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あなたの願いは!?

 ガチッ・・・


 私はおもむろに銃のシリンダーを開けた。蓮根の穴のような弾倉の中には5発の特殊な弾丸が入ってる。私はエジェクターを押してその弾丸全てを取り出した。


 「ナニ?いきなりどしたノ?」


 「この銃は、この弾丸が媒介になってこの世界でも私は魔法が使える、桜蘭さんが私のために用意してくれた特別な弾丸」

  

 「ソレガ?」


 私はネーちゃんにこの弾の説明を始めた。


 「ただ、この弾はあくまでも私自身の護衛の為の弾。威力は抑えられてる・・・ほら、中が空洞になってるでしょ?ここにBB弾はめてサバイバルゲームでも使えるようになってるんだ。桜蘭さん、クールに見えるけど案外気配り上手だよね。この弾だったから私は、この銃で戦いと部活を両立出来た。けど」


 私はぐっと弾丸を握る。


 「これからの戦いには、こっちの弾・・・使わないとね」


 私の手の平には真っ白な弾頭の弾丸が握られていた。


 「ナニソレ?白い弾頭?」


 「三上君の刀お同じ素材、天井金剛水晶石・・・天石弾。桜蘭さんの銃のマガジン内にも同じ弾が入ってる筈。私は、この戦いこれで戦う・・・宣言するよネーちゃん、5発。この5発を以って私は、ネーちゃんを取り戻す」


 「たった5発デ?にゃははは!!笑わせないでヨ!これはサバゲーじゃ無いんだヨ!?」


 ネーちゃんはそれを聞いて大爆笑した。

 

 「構えてネーちゃん。そうやって余裕ぶっこいてると、間違って殺すかもしれないから」


 私はそんなネーちゃんを無視して淡々と殺気をネーちゃんへと向けた。殺す覚悟を待て・・・奴を殺せ。躊躇うな、あいつは私の親友を傷つけた・・・そんな奴こそ死んだ方が良い。


 ネーちゃんは私の目を見た瞬間に刀を構えた。私は銃弾を空に放り投げ、落下してくる弾に合わせてシリンダーに弾を込める。そしてそのまま銃を天に掲げ、ハンマーを下ろした。


 「1発目・・・『死の螺旋・この世に滞る数多の命・今ここに解き放つ』行くよ、ライトニング・ソード・・・」


 銃口から再びエネルギーの剣が現れる。


 「またそれネ?銃弾変えた意味何ヨ・・・」


 「オーバーブラスティング!!」


 次の瞬間、私の剣は天を裂く程に刀身が伸びた。


 「ワワワワッ!?」


 「ぅぅああああああっっ!!!」


 私は飛び上がって全力で振り下ろした。


 バギバギバギッ!!!


 ネーちゃんはこの攻撃を受け止めた。しかし、その衝撃はこの真っ白な空間にヒビを入れた。


 「痛ったー!!!手が痺れル!!」


 「まだまだ・・・『囚われし罪なき魂よ、我が呼びかけに応えよ、己の答えを指し示し、我が元に姿を現せ』」


 「コレ、詠唱!?ナルホド!攻撃に詠唱を巻き込む気ネ!!だったら!!『我に宿る死した魂よ!!その心は・・・』」


 「無駄だよ!!ネーちゃん国語苦手でしょ!?私もそうだけど、私中ニ病だから!!ここら辺の痛い言葉選びに関しては!私が完全に上!!!2発目!!」


 ガチンッ!


 再びハンマーを下ろし、引き金を引く。


 「オールマイティブレイク!!」


 「コノッ!!!」


 前方に突き出した銃口から炸裂するエネルギーが放たれる。それに合わせてネーちゃんも私に突き攻撃を放った。私の肩に刀が刺さり、ネーちゃんは衝撃で吹っ飛んだ。


 「ぐっ!!!」

 「クゥッ!!!」


 「はぁ・・・はぁ・・・『汝・その御魂は未だ衰えを知らず・進みゆく風・その先の海原を目指す』」


 「『我は人形!魂無き者!!』」


 必死になって・・・可愛いとこあるな。そんなに死体にこだわりたいの?


