二巻目(ふたまきめ)巻いちゃいますよー! 第0話 1
今回から二巻目が開始されます。
二巻目はJIM編となります。
よろしくお願いします。
二巻目巻いちゃいますよー!
第0話 巻くにはまだ早すぎる
1
「くっおらあー鉄火!今何時だと思ってやがる!」
製造部の狩場沢部長の雷が今日も落ちてきた。
あたしは毎月行われる、工場の安全衛生委員会の開催時間に遅れてしまい、部長の大目玉を食らっている最中だ。だって、ここ遠いんだもん。ウチの旧事務棟から。
新事務棟にある大会議室には工場の幹部メンバーが勢揃いして、会議が始まるのをイライラして待っていた。会議の資料を用意しているあたしが来ないと会議が始まらないからだ。
「お前が五分遅れると、ここにいる20人の時間が合計100分無駄になるんだ!何回言えばわかるんだ!このぼんくらが!」
えー、ひっどーい。そこまで言わなくてもいいじゃん。遅れたのは3分だし。それに怒っているとその分会議開始が遅れますよ?
「お前その顔は反省してないだろう!」
あれれ、余計に怒られちゃったよ?
あたしは、鉄火マキといって、今年の四月にここ三崎工場に赴任したが、訳あって他の人よりも一週間遅く配属になった。しかも最初に予定されていた物流課ではなく、環境安全課というなにをしているかわからない部署に。おかげであこがれの女子事務服じゃなくて、現場の製造作業者と同じ作業着を着て仕事をしている。
さらにいうと、環境安全課のいる旧事務棟はここ新事務棟から500mも離れた工場敷地の反対側の端っこに建っていて、他の部署に用事があっても行くのが大変だ。
あたしは構内の専用自転車が欲しいと訴えているが、危ないとの理由でずっと却下されている。自転車あると会議に遅れませんよ?楽ちんだし。
今はもう七月中旬。配属になってから三ヶ月も経っているので、優秀なあたしはすでに一人前の仕事が出来るようになっているのですよ!褒めてくれてもいいんですよ!




