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第2話 4

4

 実質、今日がそれぞれのパートナーときちんと触れ合うのは初めての日だ。まずはそれぞれのパートナーに話しかけて見ることにした。それと併せて、考えてきた名前も付ける。


「それじゃ、ウチから話してみる。ハ、ハロー?」なんで英語やねん?と心の中で突っ込んでしまった。

 すると乱ちゃんのパートナーのカラス君が、

「やっとゆっくり話せるな!俺のパートナーは乱で、俺はハシブトガラスタイプの第二世代「MoNStEr」、製品コードはCRWだ。よろしくな!

オレのタイプの個別能力は目がよく、見たモノを録画できるんだ。研修中に練習してうまく使いこなせるように協力頼むぜ。

俺たちは第二世代のMoNStErだけど、研究所ではいろいろなタイプの第二世代「MoNStEr」が既に個別能力を使いこなしているからそんなに心配はしていないんだけどな。

そういえばカラスって鳥の中では頭がいいんだってな。ということは俺様天才だったりして。

へへ照れるな。それからカラスは鳥だから飛ぶこと・・・」


 「カラス、ぐだぐだとうっさいねん」

乱ちゃんがむんずとカラス君の嘴をわしづかみにした。

「いい加減にせんと焼き鳥にしてまうど!」いやいや乱ちゃんそんなに怒らなくても。どう見ても動物虐待でしょう?

 「わかったら静かにしいや」

ようやく嘴が解放されたカラス君は、

「そのためらいのない突っ込み、感服しやした。このカラス、姐さんに一生ついて行きやす!」

「おう。ウチんとこの修行は厳しいで」

 なにこの小芝居?どこから突っ込んでいいの?関西人でないわたしにはハードルが高いよー。


 「そんでな、ウチのカラスの名前は『焼き鳥』や。今決めた」

 いやそれはあかんやつでしょう?

 乱ちゃんは(どやぁ)と何かを期待した目でこちらを見ている。カラス君も同じ表情をしている。突っ込んで欲しそうだ。

突っ込んだら負け、とみんな目を合わせないようにしていた。

 すぐに乱ちゃんは我慢の限界がきたのか、弟の層君に蹴りを入れていた。

「いや姉さん、もう少しましな名前をつけたほうが」

「相変わらず突っ込みが甘いな、あんた!しゅっとしいや、しゅっと!」

なぜ関西人は(ぼけと突っ込み)を会話の基本にしたがるのでしょうか?

 結局乱ちゃんのカラス君は「黒光勘九郎くろびかりかんくろう」という渋いのかなんなのかわからない名前がつけられた。どうしたら勘九郎なの?しかも長いよ。

 カラス君もうんうんとうなずいていたので、これはこれでいいのか。

 でも初対面の筈なのに、なんでこんなに息ぴったりなんだろう?


 「次はわたくしのパートナーのウサギさんですわね」

 衣奈さんのところのウサギさんが丸くねころんだまま、

 「はーい。わーたーしーはー、見ての通りーウサギでーす。製品コードはーRBTでーす。よろしくー」

 なんだかテンションが低く、とても眠そうに見える。

 「ええと、ウサギさん、ほかに何か自己紹介とか?」

 「ええー、面倒だなー。パートナーはメルちゃんです。ウサギの能力は聞いた音を録音できることでーす。能力の練習は明日からがんばりますー。以上」

 もしかして引きこもり系?かわいいからいいけど。モモフでモフモフで、このまま連れて帰りたいくらい。

 「名前は、もな香ちゃんといたしました」

 多少苦笑いしながらメルちゃんが名前を披露した。かわいい名前だねー。

 「その、色が最中に似ているので・・・」

 恥ずかしそうに言うメルちゃんですが、基本食べ物からぶれないなー。


 「わたくしのパートナーは月平様です。

わたくしはカメレオンタイプで製品コードはCMLとなります。

わたくしは既に能力が発現しておりまして、体の表面に写真や絵画のような模様を自由に映すことが出来ます」

そう言って、カメレオンさんは体の表面に月平の顔写真を出して見せた。これはすごいよ!フォトアルバムいらないね!