 ネーちゃんは唱えながら私に向かってくる。私は刺さった刀を引き抜いた。


 「・・・っ!!!!っ、3発目、ソウルシージショット!!」


 「ナッ!?」


 私が上空に向かって引き金を引くと大量の電撃エネルギー弾がばら撒かれた。そしてその弾丸はネーちゃんをドーム状に取り囲む。


 「行けぇっ!!!」


 「全て弾き飛ばしてくれワ!!」


 私が手を振り下ろすと同時にエネルギー弾が発射された。ネーちゃんは再び悪魔の姿になり、そこ翼で攻撃を弾く。


 「うおおおおおおおおおっっ!!!」

 「ウアアアアアアアアっっっ!!!」


 ズドドドドドドドドドドドドドッッッ!!


 私とネーちゃんの攻防が続く。


 「『我!!その目指す先に我が親友を望む!!』戻ってきて!!負けないで!!あなたは死なない!!まだ死んじゃ駄目!!人はいつしか死ぬのだとしても!!あなたは今死ぬ時じゃないでしょ!?」


 「それがこの世界ダ!奪い奪われる世界!!奪われたら何も残らなイ!!無意味な死だけが残ル!!」


 「お前いい加減にしろ!!4発目!!ライトニング・ソード!スプリットオブハーツ!!」


 再び剣として銃を構えた。私は光弾が降り注ぐ真ん中に突撃する。


 「嘘!?」

 「ほんと!!」


 私もこの奇策には驚いただろ?とかと味わえ、私の本気を!!


 ネーちゃんは手元に私と似たような光刃の武器を構える。


 「なんで・・・なんでそんなに必死にナル!?いくら友達だとしてモ!!自身の命すら投げ捨ててなんの意味ガ!?意味ないでしょ!?こんなの!結局共倒れになるんだカラ!!」


 「そうはならない!!なりたくないから必死になってる!!」


 私は私自身の光弾とネーちゃんの攻撃をかわしつつ尚猛攻を仕掛ける。


 「現実見てヨ!!都合が悪い事から目を逸らシ!!都合の良い事だけを求めるナンテ!!」


 「それの何が悪いの!!?私は良し悪しの判断は出来るけどまだ子供!!何事も良いように動いて欲しいって思うのは当然でしょ!大人は何かに理由付けてああだからこうだからダメって言う!!あんなの意味分かんない!!ダメならダメな理由ごとぶっ壊したい!!私は!私の望むままに生きたい!!だから!!死んでたなんて私にとっちゃ理由にならない!!あなたが生きたいと、生き抜いてないと思うなら!!私に心を開いて!!私はあなたに生きていて欲しい!もっと一緒にいたい!!


 あなたこそ気がついたらどうなの!?あなたの正体は!!殺された事を後ろめたく思ってるネーちゃん自身!!第三帝国の手先でも何でもない!!あなたも!私の親友のネーちゃんだ!!!」


 「っっっ!!?」


 ここ・・・!!!隙だ・・・


 「5発目・・・ラスト・レイ」


 私が撃った最後の弾はネーちゃんの胸を貫いた。


 「あ・・・」


 ネーちゃんは力無く倒れてきた。私は駆け寄って抱き抱える。


 「ネーちゃん、もう良いって・・・現実のルールに縛られなくて良い。辛かったんでしょ?怖かったんでしょ?あの時の景色、ネーちゃんの攻撃から私の頭の中に流れ込んできた。ほんと、死ぬ気分は嫌になっちゃうくらい痛くて辛いよね・・・けど、それで諦めちゃダメだよ。教えて、まだ死にたい?」


