第3話 2
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「マキちゃん!会いたかったですわー!」
メルちゃんと定食太郎さんが、野鳥観察小屋から出てきたあたし達に駆け寄ってきた。
「マキちゃん、南部様になにかされませんでした?危険な目に合わされませんでした?」
「んー、月平はまたあたしを助けてくれたしぃ・・・」
なんか、メルちゃんが月平をじっと見つめている。あれれ、やはり二人はそんな仲だったんだ・・・。そうか、月平はあたしの心を弄んでいるんだね?なぜかむかむかしてきた。
「南部様、イエスマキちゃんノータッチですわよね?覚えていらっしゃる?」
「ん?メルちゃん、イエス様のお墓は青森県の新郷村にあるんだよ?」
ゴルゴダの丘で処刑されたのは弟のイスキリだよ?ナニャドヤラって踊るんだよ?青森県民の常識だよ?
「マキちゃん、キョウジョシギはいかがでした?」
メルちゃんがあたしの方を見ないで、月平ばっかり見つめて聞いてくる。
「うん。隈取りがあったよ。でもなんでメルちゃんが知ってるの?」
「さあ、なぜでございましょうねぇ?」
なんで知ってるのかな?メルちゃんなんか恐い感じがするよ?
「鉄火さん、おじょ・・・、いえ衣奈さんがごめんなさい。ごめんなさい。」
なんで定食太郎さんが謝るのかな?
「それはそうと、マキちゃん、先ほど黒糖吹雪が走って行くのを見かけました。雪ちゃんは大丈夫でした?」
「うん。月平が助けてくれたの」
「それはようございました。しかし、わたくし達が今日ここに来ることの情報がどこからか敵に渡ったとしか思えませんわね。誰か内通者がいらっしゃるようです」
そうだよね。吹雪もいたし、ヘンタイ一号の竜田揚紅茶までいたもんね。
「わたくし思うのです。人を疑うのは嫌ですが、内通者はおそらく若鮎朝海様ではないかと」
「え?若鮎さんが?まさかー、そんなはずは・・・」
「若鮎様は、新入社員研修の場にいた者しかわからない情報を持っていて、マキちゃんからより詳しく聞き出そうとしていました。しかもどこかの誰かと電話で今日の歓迎会のことをお話されていたのですよ?」
「なんでメルちゃんがあたしと若鮎さんの会話を知ってるの?」
「あ、マキちゃん鋭いですわね。あの、総務課は工場の平和を守るためになんでも知っていなければならないからですわ。ほほ・・・ほ」
「えー、そーなのー?」
メルちゃんがあたしと目を合わせないように下を向いている。さっきは月平と見つめ合っていたくせに。やっぱり二人は。
「んー。さすが総務課だねー」
総務課がなんでも知っていることはあたしにはあまり重要じゃない。今は二人の仲の方が気になるよ。
「でも若鮎さんが内通者なんて、なんか違う気がするんだよねー。若鮎さんはどちらかというと・・・」
どちらかというと、あたしと同じ臭いがする。ただの噂好きでイケメン好きの。




