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私の親友を取り戻せ!

 「うおおおおおおおおっっ!!!」


 「にゃふふ・・・」


 私のライトニング・ソードとネーちゃんの『魔刀七星・天石エディション』がぶつかり合う。


 「ネーちゃん!!戻ってきて!!」


 「だから!無駄だって言ってるヨ!!」


 斬撃に言葉を乗せろ、語りかけ続けろ、私の声が届くまで!!


 ガヂヂヂヂヂヂッッッッ!!!!


 鍔迫り合いになった。


 「その昔、三上君も似たような事したって聞いたヨ。神崎 零一行と、その親デアル狭山 刃・・・彼らも今みたいに呼びかけ続け、戦い続ける事で魂を呼び戻したんだッテ」


 「なら!その方法で行けるでしょ!?」


 「ただ条件、生き返るにはその人物にとって最も思い入れのあった人物が呼びかけないと戻ってはこれなイ。ワタシが死んだのはミッちゃんと出会う前・・・そして、ワタシには心の底から許せる友達がいなかったヨ。ワタシは、心の底から誰かを信用した事なんかナイ、表面上だけ明るく振る舞って生きてキタヨ。だから、こんな何も無い奴ニ、何を言っても無駄ネ!!」


 「んなわけ・・・あるかぁ!!!」


 私は無理矢理鍔迫り合いを制した。また斬撃の応酬が始まる。


 「ちっ・・・」


 「例えネーちゃんが!私の事信用してなかったとしても!私は信じてる!!心の底から信用出来る親友だ!!私だけじゃない!!この半年近く!私は大きく変われた!!それはネーちゃんがいてくれたから!!そしてネーちゃんが一緒に成長してくれたから!!私はみんなと並んでも恥ずかしくないって思えるようになった!!


 知らなかった訳じゃないんだよ!?私の趣味は人間観察!!クラスの端っこで人間の会話を眺めるのが私の趣味だった!ネーちゃんは去年!私の記憶に無い存在だった!!確かに明るい人ではあったけど!今みたいに心の底から楽しんでる人生を送ってるようには見えなかった!!だから記憶に無いんだ!!」


 もっと踏み込め、気持ちを全部暴露しろ。例え傷つく事を言うのだとしても!!


 「この動き・・・ミッちゃん、何したネ?剣の動きが違うヨ」


 「知るかそんなもん!!強いて言うならこの銃は経験を蓄積する!!戦う度にこの銃には魂が宿る!!大佐と同じ!私はこの愛銃と一緒に戦ってる!!どんなものにも魂は宿る!!


 ネーちゃん!あなたは本当に死んだの!?寧ろ生まれたの間違いなんじゃない!?かつてのあなたが殺されて!第三帝国に良いように使われる事になってしまったあの日が!三上君に近づく為に私と出会ったあの日が!!あなたが本当にこの世界に生を受けた瞬間なんじゃないの!?だったら私は第三帝国に感謝しなきゃね!!私に親友を与えてくれてありがとうってね!


 ネーちゃん!私を見つけてくれてありがとう!ファッション考えてくれてありがとう!!私と友達になってくれて・・・ほんとありがとう!!!」


 私は涙ながらに呼びかけ続けた。そして、その時だった。


 「ぐっ!!!また!!」


 「ネーちゃん!!」


 また動きが止まった。


 「にゃふふ・・・チョーイ、ワタシの身体で何してんのネ?ミッちゃんごめんヨ?ワタシが迷惑かけちゃったみたいデ。ちょっと死んでたって聞いて傷心旅行してたヨ」


 この感覚、戻ってきてる!


 「大丈夫!!ネーちゃんは死なせなんかしないから!!」


 「ソダネ。こんなとこデ死なない・・・っ!邪魔をするな!!お前はもう死んでイル!!ワタシたちはただの死体!!余計な事を・・・するナ!!!」


 「っ!!ネーちゃん!!ダメ!!!」


 この野郎・・・どれだけ好き勝手すれば!!ネーちゃんは自身の胸に刀を突き付ける。先に止めろ、刃が心臓に到達する前に!!!殺させてたまるか!!!


 「残念だったネ!!遅いヨ!!」


 間に合う!絶対に!!!!


 頭の中では間に合わないと分かっていた。けど、私は信じてる。届かせるのはこの手だけじゃない。伸ばし続ければ、別の手もある!!だからこの手を掴んで!!あなたはこんな奴に負けない!!


 「ミツキ。お前は本当に凄い奴だな・・・ここまで来て諦めないのは」


 「っっ!!!う、動かない!!」


 ネーちゃんはピタッとまた動きを止めた。けど、今度は様子が違う。外部の力で止められているみたいだ。これ、この感覚は・・・


 「桜蘭さん!!」


 「おかげで届いたぞ。本来流れのまま逝く筈の命を取り戻す術を・・・」


 桜蘭さんの能力で動きを止めたんだ。


 「き、協力してくれるんですか?」


 私の隣に立った桜蘭さんにちょっと緊張しながら質問した。


 「そうして欲しいんだろ?本当ならそのつもりは無かった。助けられない運命をどう受け止めるのか見届けるつもりだった。だが、お前のこれまでの生き方が、そんな世界の理を捻じ曲げた。だからちょっと見てみたくなった・・・お前の作る未来が、どんな風になるのかを」


