第2話 12
12
あたしは、雪ちゃんを肩に乗せて、三崎工場チームが研修に使用している会議室へ戻った。
既にみんな集まっていたが、なんか女子二人の様子が変だ。
「あれ、メルちゃんと乱ちゃん、目が真っ赤だよ?どうしたの?」
「わたくし、花粉症なもので、目がかゆくてかゆくて」
「ウチもあれや、花粉症で鼻水と涙止まらんのや。お嬢もさっき鼻水出とったで」
「なにをおっしゃいますか!わたくし、そんなモノ出たことありませんわ!」
「せやなー。お上品なお嬢様はおしっこもうんちもせえへんもんなー」
「なんてお下品なっ!」
「ふーん。二人は初対面だったのに、昔っからの知り合いみたいに仲いいんだねー」
「えっ、えーと、わたくし乱さんとは昔一緒に仕事をしたこと、ございませんわよ」
「せ、せや。ウチも二年前にお嬢と一緒に犯罪組織の工作員から機密書類を取り戻したりしたことあらへんで」
「ふーん。そーなんだ。でも息ぴったりだねー」
なぜか、横で層君が頭を抱えていた。
「昨日は雪ちゃんとご迷惑をおかけしました。ごめんなさい」あたしと雪ちゃんは二人して頭を下げた。
「もう、二人は仲直りしたので、残りの期間よろしくお願いします」
あたしと雪ちゃんはもう大丈夫だ。雪ちゃんとはもう二十年近く、それこそ小学校のころからの大親友のような感じがする。不思議なことに、昔のことでもすごく話が合うんだよ!よっぽど気が合うんだね!
「それでは、昨日までの遅れを取り戻すために、昨日の続きを行いたいと思います」あたしは昨日書きかけのホワイトボードの前に行き、貼り付けているカードを指して、「たしか、ご飯一緒に食べながらコミュニケーションとってみる。って言ってたよね?」
「あーん」雪ちゃんは小さな手で、爪楊枝に差したりんごの切れ端をあたしの口に持ってきてくれた。
「うーん。雪ちゃん、おいちーよ!それじゃあ雪ちゃん、あーん」あたしはスプーンの先に乗せた蜂蜜を雪ちゃんの口元に持って行った。
「マキちゃん。美味しいですー」「うふふ、雪ちゃん、だーい好き!」「あたしも!マキちゃんだーい好き!」
あたしと雪ちゃんは、研修センターが用意してくれたお弁当と蜂蜜をお互いに食べさせ合っていた。
「ううう、ラブラブですわね。本当ならわたくしがあのポジションにいて、マキちゃんと、あーんって・・・」
「メルちゃんって・・・」メルちゃんと一緒に蜂蜜をなめていたウサギのモナ香ちゃんが徐々に後ずさりして行った。
「ところでマキちゃん」雪ちゃんがまだちょっと心配そうな顔であたしに話しかけた。
「さっきまで、ずーっと頭の中で変な声が聞こえていたの。だけど、マキちゃんに助けてもらってから全然聞こえなくなったんだよ」
ん?雪ちゃん疲れていたからかな?治ったんだったらよかったよかった!
「みんなコミュニケーションがうまくいって、仲良くなることには成功したようだな」
月平が豪快におにぎりをほおばりながら、ロゼッタさんに、「月平様、お口にモノをいれながらお話するのはお行儀が悪いですよ。ほら、ほっぺたにご飯粒が付いていますよ」とたしなめられていた。お母さんか!




