第3話 9
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「それにしても、敵の内通者が初鰹様だったなんて予想も出来ませんでしたわ」
「あいつは会社に入社してからの知り合いだが、確かにそれまでの経歴とかは一切話してくれたことはありませんでした。身元を調査しておけばよかった!」
定食太郎さんがうなだれている。友達がまさかの敵だったなんてショックだよね。
「そういえばもう一人。若鮎様の内通者の疑惑はまだ晴れていませんわね」
メルちゃんが若鮎さんに聞こえないように、定食太郎さんとあたしに小声で言った。
「あたし直接聞いてみる!若鮎さん、変な人だけど悪い人だと思えないんだよね」
「あ、マキちゃん、待って下さい!」
メルちゃんが止めるのも聞かずに、あたしはまだJIM148のアイドルの男の後ろでうれしそうにうろうろしている若鮎さんの所へ行った。
「若鮎さん、ちょっとお話があるんだけど?」
「鉄火さん、いいところに来たわね。わたしもお願いがあるの」
「?。じゃあ、若鮎さんからどうぞ」
「あのね、わたし三崎工場にファンクラブを作ろうと思うんだ」
「はい?いきなりなんですか?誰のです?JIM148のアイドルのですか?」
あたしはさっきまでの襲撃事件からかけ離れた話についていけず、頭が混乱してしまった。あまりにも突拍子がなかったからだ。
「ううん。彼、あそこにいるレイノルズ・層様の。だってすごかったのよ?お姉さんの乱さんを助けに行った時の層様の姿と言ったら、もう映画の中のヒーローのようで。わたしすっかりファンになっちゃった!」
わかります。層君は素敵、爽やか、素晴らしいの3Sですからね!でもファンクラブ?
「でね、わたし思ったの。せっかく同じ工場にこんな素敵な人がいるんだから、みんなで応援しようって!」
えーと。それってきっと層君嫌がると思いますけど?
「わたしがファンクラブ会長の会員ナンバー1号で、あなたが副会長の会員ナンバー2号。わかるの。あなたはわたしと同じイケメン好きだって!」
若鮎さんが両手であたしの手を包み込んで、迫ってきた!しかも、こんなところでシンパシー感じてもらえていた!?ていうかもうあたし副会長に決まってる!層君には吹雪って好きな人がいるけど。さっき捕まえて逃げられたけど。敵だけど。
「あ、あの、わかりました。でもちょっと教えて欲しいことがあるんですよ」
「なんでも聞いてちょうだい、2号!そしてわたしのことは1号と呼んでちょうだい!」呼び名2号確定ですかい。
「初めて若鮎さん、じゃなかった1号さんに会った時に言っていたことがずっと気になっていて、『新入社員研修であったこと』と『今年の新入社員が第二世代MoNStErをもらった』ってこと、どこから聞いたの?」
「だって、わたしのお母さんがあなたたちに諏訪湖で会ってるでしょ?あれあそこに」
あ。おほほ星人のなかに若鮎さんっていたねー!
「お母さん、MoNStErの雪ちゃんにもう一度会いたいって、よく言ってたのよ。だから今日はあなたが雪ちゃんをここに連れてくるかもしれないって教えてあげたの」
あ。おほほ星人は雪ちゃんに会ってたねー!
「おほほ!雪ちゃん元気なのー?」おほほ星人が4人こっちに向って走って来た!恐い!
「メルちゃんのこと嫌いだっていうのは?」
雪ちゃんがおほほ星人たちに弄ばれている。
「だって、衣奈さんわたしよりも可愛くてスタイル良くて非の付け所がないんだもの。わたしよりモテそうな子はみんな敵よ!でもあなたとは仲良くなれそうな気がするの」
えー、それってあたし若鮎さんよりも非の付け所がいっぱいあって、モテなさそうってことですよね?
「マキちゃん、助けてー!」雪ちゃんが助けを呼んでいるが、あたしではおほほ星人から助けてあげられない。非力なあたしを許してちょうだい!
「もう一つだけ!1号さんは友達いらないって怒ってたけど、なんでなの?」
「あはは、あれねー。わたし尼崎工場にいる友達とコミケ用の薄い本を作ってるんだけど、意見が合わなくて喧嘩しちゃってねー、イライラしてたんだ。あのときびっくりさせちゃってたら、ごめんねー。見る?『イケメン達の愛のサイクロン』、フ、フ、腐!」
これはあの有名なBL本ってやつでは!?あたしまだそっちの世界に足を踏み出すわけにはいかないのよ!助けてー!
「ちなみに咲とは小学校のときからの大親友よ!」
正殿や吹雪達には逃げられはしたが、ひとまず落ち着いたということでその場は解散になった。JIM148の男のアイドル達もそれぞれの持ち場へ帰っていったようだ。
「ねえ月平。さっきあたしに『マキ、お前はしっかりしなくてもいい。いつものお前のままでいい』っていってたわよねぇ?」
「そんなことも言ってたか?」
「それって、あたしがいつもしっかりしてないってことよ、ね゛っ!」
一発蹴りを入れてやったわ。でも気をつかってくれたんだよね。ありがと。




