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歌声戦隊セイレンジャー  作者: 沙φ亜竜
第6話 すべては輝ける未来のために
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-1-

「ひまわりさん、大丈夫?」


 なんとなく、聞いているだけで安らかな気分になるような、そんな優しさすらも感じる声。

 気づくとあたしの目の前には、男性の顔があった。

 とても懐かしく、温かな笑顔の彼――。


「大樹……くん……?」


 あたしのつぶやきに、彼は肯定の意思を示すように目を細める。

 そこで、今の自分の状態が、ようやく理解できた。

 あたしは大樹くんに、「お姫様抱っこ」で抱えられている!


「~~~~~っ!」


 声にならない叫びをあげながら、あたしの顔はみるみるうちに真っ赤になる。

 恥ずかしいけど、嬉しくて、どうしていいやら。


 でも、懐かしい温もりと懐かしい匂い……。

 本当に大樹くんなんだ。


 ぎゅっ。

 思わずあたしは、大樹くんの首筋に腕を回し、強くしがみついていた。

 と。


「――コホン!」


 わざとらしい咳払いの音が聞こえた。

 ハッとなって、あたしは視線を音のほうへ向ける。


 そこにいたのは、ひとりの女性。それは、ジュラさんだった。

 いつもと同じコート姿ではあるけど、帽子やマフラーは外していた。


 ジュラさんは、抱えていた蘭ちゃんを優しく地面に下ろしているところだった。

 おそらく蘭ちゃんをレーザーから守ってくれたのだろう。

 そしてあたしは、大樹くんによって守ってもらった。


 目の前の大樹くんの顔を、熱い瞳で見つめる。

 ニコッ。

 大樹くんは笑顔を返してくれた。


「コホン! 今はそれどころじゃないでしょう? 早く離れなさいな」


 再びの咳払いを受け、あたしは真っ赤になったまま、素早く大樹くんの腕の中から身を下ろす。

 自分の足で立とうとして、ちょっとバランスを崩すと、大樹くんが優しく手を差し伸べてくれた。


 ああ、本当に大樹くんだ……。

 涙が出そうになった。

 だけど……いったいどういうことなのだろう?

 あたしはその疑問を口にした。


「ずっと見守ってたんだよ。本当はあのマンションから連れ出したかったけど、拒否されちゃったし……」


 温かな声で、大樹くんは答えてくれた。


「いつの間にか、他の人と一緒に住んでたし。それもまさか林檎さんと海斗くんだったとはね。さっき聞いてびっくりしたよ」


 そう言いながら再び笑顔を向けてくれる。

 ――さっき聞いて……?

 ということは……。


「あっ、さっきジュラさんの隣にいたのって、大樹くんだったの!?」


 坂道での一件があったあと、ジュラさんが現れたとき、隣にはひとりの男性がいた。

 それが、大樹くんだったというの?


「うん、そうだよ」


 あたしの悲鳴だか歓声だかわからないような声に、大樹くんは頷きを返してくれた。

 そうだったんだ……。


「無事だったんだね。よかった……」


 生死を問わず、という条件つきで政府から追いかけられているはずの大樹くん。

 ジュラさんの組織とやらも怪しいと思っていたし、彼女が大樹くんのバッヂを身に着けているのも見てしまった。

 だからあたしはてっきり、もう大樹くんは捕まって、大変なことになっていると思い込んでいた。


「でも、どうして大樹くんがジュラさんと一緒にいるの? それに、どうしてジュラさんが大樹くんのバッヂを着けてたの?」


 次々と浮かんでくる疑問の波を、あたしは止めることができなかった。

 そんな疑問にも、大樹くんはちゃんと答えてくれた。


「バッヂ? ああ、そうか。あれはね、僕がジュラに渡しておいたんだ。お守り代わりにね。ジュラは、僕のいとこなんだ」


 ……え? いとこ?


「はい、そうなんですのよ」


 ジュラさんが言葉を挟んでくる。


「大樹のことを最初から話そうとも思ったのですが……」

「ひまわりさんを驚かせようと思ってね、僕がいることは黙っててもらったんだ。でもそれが余計な混乱を招く結果につながってしまったんだよね。ごめん」


 大樹くんが、あたしに向かって頭を下げる。


「ううん、そんなこと……! 確かにちょっと、というかすごく混乱してるかもだけど、でも、大樹くんが無事でいてくれて、ほんと嬉しいよ!」


 そう言いながら大樹くんの肩にそっと手を触れると、彼は顔を上げ、またもや温かな笑顔を返してくれた。


 大樹くんの笑顔を見つめるたびに、胸がきゅんと熱くなる。

 ああ……。あたしは本当に大樹くんと再会できたんだ……。

 あたしはとても安らかな気持ちに包まれていた。


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