表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/1360

第3話 15

15

 「メル様、お嬢様のお屋敷から『衣カンパニー特殊部隊』、到着致しました!」

 軍隊のような迷彩服やそれっぽい装備に身を包んだ、屈強そうな男達が十名、一台の黒いバスの前に整列していた。男達はそれぞれ肩にライフルのような銃を掛けて、ヘルメット、ブーツ、サングラス、なんかを入れる小物入れ?で身をかためている。ん?お屋敷?

 「よろしい。それでは作戦を開始する。目的はマキちゃんさんのパートナーのMoNStErの救出、並びに敵組織の壊滅。MoNStEr救出を第一に行うこと!以上!」

 いつの間にか迷彩に着替えた万歳さんが特殊部隊?と一緒に建物のがれきの方に突撃していった!

 「サバゲやっほー!」と叫びながら。


 「あ、注意するの忘れてた!」

 今さっき、巨大な白蛇が廊下の幅いっぱいになって何かぼりぼりして、飲み込んでいたんだっけ。やばいよやばいよ。


  層君のカエルのぴょん吉も逃げ出してきて、層君に保護されていた。よかったよ。

 正殿と吹雪の二人は逃げてしまったようだ。他の敵の奴らもみんな逃げたらしい。

 そりゃそうだよね。建物なくなっちゃったからここにいてもね。


 後ろには、先ほどあたし達が階段ですれ違った、白衣のおじさん・・・おばさん?達がロープでぐるぐる巻きになって捕まっていた。一人だけ爆発したかのようなアフロ髪の人が混じっていたけど。この人達ナニモノなの?ロープはきっとメルちゃんがどこからか出してきたんだろうね。

 

 「そういえば、モナ香ちゃん。さっき『食べられちゃう』って、言ってたけど、あれは何?白蛇のこと?」

 「はい。わたしは勘九郎と分かれて、ここに残ってからずっと建物内の音を聞いていました。ほとんどがそこの白衣を着たナニモノかの会話だったんですが、時々変な声が聞こえてきたのです。

 『クワセロ、クワセロ』とても恐ろしい声でした。

 それと同時に、『マキちゃん助けて』って悲しげな声と」


 「まさか・・・、そんな・・・・、あり得ない!」突然レイカお姉ちゃんが震えだした。

 「おいっ、レイカ!何があったんだ?一体どうしたんだ?」

 本能寺さんが聞いてもお姉ちゃんは何も答えない。ただ呆然と建物のがれきの方を眺めているだけだ。


 がれきが急に盛り上がって、下から巨大な白蛇の姿が見えてきた。さっきよりもかなり太くなっている!しかも長さは二十m以上はあるかも知れない!短時間でこんなに大きくなるなんて!

 白蛇はがれきのコンクリートをくわえては飲み込むをただ機械的に繰り返していた。そしてそのたびに大きくなっていくようだ。

 「あれが雪ちゃん、なの?まさか?」


 「そこの白衣のナニモノかが実験室を爆発させてしまったんです。その後、雪ちゃんが急に机や建物を食べ出したようで・・・」

 「白衣のナニモノかが、雪ちゃんにひどいことしたんだね!許せない!」

 あたしは白衣のナニモノかに向かって走って行こうとした!


 「待って下さい!白衣のナニモノかは、雪ちゃんに親切にしてくれていましたよ!」

 「はい?こいつら敵でしょ?なんで?」

 「それはナニモノかに直接聞いてみて下さい」


 向こうで大きくなってコンクリートをぼりぼりしている雪ちゃんも気になるが、実験室で雪ちゃんに何があったかを知るべきと思った。

 「あんた達!雪ちゃんがああなったのはあんた達がなにかしたんでしょ!雪ちゃんを元に戻してよ!」


 白衣の軍団の一人が口を開いた。胸の名札には「風雲」と書いている。

 「あの子、雪ちゃんっていうの?かーわいい子だったわねー。あたし達あの子が捕まってきた時、不憫で不憫で、とても解剖なんてできなかったわよ。おほほ」

 ん?おじさん?おばさん?ナニモノ?髪が短めで姿勢がいい人だね。

 「銀鮭」と書かれた名札の人が言った。「そーよねー。あたし達も諏訪湖畔のお土産屋さんで買い物してたら無理矢理ここに連れてこられたんだけっどー、ここの人達ひっどいのよねー。そんで、あの子が来たときいー、こっそり逃がしてあげようと、みんなで話していたのよねー。おほほ」

 観光客かい!他に連れてくる人の選択枝なかったんかい!パーマで少し小太りのおばさん、かな?あれ、でも悪いナニモノかじゃなさそうな雰囲気。

 「あたし、あの子見てるとあたしの小さい頃を思い出して、人ごとじゃないって、思っちゃったのよねー。そんで飴ちゃんあげたら、喜んで食べてたわよねー。おほほ」「若鮎」さん。あんた鏡見たことある?どこからどこまで見ても、いっこも似てねーよ!あんた眼鏡で小太りだし。

なんでこの人達、語尾にいちいち「おほほ」ってつけるの?もう「おほほ星人」でいいや。


 「ここの名物の『高原はちみつ』あげたら美味しそうになめてたわよん。あらあなた、あの子のパートナーの人?あなたもとってもかわいいわねー。なめちゃいたいくらい!おほほ」眼鏡で美人の「桜鯛」さんが。えーと、もうやめてもらえません?

 「そんで、アタシが間違ごうて、溶剤を使ってる横でバーナー着けて、爆発させてもうたんねん。みんな、ごめんなー。そんでな、あの可愛い子もふっ飛んでもうたねん!可愛そうなことしたわー。おほほ」関西弁のアフロの「初鰹」さんが爆発の犯人か!だからアフロ髪になったのか!

 

 あたしは、おほほ星人たちがぺちゃくちゃ話している所から離れた。知りたそうなことは勝手に話してくれたし、聞いていると疲れるし。

 あたしと一緒におほほ星人の話を聞いていた乱ちゃんがぽつりとつぶやいた。「なんで一人だけ魚と関係ないねん」あたしの突っ込みのキャパオーバーだよ・・・。


 がれきのあたりでは、万歳さん以下特殊部隊の人達が、巨大な白蛇を遠目に囲んで、どうしていいか、呆然と立ちすくんでいる。その中で雪ちゃんと思われる白蛇は黙々とがれきのコンクリートを飲み込んでいる。がれきはすでにほとんどが白蛇のお腹の中に入っていってしまった。

 あたしが建物から避難してから一時間くらい経っただろうか。ほぼがれきは巨大白蛇に飲み込まれてしまった。なんていう食欲!

 突然、白蛇が周りの特殊部隊の人達に向かっていった!そして白蛇から声が聞こえてきた。『クワセロ、クワセロ、クワセロ・・・・』これっていったい・・・、雪ちゃんじゃない、別の何かだ!

 「なんやこれ?クワセロって聞こえるで!」乱ちゃん達も聞こえるらしい。

 特殊部隊の人達は散り散りに逃げていった。白蛇は獲物をさがして、周りを見渡していた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