 桜蘭さんはネーちゃんに向けて銃を構えた。


 「くっ!!!ワタシを舐めルナ!!」


 ネーちゃんは無理矢理身体を動かした。


 「動けるとはな、死体の割には強い意志持ってるじゃないか。いや、身体を動かしているのは本来の魂か・・・彼女の生きたいという意志がお前にも影響した・・・ミツキ、この手の敵の倒し方を教えてやる。精神ダイブだ・・・まずは奴の精神の隙を探せ。さっきみたいに呼びかけ続けるんだ。お前の呼びかけで彼女の精神をこじ開けさせる・・・後は彼女自身だ。あいつが、本当にお前に心を許していたのなら、向こう側から精神の扉を開けてくれる筈だ」


 「そういう事なら大丈夫・・・絶対に!!」


 私は拳を強く握った。


 「ふっ、それなら良い・・・構えろミツキ、その銃の使い方にはまだまだバリエーションがある。学んでいけ」


 「言われなくても!!ライトニング・ソード!!」


 「ライトニング・ソード・・・」


 私の銃と、桜蘭さんの2丁拳銃の銃口からエネルギーの刃が形成された。


 「「行くぞ!!」」


 互いに走り出し、ネーちゃんの左右へと回り込んだ。


 「悪魔ヨ!!防ゲ!!」


 両側からの攻撃はネーちゃんの背中から生えた蝙蝠翼に遮られる。


 「にゃふっ!コイツ結構硬いっショ!!」


 「ルイのセグンド・エスタードマキシマと同じレベルの防御か・・・ミツキ、離れろ」


 桜蘭さんは上に飛び上がり、私も剣を一旦引いて距離を取った。


 「ライトニング・スピアー」


 その時、桜蘭さんは自身の二丁銃の先端から伸びる剣を撃ち放った。


 「んあ?何処狙ってるネ?」


 ただ、2つとも大きく狙いは外れてエネルギーの刃がただ地面に刺さる。


 「俺の戦い方くら事前に調べておけ・・・スパークボム」


 「っ!!!?」


 エネルギーの刃が炸裂し、ドーム状の放電が放たれる。差し詰め電撃の爆弾・・・あの羽じゃ防ぎきれない。


 「ちぃ・・・ちょこざいナ!!こんなもんで倒せると思わないでよネ!!!」


 ネーちゃんは私たちに向けて指鉄砲の構えを取る。そして指先に何やらエネルギーの塊が集まりだした。なんとなくで分かる・・・アレの直撃はまずい。


 「成る程、ここら一帯をアレで焼き払う魂胆か」


 そして桜蘭さんはアレの威力を観察していた。


 「っ!!そんな!やめてネーちゃん!!そんな事したら!!」


 「学校吹っ飛んじゃうネー、皆死んじゃって心折れちゃうネー。大人しく死んでれば良かったのにサ」


 「違うわ!あんた馬鹿か!?そんな事したら!せっかく作ったネーちゃんの服が消えて無くなっちゃうじゃんってこと!!」


 「ソッチ!?」


 「そっち!!」


 私の知る限り、ネーちゃんは学校が壊れる事よりもそっちの心配が上回る。


 「ふっ・・・良い言葉選びだな」


 桜蘭さんがネーちゃんに向けて銃を構え、こっちもエネルギーを蓄え始めた。


 「ネーちゃん!ひとつだけ聞きたい!!今回のファッションショー!私!何点だった!?」


 「何言ってるネ・・・今置かれてる状況考えてル?ワタシがこの力を解き放てば全て消え去るのニ・・・じゃ、そろそろサヨナラ」

  

 極太のレーザーみたいのが放たれた。


 「ライトニング・エクストリーム・・・」


 それに対して桜蘭さんも同等レベルの攻撃を放った。上空でエネルギーがぶつかり合う。


 「私は、自分で100点を付けられるぐらい完璧だと思ったよ。だから聞きたい、他者から見た私の感想は!?」


 「だから!!無駄だって言ってるのが分からなイ!?無論!!1000て・・・・っ!!?」


 「そこだな・・・ミツキ!!俺に触れるッス!!」


 私は桜蘭さんに触れた。



 




 「ここは・・・?」


 目を開くとそこには何もない真っ白な空間が広がっていた。隣には桜蘭さんがいる。


 「ここはチャンの精神世界だ」


 「何もない・・・」


 精神世界ってこういうものなのかな。それより、肝心なネーちゃんは何処だ?


 「いてっ!」


 私が歩こうとしたら何かにぶつかった。机?見えないけど、机みたいのにぶつかった。


 「成る程・・・通常、精神世界はその人物にとって最も思い入れのある場所が反映される。だが元より死んでる彼女の世界には何も映っていないと言う事か」


 「その通りだヨ」


 いた・・・けどこいつは違う、あのムカつく奴の方だ。


 「ミツキ、俺が手伝えるのはここまでだ。後は、お前自身でなんとかしてみせろ。俺は・・・こいつらの相手をする」


 桜蘭さんの向いた方向・・・黒星、クラーク・・・それだけじゃない。こいつらが、第三帝国・・・


 「こんなにも私の親友にへばりついてたんだ・・・キモ」


 「あぁ、まるで寄生虫だ。だが、それがこの世界の人間の本質だ。この数を見れば分かるだろ?」


 「分かるよ・・・人間が醜いなんて事はとっくの昔から知ってる。けど、それと同じくらいに美しいって思える人間はいる。そして、その美しい筈の人間はこの醜い人間たちの中にいる!私は!そういう理不尽な事する奴は!!大っ嫌い!!!ネーちゃんの皮被った寄生虫!!今!駆除してやる!!」


 私は改めて銃を握った。


 「そういうわけだ、害虫駆除開始」


 桜蘭さんは少しだけ笑うと銃をぶっ放し、戦いが始まった。

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