終わりのその先
マリアは大きな墓地を歩いている。
右にも左にも、墓が並んでいる。
マリアは歩いていく。
一歩、また一歩。
同じ赤い花を抱えて。
一歩、また一歩。
やがて、一つの墓の前で立ち止まる。
マリアはしゃがみ込み、花を墓前に置く。
墓には、たくさんの花が供えられている。
何百本もの花がある。
墓石には、こう刻まれている。
マルス
生年月日 1972年1月20日
死亡日 2021年5月10日
「マルス……見て。この花を。みんな、本当にあなたのことを好きになったんだね」
マリアは悲しそうに見つめる。
「そうだね。あなたの好きだったお酒も持ってきたよ」
マリアは鞄を開け、酒を取り出す。
しかし、その拍子に鞄の中からいくつかの物が落ちる。
「くそ……」
マリアは落ちた物を鞄に戻す。
そして、地面には一丁の拳銃が残っていた。
マリアはためらいながら、それを手に取る。
「これ……持ってきたんだ。どうしてなのか、自分でも分からない」
「ねえ、マルス……」
マリアは墓石に頭を預け、静かな声で話す。
「ねえ、マルス。正直に言うと、最初はあなたのことが嫌いだった。でも、何年も夫婦として一緒に過ごしているうちに、あなたは私の人生から切り離せない存在になっていた。私は……」
ほとんど聞こえないほどの小さな声で、
「……あなたを愛してる」
――
マリアは拳銃を目の前に持ち上げる。
そして、とても小さく、疲れ切った悲しい声で歌い始める。
「ねえ、マルス……
あなたは私の人生を奪って、私を置いていった……」
マリアは息を吸う。
「起きてよ……
一緒に死ぬのか、それとも……
私は一人で迷い続ければいいの?」
マリアは再び、彼の墓を見る。
そして、もう一度息を吸う。
墓前には、まるで彼が聞いているかのような静寂があった。
けれど、返事はない。
マリアは銃のスライドを引く。
そして、拳銃を頭に当てる……。
もう一度、墓を見る。
何かを話そうとするかのように、息を吸う。
そして――
発砲。




