耗品の補充などもおありだと思いますので。低レベルの冒険者では手に負えないほどの魔物が出てきてから参戦していただければじゅうぶんです」

 これは低レベル帯のプレイヤーが参加しやすいように運営が配慮しているということだろうか。ランカーがバカスカ攻撃するととうぜん弱い魔物(雑魚)は瞬殺されてしまう。そうなると低レベルのプレイヤーは魔物に攻撃を当てることなどできなくなり、イベントを楽しむこともできないだろう。いまだネクストタウンで狩りをしているプレイヤーが大半の状況でのイベント開始だ。じゅうぶんありえそうだ。

 広樹たちはパーティメンバーの顔を見渡した。全員がうなずいたことを確認してからオーブリーへ向き直る。

「僕たちのパーティもその殲滅戦に参加します」

 イベントのクエストがまた一つ進んだ。


 クエストの種類:イベント:A-3(デイリークエスト)

 ・冒険者ギルドで殲滅戦の依頼を受けよう 0/1回/日

 ・制限時間 0:00:00/2:00:00/日

 ・魔物討伐数 0体/日

 内容:ドリッテ北東部にあるドリットダンジョンでモンスタースタンピードが発生した。魔物たちはネクストタウンへと向かっている。ドリッテや王都ラッヘルに在籍中の冒険者たちも殲滅戦に参戦して魔物を退治しよう。

 参加方法:1日1回冒険者ギルドで受けられます。1日最大2時間まで。制限時間内であればイベントエリアに何度でも出入りできます。

 報酬:クランボス召喚券の欠片×魔物討伐数30体ごとに1枚


 このイベントは明日のアップデート及びメンテナンスが終了してから開始になる。

 オーブリーとのやり取りをこなしながらGillian(ジリアン)たちは運営のお知らせも確認していた。メンテナンスはサーバー時間で午前4時から9時まで。イベントの開始は午前10時からの予定となっていた。

 メンテナンスが延長になれば、イベントの開始時間も変更になる可能性もあるが、今のところはそう記載されている。

 オーブリーから『イベントエリア入場券』を受け取った広樹たちは、オーブリーへお礼を述べて冒険者ギルドを後にした。


「ドリッテについたらまたネクストタウンへ戻ってオーガ狩りに行くつもりだったのにねー。どうするハル?」

「イベントの開始は明日だし、それまではこれまで通り狩れるだろう。どうやらイベントは専用エリアっぽいから、そもそも関係なさそうだし。まあどの程度の強さか試すくらいしてもかまわないんじゃないか? まだまだ時間もあるし」

 気持ち早めにログアウトしてイベントの詳細を確認しておくに越したことはないが、何時間もかかるようなものでもない。

「そうだねー。んじゃ、午後はそういう感じで、とりあえず昼ごはんだね」

 広樹と晴樹がそんな会話をしていると、Jude(ジュード)が混ざってきた。

「ハルヒロは午後からオーガを狩りに行くのか?」

「オーガって、たしかネクストタウンの北部にいるのではなかったかしら?」

 Gillian(ジリアン)が口元に指を当てて、記憶を探るようにしながらつぶやく。

「それです。そのオーガです。ホブゴブリンが倒せたなら、そのオーガも倒せるんじゃないかってハルと話してて……」

「そそ。それで昼飯食べたら行こうって話してたんですけど、ジリアンさんたちも一緒に行きますか? だいたい1時間後くらいから始めるつもりですけど、どんなです?」

「いいわね!」

 即座に了承したのはGillian(ジリアン)だった。

 次いでJude(ジュード)Theodore(セオドア)も続く。

「それじゃ午後からもまたよろしくお願いします」

「じゃ、いったん休憩ってことで」

「あ」

 話がまとまったことでいったん解散の流れになったところで、広樹が声を上げた。

「僕、ドリッテの魔法屋にも寄りたいんですけど、待ち合わせ場所はドリッテの噴水広場でいいですか?」

 ドリッテの噴水広場(ここ)でログアウトすれば、ログインもドリッテの噴水広場(ここ)になるのだから、待ち合わせ場所はドリッテの噴水広場(ここ)でいいだろうということになった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