 「能力以外でも月平様のお役に立てるように努力する所存です。

ほかのパートナーの皆様もなにかお困りのことがありましたら、遠慮なくわたくしにご相談下さりますよう、よろしくお願いいたします」

 体の色を元にもどした後、よく見たら体の表面がでこぼこしていてすごく硬そう。性格も堅そう。

 「昨日、この人の種類を調べたんだ。ロゼッタカメレオンというらしい。そのまんまだけど、名前はロゼッタにしようと思う」

 月平、見かけによらずマメだな。

ロゼッタか。女の人っぽい感じが出てるよ。なんか外国の映画とかでお堅いメイド長とかしてそうな。


 層君のパートナーは先ほどからずっとにやにやしている、体が緑色で表面がぬめぬめしてるカエル。生理的に受け付けない。いくら層君がイケメン・ステキ・カッコイイ・サワヤカ・美少年の五拍子を持っていても、これだけはごめんなさい。

 層君も女子の微妙な空気を読んだのか、苦笑いしている。

お姉さんの乱ちゃんは無言で層君の肩を優しくぽんぽんとたたいていた。


 「うひひ。三崎工場勤務の女の子はかわいい子ばかりだぜ。特に乱ちゃんとメルちゃんの豊満なおっぱ・・・」

 カエル君が言いかけたとき、乱ちゃんの痛烈な蹴りが入り、カエル君は会議室の壁に叩き付けられていた。

 「なにこのカエル。さぶいぼたつわー」

 さすがの乱ちゃんも両腕を擦りながら、蹴った靴底に付いたと思われるナニモノかを床に擦り付けていた。


 かなり強く蹴られた筈なのに、カエル君はぴんぴんとして層君の所へ戻ってきた。

 「オレはカエルタイプの商品コードFLG。よろしくだぜ。能力は殴られても蹴られても大丈夫なことだな。好きなモノは女の子だぜ。特に」

と言いながら、にやにやしながら乱ちゃんとメルちゃんの胸のあたりを凝視している。あたしの方は一切見ない。なにこのエロガエル。


 「ええと、変なことをしないように押さえつけておきます。すくなくとも僕のパートナーなので優しくしてやって下さい」

 うん。層君がそう言うなら。でも近寄るのは無理です。本当にごめんなさい。

 「名前はぴょん吉。江戸屋ぴょん吉と名付けました。ちなみにシャツには貼り付きません」

 ・・・、層君は実は残念なネーミングセンスなのかな?


「あんた・・・、中途半端なボケをかますくらいなら言わんほうがましやで・・・」

 乱ちゃんが残念なモノを見るような目をして優しく層君の肩を叩いていた。


 まさかのエロキャラクターの登場で会議室の空気が微妙になったが、もう一人大事な人がいる。気をとりなおして、

 「最後にあたしのパートナーの、ええと、自己紹介をどぞっ!」

あたしのパートナーはどんなタイプか気になるよー。楽しみだねー。

 ところが、この子はなにも話さず、一緒にいたウサギさんの後ろに隠れてしまった。ひょっとしてシャイなのかな?

 「聞こえなかったのかな?もう一度、どぞ」

こんどはカラス君の後ろに隠れてしまった。すごいはずかしがりやなのかなー?


 あたしはカメレオンのロゼッタさんの方を向いて聞いてみた。ロゼッタさんがこの中で一番頼りになりそうだし。困ったときのロゼッタさん頼み。

「この子はどうしたのかな?」

「わたくしたちは一緒に研究所で言葉や知識の勉強をしていました。この子も以前はよくお話をしてくださいました。ところが一週間前から一言も話さなくなってしまったのです。わたくしたちも心配しているのですが・・・」

一週間前になにがあったんだろう。なにかショックなことがあったのかな?あたしが助けてあげられるといいんだけど。

 「ええと、あたしも名前を考えてきました。この子の肌は真っ白で、冬にあたしの実家のあたりに降ってくる柔らかい綿雪のようだったから、(雪ちゃん)って」

 あたしがそう言った瞬間、雪ちゃんと名付けられた子は目を大きく見開いてびっくりしたような、でもすぐに悲しそうな表情をして、下を向いてしまった。


 後日層君から、「それやったら綿雪ちゃんやないかい!雪ちゃんやったら綿雪のくだり関係ないやん!」って姉さんが小声で突っ込んでいた、と教えてくれた。いったいどこまで・・・。


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