sins of the classroom
天正第二中学教室。
「ひーまー・・・だってのー。なんかおもしれーことねーのー?」
三上とキャロライン、そしてグレイシアがいない教室。割とそれだけでこの教室は結構日常的な空間になっていた。
「道山さん、あの授業ちゃんと受けてくれないかな?」
授業をしていた副担任の佐藤 錦がメグを注意する。
「ぁあ?うっせーっての童貞ティーチャー。あーあ、おもしれー女いないとつまーんねー。なんかこう、ばーっと無いのー?つか文化祭以降敵の襲撃ねーしさー」
その中メグは暇そうに椅子をぶらぶらさせていた。
「別に襲撃ないのはいい事なんじゃ・・・」
ぼそっとミツキが呟く。
「だってさミッキーよー、前まで大体週一で悪魔ども来てただろ?んで大概誰かしら来てぶった倒す。ショー見てるみたいでおもしれーじゃん、授業潰れるしさ」
「仕方ないよ、みんなそれぞれ準備入ってるみたいだし・・・え?あれ?準備?」
ミツキはふとある疑問が産まれた。
「あ?どした?」
「そういえば私たち、敵も準備入ってる前提だけどさ・・・今この町、ほぼ全員出払ってない?」
「・・・あ」
噂をすればなんとやら。丁度そのタイミングで空が真っ赤に染まった。
「うわぁ!またなった!!」
「いい加減慣れなよさくらんぼ先生よぉ、ミツキがまた馬鹿やったんだろ?なぁ?」
「いや・・・私じゃないけど」
新庄は段々とこの展開にも慣れてきていた。
「っしゃーネー!!三上君いない今!!ここは新生ネー・チャンがやってやるヨロシ!!」
ネーチャンが大きく肩を回して立ち上がった。
「っえ!!?あれ!!ダメ!ネーちゃん!!あれは!!アバドンの騎士!!」
しかしその時だ、ミツキが冷や汗を流して立ち上がった。
「なにヨそれ?」
「悪魔の中でもむっちゃ強い奴!!前に熊野で見た時以来見た事なかったのに!!」
カシャ・・・カシャ・・・
赤い空の彼方から、大きな騎士のような人型の怪物がゆっくりと歩いて学校へと向かってきていた。
「えー!!どうするネー!!?どしヨどしヨ!!」
「ミツキちゃん、私たち全員でも無理?」
慌てるネーチャンを他所に、軽音が冷静にミツキに問う。
「分からないけど、前に見た時は常人の目には追えないくらいの早さで大暴れしてた。止めれたのは白虎君と連携して辛うじて・・・あの強さ、大佐使ってもきついかも」
「げっ、それヤバくない?」
東郷は苦そうな顔をした。
「うん、ヤバい・・・今動ける最高戦力と言えば零羅ちゃんだけど、連絡取りたくてもアイツの影響?このデバイスもバグってる」
ミツキはしきりに腕時計を叩いた。
「しかも、普通の悪魔共まで出てきたぜ?珍しく大規模な侵攻だな・・・小学校方面もやばいか?」
京也は窓の外を覗く。騎士の他にもこれまで現れた仮面の悪魔たちが複数現れている。
「なんで今・・・決戦は冬って言ってたじゃん」
「とは言え、出てきたもんはどうしようもねーだろ。やるしかねぇ」
「・・・だね」
京也は刀を、ミツキは銃を取り出した。
「あんたらそれ普通に持ち込み禁止ってか、銃刀法違反じゃ・・・」
「先生?この状況が日本の法律でなんとかなると思います?」
佐藤 錦の至極まともなツッコミに、軽音は電気バトンを取り出して答える。
「いや・・・ならないと思うけどさ・・・教師が生徒の後ろに下がるのはいささかな・・・避難は出来ないのか?その間に先生たちが警察とかを呼んで・・・」
「避難したところで時間稼ぎにもならないです。それに、警察なんてあてにならない。.38スペシャル使ってもあの悪魔たちはなんの効果もありません。最低でも.45 ACP以上の威力を叩き込まないと・・・」
ミツキは冷静に先生を止めた。
「・・・なぁ東郷、ミツキ君変わったな」
「今更過ぎるでしょ、本人に自覚無いのが腹立つけど。とりあえずこの間の文化祭でシャルロットさんたちからいくつか銃器拝借してるから、それ使おう」
ガチィン!!
