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第2話 5

5

 ここでメンバーそれぞれのパートナーをまとめてみよう。

鉄火マキ:雪ちゃん。白銀色の長い髪のほっそりした女の子(あまり目を合わしてくれない。人間型だから人間タイプなのかな?)能力は不明。

衣奈メル:ウサギのもな香ちゃん。能力は聞いたモノを録音出来る。そしてかわいい。黒目がちでかわいい。モフモフしたい。いますぐにモフモフしたい。でもヒッキー。

南部月平:カメレオンのロゼッタさん。体の表面に写真とか映すことが出来る。体に棘が生えていて堅そうだけど見た目はカメレオン。すごく真面目。頼りになる。一家に一台ロゼッタさん。

レイノルズ・乱:カラスの黒光勘九郎。能力は見たモノを録画できること。どこから見ても真っ黒。嘴が太くて、ハシブトガラスというらしい。おでこの所の毛がふわふわして柔らかそう。そこだけなでてみたい。

レイノルズ・層:カエルのぴょん吉。層君の爽やかなイメージとは真逆のエロガエル。いくら叩かれても殴られても大丈夫らしい。でも絶対に触りたくない。生理的に無理。絶対に無理。ごめんなさい。


 来週の月曜日まで土日を含めて、五日もあるが、最終日までに「MoNStEr」の個別能力を訓練して伸ばしてあげる。それを皆の前で報告しなければならない。

 どのような訓練をしていくか、皆のアイデアを募ることになった。


 会議室に設置しているホワイトボードに「どんな訓練をすればいいか」と大きく書いた。

学生の頃になんかの講義で習ったブレーンストーミングってやつだ。沢山のアイデアを集めるために、まずは自由にアイデアを出し合う。出しやすくするためには人のアイデアを批判しない。


 粘着性のあるカードを全員に配り、10分間考えて、それぞれ自由に書いてもらった。集めたカードを適当に選んであたしが一枚ずつ読み上げていく。

「最初のカードは、『食べ物をあげて仲良くなる』、これはあたしだね。ご飯を一緒に食べると仲良くなれるよ。そうすれば能力がよく出てこないかなー、と。えへへ」

 我ながらふわふわしたアイデアだが、これしか思いつかなかったのだから、仕方がない。

「次は、『それぞれが好きなところに行く』、ふむふむ。これは誰が書いたの?」

 月平が手を挙げた。

 「はい!それぞれの子がどの生活環境にいるかわかれば、その動物の生息地に似たところで様子を見れるので、リラックスして能力が伸びるかもと思いました!」

なるほど。敵を知れば百戦選危うからずってやつだね。おぬしできるな?

 続いて「『よく話をする』、これは?」

控えめに手を挙げたのは衣奈さん。

「パートナーの子と沢山話をすることで、なにか能力を伸ばすためのカギが見つかるのではないかと思います」

ほほー。聞くのが一番てっとり早いとは。うんうん、さすがだねー。

「『なでまくる』?んーと、誰かな?」

「うちや」椅子に座っている乱ちゃんが長い足を高く組み替えながら言った。

「やさしくなでまくんねん。そーすればきっと気持ちようなって、なんでも言うことを聞いてくれて、勝手に能力が伸びると、ウチは思う」

うっわー、乱ちゃん色っぽいー。ミニスカートのからはみ出している足きれーい。見てるだけでどきどきしちゃう。

「最後のカードは、物理的攻撃を与える・・・?んん?えーと。誰かな?」

層君が手を挙げた。

「書いてある通り。火に近づけてみたり、水に濡らしたり、衝撃を与えたりして、なんらかの物理的な刺激を与えると、危険を察知して何らかの反応が出ると思うんだ。反応が出た項目に対して、さらに刺激を強くしていって閾値を超えると能力が伸びてくる可能性が高くなるんじゃないかな」

えーっと、つまりいじめてやる、ということなのかな?うーん。他人の意見を批判しないってことだから、これはこれでいいのかな?優しそうな層君にしては過激な意見だけど、層君が言うことだから信じちゃう!


 「えーと、ほかに新しいアイデアがなければ、一つ一つ全部試して行くというのはどうでしょうか?それぞれのアイデアを行う順番ですが、これもじゃんけんで決めちゃいますか?」

 メルちゃんが順番の提案があるそうだ。

「目的は能力を伸ばしてあげることです。昨日のレイカ様のご説明では、最初にコミュニケーションを多く取るということでしたので、一緒にお食事をしながらいろいろお話をして、お互いのことを理解するところから初めて見てはいかがでしょうか?」

これには誰からも異論がでなかった。


 「ねえねえ、MoNStErの子って食べ物で何がすきなのかなー?教えて!」

「わたしたちは、基本的に蜂蜜を摂取するのー。エネルギー取りやすいしー」

ウサギのモナ香ちゃんが眠そうに教えてくれた。


 「あたしは恐くないよー。蜂蜜だよー。美味しいよー。こっちへおいでー」

できるだけ優しげな声で雪ちゃんを誘ってみるが、近づいてくる気配はない。

雪ちゃんは怖がっているのか、部屋の隅の方に逃げていった。

「・・・もん」え?今なんて?

「マキちゃんと仲良くしないもん!」えー!?最初から嫌われてる!?

 

 そこへ、ノックをして

「みなさーん、なにかお困りのことはないですかー?」

ドアを開けて、研修担当の万歳さんが部屋へ入ってきた。

 その瞬間、開いたドアの隙間を通って、雪ちゃんが部屋の外に飛び出していった。


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