おまけ1
前回から約1ヶ月くらい放置していた・・・。
美琴と再会してから2年が過ぎた。全く時が経つのは早いものだ。
「お母さん、絵本読んで!」
「はいはい、じゃあ今日はこの絵本を読んであげましょうか。」
「・・・こうして、お化けと怪獣は楽しい夏を過ごしました。おしまい!」
たった10ページほどの絵本を子供に読み聞かせた。それだけなんだが、非常に疲れた。――別に歳のせいではない。た、たぶん。
まあ、言い訳のように聞こえるかもしれないが、絵が悪いのだ。題名が『お化けと怪獣の夏休み』。ここから読む気が湧かない。「じゃあ買うなよ」と思うかもしれないが、話に関しては群を抜いている。この本だってお化けやら怪獣やらめちゃくちゃな設定なのに最後はセンスのあるネタで締めくくっている。グダグダするところがなく、私でさえも続きを読みたくなる。ただ、もう少し絵が上手なほうがいいかもしれないが。
美琴に押し付けられた本だったが、読む価値はある。今まで避けてきたことを後悔した。
美琴ももう1人前なんだなと思った瞬間だった。
その日の晩。娘の美紅を寝かしつけたあと、美琴にメールで絵本の感想を打っている。よく考えたら私から美琴にメールを送るのは初めてかもしれない。
『美琴へ
例の本、読ませてもらいました。今日はその感想を送りつけてやろうと思います。
まず、題名は正直「変なの」と思いました。設定も無茶苦茶だし、始めは読む気はしませんでした。でも、読んでいるとギャグやストーリー展開にいつの間にか引き込まれている自分がいたので、ちょっと悔しかったです。
次に、絵のことですが。申し上げにくいんですが・・・もう少しレベルアップさせたほうがいいと思います。お化けはなんとか分かりましたが、怪獣はまるでトカゲのようでした。手先の器用な美琴なら、きっと絵も上手になるはず!期待しています。
最後に、本と関係ない話ですが。今度、時間があったらお話しましょう。
それではまた会う日を楽しみにしています。 流花』
ふう・・・。メールって結構難しい。手紙もそうなんだが、この手のコミュニケーションツールは自分の意見を正確に伝えられないことがある。だから、適切な言葉を使わないと誤解を招いてしまう。本当は実際に顔を見合わせながら話せばいいのだが、美琴は何かと忙しいのか、前回会った時からかなり時間が過ぎてしまった。なかなか会えない人とのコミュニケーションには、メールが最適である。
「また会えますように。」そう願いながら送信のボタンを押した。
1ヶ月後。美琴に会うチャンスは案外早くに回ってきた。
「メール、ありがとうございます。」
と言って、待ち合わせ場所に来た美琴。2年前より大人しくなっているのかなと思ったが・・・いや、また騙されるかもしれない。ちょっと警戒していたが、美琴はそんな私も気にせず、メニューに目を落としていた。
――あらやだ、本当に大人っぽくなっているのかしら。
その豹変ぶりは、思わずおばさん言葉を口にしてしまうほどである。
「美琴、今度こそ落ち着いたのかな?」
「ええ、まあ。一昔前よりは。」
美琴は私の質問にも冷静に答える。確かに高校生の時だったら、「先輩ひどいです!そんなに私のことを信じられないんですか!」と頬を膨らませ、言っていただろう。
「最近、どう?」
とりあえず話を変えてみる。騒がしくない美琴といるとなんだかこっちの調子が狂う。いつものマシンガントーク女に戻ってくれると嬉しいのだが。
「安定していますかね、経済的にも余裕が出てきましたし。」
ダメだ、完全に大人としてレベルアップしてしまっている。本来は喜ばしいことなんだろうが、キーキー言ってる美琴しか見たことがない私にとって、この美琴は他人なのではと感じてしまうほどである。
「恋愛面はどうなの?」
「・・・結婚を前提にお付き合いさせてもらっている方は、います。」
わざとおどけた口調で聞いても歯切れの悪い返事しか返ってこない。
「どうなの、彼とはいい感じ?」
私は軽く聞いたつもりだった。しかし、その発言は彼女の琴線に触れたようで、
「先輩には関係のない話です!」
大声で怒鳴られてしまった。幸い、お客さんが他にいなかったので騒ぎにはならなかったが。
「ごめん、無神経だったわ。」
触れてはいけない話題だったのかと思うと罪悪感が込み上げる。私は素直に頭を下げた。美琴も同時に謝罪する。
「こちらこそ、大声を出してしまってすみません。」
一応和解はできたものの気まずい空気が流れる。うう、重いな・・・。その空気を断ち切る美琴の鈴のような声。
「先輩・・・。」
「何?」
「ちょっと相談に乗ってほしいことがあります。」 (続く)
終わらなかったーーーーーーーーーーー!!うわーん、どうしよう!
読んでくださりありがとうございます。ごめんなさい、次で終わりにしますので。




