第1話 出会いは突然に
「ん?」
青い空が広がる登校時間に、
どこからか知らないけど誰かの声が聞こえたがする。
「あら、突然どうしたの二実?」
あたしの疑問に反応したのが一緒に登校してた夏でさ、
あたしの顔見てあっけらかんとしてた。
「ああ、なんでもないよ。
ただ誰かがあたしを呼ぶ声が聞こえた様な……
そんな気がしただけだからさあ」
「ふーん、変なの」
「あはは、変だよなあ」
とにかく今日も一日お勉強だ!
頑張るぞ、おーっ!
うん、なんかあたしこんなキャラじゃない気がするけど気にすんな!
島百合団や生徒会で頑張ってるみんなを見てると、
あたしも負けられないと思っただけだからさ!
○
「皆さんおはようございまーす!」
1年D組の教室にある各席に生徒のみんなが座ると、
先生の元気な挨拶が来たのさ。
その元気な挨拶に、あたし達生徒は
これまた元気に挨拶を返したわけ。
「はい、それでは皆さんに大変嬉しいお知らせがありまーす!」
先生の言葉にみんながざわつく。
「嬉しい知らせってなんだろ」
「秋月さん、きっと転校生でも来たんだと思うよ?」
あたしの疑問に答えるのは、隣の席にいるただの知り合いさ。
特にこれと言った特徴もない普通の子だよ。
「そっかあ」
「うん、うちに転校生なんて半年ぶりぐらいだもんね」
「だよねえ」
それにしてもみんなざわつくのをやめないなあ。
まあ気持ちは分かるけどさ。
「みんな静かにしなさーい。今から新しくやってきてくださった
転校生の紹介をしますからー!」
先生が転校生の話を切り込むと更にざわめきがアップ。
まあ仕方ないね、久々の転校生だからねえ。
「あはは、流石にみんなも興奮してんね」
「うん、私も内心はみんなみたいにハシャぎたい」
「あたしも同意見さ」
とは言え先生も困り果ててるし、ここはあたしが一声!
「みんなー! とにかくあたし達で新人さんを歓迎しようぜー!」
あたしの大きな叫び声に反応して返事を上げる。
それから大人しくしてくれたさ。
「ほっ……では、佐世保ハガネさん。
どうぞお入りください!」
鋼とはまたスゴい名前の女の子だなあ。
そりゃ教室中もざわめくってもんだ。
「すごい硬そうな名前だね?」
「本当にな」
一体どんな顔した子だろうね。
でも遠くの席にいる夏だけは、
特に驚いてる感じでもないからこっちがビックリだわ。
そしてお待ちかねのハガネさんが教室の中に入ってきた。
「おおーっ……」
あたしはその子の顔を見て呆気に取られたよ。
だって鋼と言う名前とは似ても似つかないぐらいに
とても背が低くて緑髪もサラサラしてて可愛い子だったから。
だからクラスのみんなも言葉を失うしか無かったっぽいね。
あたし達がマジマジとその子を見つめる中、
その子は教壇に立ったのさ。
「さあ佐世保さん、自己紹介をお願いね?」
「は、はい先生……あ、あの……ボ、ボク……
佐世保ハ……ハガネと申します……」
わお、ボクっ子だしなんかモジモジしてるし、いちいちあざといな!
もう、超カワイイやん!
「はい、ありがとうね佐世保さん。
みなさん、この通り佐世保さんはとても照れ屋さんなので、
あまり強く当たらないであげてねー」
先生の声にみんなは快く返事をしてた。
「もちろんっすよ先生!」
それはあたしも一緒だけどな!
「ええ、それでは秋月さんの隣がちょうど空いてますから、
そこにお座りなさいな」
「あ、はい……失礼します」
んっふっふ、可愛い子ちゃんがこちらへやってくるぜえ。
たまらんばい!
「いいねえ、最高じゃないか!」
「秋月さんったらー、あんまり苛めちゃダメだよ?」
「分かってるってばあ!」
ハガネちゃんはこっちにやって来るとあたしに強く頭を下げてきた。
「あ、あの! これからもよろしくお願いします!」
「よっろしくー!」
でもそんなに畏まらなくてよろしくってよ。
別に取って食べないもんね、あたしゃ橘花と違ってね!
「あわわ……っ!」
でも、何故か怯えながら席に座ったよ。
あたしなんかやったかな?
「ほら、早速秋月さんの鋭い眼光が佐世保さんを食らった」
「ええ、あたしそんな睨んでたかなあ……」
うーん、よく考えたらあたしこう言う
小動物系の女の子とは話す機会が無いんだよなあ。
なんせあたしの周りは揃いも揃って色物ばかりだし。
「そうだよ、気を付けないとまた日向さんにぶん殴られちゃうよ?」
「うっ! そ、それだけは勘弁!」
マジであいつはやり兼ねない!
「あ、あの、あなたのお名前を……教えてください」
「あれ、今のあたしに?」
「どう見てもそうだよ。秋月さんの顔を見ているし」
そっか、こりゃあ光栄だぜ!
「あはは、メンゴー!」
「あ、いいえそんな」
「あたしの名前は秋月二実っての。
気軽に二実って呼んでくれて構わないぜ!」
「あ……それではよろしくです……二実さん」
たまらん可愛すぎて変な声出ちゃう!
「おっほーい!」
「ひっ!?」
「あらら、秋月さんが変な声出すから怯えてる」
「うう……」
やっばい、まさか奇声を上げただけで
こんなに怯えるとは思いもせんかった。
「ああごめんねハガネちゃん、あたしったら興奮してついさあ!」
「その……えっと……問題なしです……」
うーん、このピュアな反応たまらん!
「佐世保さん、私は並……」
「さあ、もうすぐ授業が始まるから、みなさん静かになさーい!」
「おっと、授業の用意しなきゃね……。
あれ、どうして泣いてんの?」
「な、なんでもないです……ああ……私の名前の見せ場ぁ……」
「ん? 変なの」
とにかくこれからは癒しの時間が増えそうだぜ!
「よっしゃハガネちゃん、教科書は持ってきたかい?」
「は、はい! 初日に忘れ物……してるよボク……」
「オッケーオッケー、あたしの見せるから席を寄せなさい!」
「あ、す、すいません!」
「気にすんなってばあ!」
よし、スキンシップに頭撫でたる!
「あ、あの……何をして?」
「気にしない気にしない!
ちょっとやりたかっただけ!」
「あうう……」
うん、この反応はガチカワイイ!
ただし、遠くにある二つの別席から、
とんでもない殺気がぶっ飛んで来てるのは内緒だけどな!
○
2014.1.29 大幅改訂