東郷は掃除道具入れを開けてその中に隠してあった自動小銃を取り出し、マガジンを入れて弾丸をチャンバーに送り込んだ。
「この学校、天外魔境か?」
「先生もこれ、時間稼ぎしてれば誰かしらは来るからさ」
東郷は先生にも銃を渡す。
「その通りでござる!!!」
その時だ、何処からともなくふざけた声が響いた。
「あ、この声」
何故かフェルトで出来たようなへんちくりんな仮面を付けた麗沢が校庭に立った。
「天が呼ぶ!地が呼ぶ!人が呼ぶ!!悪魔倒せと拙者呼ぶ!!聞けぃ悪人共!!拙者は正義の戦士なり!!キリッ!!」
「なんだ?あのデブ、戦えんのかっての?」
メグは心底呆れた目つきで麗沢を見下ろした。
「そういえば私もろくに戦ったとこみた事ないかも・・・」
ミツキですら、大丈夫かな?と言った顔だ。
「そもそもなんで仮面してんだ?」
「それは勿論!ヒーローとは顔を隠すものでござるからなぁ!!顔隠して尻隠さず!!では行くぞぅ!!とぅ!!へん・・・し!!」
「あーいどいたどいたー」
「fo?」
その時だった。変身しよと高く飛び上がった麗沢は誰かに綺麗に蹴り飛ばされた。
「oh!NOOOOO!!!!」
そして屋上付近までボールみたい飛んだ。その横を小さな影がとんでもない速度で飛んでいく。
「剣!?」
「いや、斧!!」
軽音とミツキが次々に叫ぶ。その影の正体は一つの巨大な斧のような先端を持つ剣みたいな武器だ。それをアバドンの騎士に向かって投げつけられていた。騎士はその攻撃が当たり激しい爆発で大きく身体が損傷する。
「な、なんじゃあの威力!!」
「一撃で死なないのね、めんどーくせ・・・ぬぅああああああああああああああああ!!!!!!!」
剣はまるで磁石に吸い寄せられるかのように後ろへと飛んでいく。そして1人の少年の手に戻ってきた。
「失せろやぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
少年は剣を逆手に持ち、今度は自らが剣と同じくらいの速度で騎士に突撃する。
少年の一振り、今度は木っ端微塵に騎士を消し飛ばした。
「す、すげぇ!!アイツ何もんだ!?」
メグの感嘆の声を他所に、少年は更に暴れ、他の悪魔どもも蹴散らす。
「じゃぁぁぁまぁぁぁぁぁだぁぁぁぁぁぁっ!!!」
「ぁ、ぁあ・・・また校庭がめちゃくちゃに・・・」
暴れる少年は校庭をめちゃくちゃにしながら縦横無尽に大暴れして悪魔どもを蹴散らした。
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・
・
「ふぅ・・・」
ひとしきり暴れ、空は元に戻る。少年はようやく落ち着き姿を現す。少し出っ歯気味で小柄な少年だ。
「特急殿、危ないではござらぬかぁ!!」
男鹿 特急、それがこの少年の名前だ。
「別にいいじゃん。どうせあんた幸運で巻き込まれないだろ?それよりも、おーいみんな無事ー?」
特急は校舎に向かって大きく手を振る。
「無事だけど!!君は!?」
軽音が特急に問う。
「俺?俺は男鹿 特急!!天正第一中の暴れ馬!イッチーこと馬喰 一兆に第二の連中守れって言われたから来た!!因みに言っておくけど俺、キレたら何するか分からないんで、そこんとこヨロシク!!」
特急は自身の背丈程ある巨大な剣のような斧を担いだ。
「はは!てめーおもしれーな!!みんな見たかっての!?あの暴れっぷりよぉ!!見たとこ今のガチで何も考えずに暴れた感じだよなぁ!好きだぜあたし!そういうバーサーカー的なのさぁ!!」
「あ、あいつって確か・・・道山会のお嬢か?」
「お!あたしの事知ってたのかっての!!あたしは道山 恵だ!メガリスって呼びな!あんた!あの鎧野郎ぶっ殺せんだろ!?あたしらにも教えろよ!!」
メグは突然特急に提案をする。
「え、俺!?」
「そう!!どの道つまんなかったんだ!けどよ、かと言って無駄に勝てねー奴とやりたくもねー!昔から言うだろ?自分の身は自分で守れってよぉ!!正直ミッキーはめちゃ強いけどさ、それあの魔法武器ありきじゃん。あんたはその剣でぶっ倒した。つーことは、一定以上の破壊力あれば奴らともやりあえる事だっての!っつーわけで!あたしらにはあんたが修行付けな!!全員でミッキーを支えるくらいには強くなんぜ!!」
そしてメグは勝手に話を進めた。
「えちょ!?俺の学校は!?」
「ぁあ?てめぇあたしに意見すんのかっての?てめーおもしれーからあたしんとこに入れてやるってのによぉ」
メグはギロリと特急を見下ろした。
「あ、はぃ・・・すんませんでしたお嬢・・・」
「・・・キャロラインさんいなくてもあんまし変わらないかも・・・」
ボソッと呟くミツキの言葉は誰も聞いてなかった。
「って訳だから」
「あ?」
気がつけば特急の後ろに軽音が立ち、肩にポンと手を置く。
「こっちに来なよ」
「え?」
そして東郷も。
「にゃふふ!!さぁさぁ第二中へようこそネー!」
「ちょ!?」
更にネーチャンが背中を押して特急を校舎に押し込んだ。
「・・・あのぉ、拙者は?」
「あんたはキメェから要らないっての」
「ほぐわ!?」
対して麗沢は拒否された。
「てめーはあのデカ乳女共と仲良くやってやがれっての〜。あたしはこいつの方が面白そうって思っただけ〜」
麗沢は1人校庭に取り残された。
「拙者・・・拙者の変身シーンは一体いつ出来るのでござる?」
知りません。




