第4話 7
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じゃなくって、あたしなんでこの課になったのよ?あたしここでなんの仕事をするのよ?
「そういえば鉄火君にさっきからお客さんがお待ちだよ。本能寺君の安全教育の前にちょっと会っておいで」
課長が指さした先にはこの大部屋から隣の部屋につづくドアがあった。
あたしは自分の荷物を机の上に置くと、隣の部屋へ向かった。
ドアの向こうは一応、応接室になっているらしい。古めかしいソファーセットにはレイカお姉ちゃんが座ってお茶を飲んでいた。
「マキちゃん、ようやく着いたのね。お姉ちゃん待ちくたびれて、薄いお茶を二杯も飲んじゃったわよ。」
「お姉ちゃん、なんでここに?ずっと家に帰ってこなかったけど、大丈夫なの?なんか疲れてそうだけど?お母さんも心配してたよ。気をつけないとお母さんの説教始まるからなんか甘いもの買って帰った方がいいよ。それからスズちゃんの入学式があって、スズちゃんの制服姿可愛かったよ。それから・・・」
「マキちゃん、心配してくれてありがとう。研究所にこもって何日も家に帰らないのはよくあることなのよ。帰る前にお母さんにはメールしとくわ。スズちゃんの制服が見られなかったのは残念だけど、このあと家に帰るからその時に見せてもらうわ」
お姉ちゃん、お化粧してるけど目の下の隈は隠せなかったね。だいぶ無理してたんだね。
「それはそうと、今日はマキちゃんに入社プレゼントを持ってきました!じゃーん!」
お姉ちゃんは、応接テーブルの上に置いてある三十センチメートルくらいの大きさの白い箱を指さした。赤いリボンが巻いてある。なんだろう、超うれしいよ!
でも、入社プレゼントを持ってくる社外の人を入れちゃうんだ。この会社大丈夫?
ここであたしはふと気がついた。お姉ちゃん、入社プレゼントといって持ってきてくれたのは、元気になった雪ちゃんで、箱の中から飛び出すサプライズじゃないかな、と。
お姉ちゃんが雪ちゃんを毎日がんばって治療してくれたと思うので、ここはサプライズに乗っかってあげよう、と心優しいあたしは気づかない振りをすることにした。
「わー、なんだろう?楽しみだなー!」
ちょっと棒読みだったかな?でも演技には自信があるんだよね。小学校の学芸会では主役の金太郎やってたからね!
「お姉ちゃんありがとう、早速開けてみてもいいかな?」といいながらリボンを解いていく。はやく雪ちゃんに会いたい!
「どれどれ、うん。結構重いんだね・・・、どっこいしょ!」
あれ?雪ちゃん太った?それともまだコンクリートの欠片が体に残っているのかな?
箱の中身は本がぎっしり詰まっていた。あれ、雪ちゃんいない?
「マキちゃんが環境安全課に配属されるって聞いたから、マキちゃんが早くお役に立てるようにと、いろいろ安全関係の本を探してきましたー!初心者向けから専門的なものまで各種とりそろえていまーす!しっかり勉強してね?」
「お、お姉ちゃん、ありがとう。しっかり勉強するね・・・」
あれ?あたしなぜかすごくがっかりしてる。お姉ちゃんあたしのために、忙しいのに本をいっぱい選んで買ってくれたのに・・・・。雪ちゃん来られなかったの?雪ちゃんどこ行ったの?雪ちゃん治らなかったの?
「う、うん。がんばるね・・・。」
あれ?あたし何で涙出てるんだろう?うれしすぎてかな?それとも・・・・。
「マキちゃん。実はね、この本は量に聞いて、量に買わせてここに置いてたものなの。ゴメンね?」
ううん。本能寺さんもお祝い選んでくれたんだ。ありがと。
あたしダメだな。ちょっとしたことですぐに泣いちゃって。なさけないな。お姉ちゃんは雪ちゃんを助けようと頑張って、でもうまく助けられなくて、あたしを元気づけようとこんなサプライズしてくれたんだろうな。気をつかわせちゃって、あたしなんかのために、ありがとね。あたし気を強く持たなきゃ。でも雪ちゃんさよならだね。短い間だったけどありがとう雪ちゃん。さようなら雪ちゃん。
「・・・・ぐすっ」
「マキちゃん?大丈夫?」
「うん。お姉ちゃん、いろいろ気をつかってくれてありがとう。あたしがんばるね」
あたしは配属初日なのに、やっぱりダメダメだな。一人で落ち込んで。
「マキちゃんあのね、雪ちゃんのことなんだけど・・・・」
「う、ううん。お姉ちゃんありがと。お姉ちゃんがんばってくれたんだよね。雪ちゃんもきっとどこかであたし達を見守ってくれるって、あたし信じてる。雪ちゃんにはもう会えないけどあたしもがんばるよ」