 「・・・たくない」


 「ネーちゃん、いつもみたいに元気に言ってよ。私はああいうネーちゃんが好きなんだから」


 これが私の正直な気持ち。本当に好きなんだ、ネーちゃんの明るさがさ。だからお願い、いつもみたいに笑って欲しい・・・


 「・・・流石にズルいヨ・・・今、そんな元気になれると思う?怖い・・・死にたくない、死にたくないヨォ・・・」


 ネーちゃんは泣きべそかいて私にしがみついた。


 「けど、まだイル・・・まだワタシを殺そうとしてる奴がいるノ・・・助けて、殺さないで・・・もう嫌、ワタシはまだ死にたく無いよ!!」

  

 ちょっと暴れてる、落ち着かせないと・・・私はそっとネーちゃんを抱きしめた。


 「よしよし・・・安心して、私はここにいるから。全く、失礼な奴らだよね。人の心にズカズカと他人の精神をねじ込むなんてさ。私も手伝ってあげるから、一緒に頑張ろ?一緒に戦おうよ。ネーちゃんは強いから、あんな奴らには負けないよ」


 「けど!」


 「だめ!!けどだって禁止!!辛いけど今は笑って!!私に出来るのはあなたを取り戻す手伝いだけ!最後は!ネーちゃん自身が自分を取り戻さないと!!だからほら!今はこうして!!」


 私はネーちゃんのほっぺをぐいっとつまんで引き上げた。


 「いらららら!!!いらいよぉ!!」


 多少力入っちゃったか・・・


 「覚えてる?私と最初に会った日、こうやってネーちゃん無理矢理私の頬引っ張ってプリ撮ったでしょ?」


 「覚えてル・・・」


 「あの時、何も感じてなかったの?」


 「楽しかったヨ・・・とっても。生まれて初めて・・・相手を傷つけるかもとか考えずに触れ合える人と会えたカラ・・・」


 「私も初めてだった。なんなら、人に顔触られる経験なんて無かったから、なんか新鮮な気分だったんだ・・・楽しかった、私も。それで私はあなたともっと一緒にいたいって思うようになった。毎日同じ時間に待ち合わせして学校行って・・・普通、面倒でしょ。けど、その面倒よりも私はネーちゃんと毎日会うのが楽しみだった。ネーちゃんはどうだった?毎日あの通学路で待ち合わせるの、嫌いだった?」


 「嫌いじゃない・・・むしろ、一緒に行けない日の方が辛かったヨ」


 「ありがとう、そう思えてくれたのなら充分。あなたが死んでないと呼ぶには充分過ぎる理由だよ。ネーちゃん、あなたは死んでない。私が見届けた、あなたが生きてるのを見届けてる。だから自信持って、生きて。そして、戦って!!」


 私はネーちゃんの肩を強く掴んだ。


 「・・・ダネ、闘うヨ。ミッちゃん・・・やい!ゴミ野郎共!!このワタシから出て行けぇぇっ!!」


 その時、真っ白な空間が砕け散った。ここは教室・・・私のクラス。そして、クラスのみんながここにいる。それだけじゃない、部活の人たち、先生たち、飯綱の両親、道山会の人たち、ネーちゃんがこれまで出会ったみんながここにいる。


 「これは・・・」


 戦って時間稼ぎをしていた桜蘭さんが手を止めた。


 「いいよネーちゃん!それでこそ私の親友だよ!」


 「ワタシ!!怒ったヨー!!ウジウジしてるノ!!ヤッパダメネ!!ワタシは生まれ変わっタ!!元気で明るイ!今年の1学期からキャラ作りでエセチャイナキャラやってルのがワタシ!!だって!中国人キャラで標準語はキャラ薄いアルヨ!!ハイヤー!!!ホアチョー!!チャンネー!!!」


 ネーちゃんは元気に暴れ回った。


 「どうやら、取り戻したらしいなミツキ」


 私の隣に桜蘭さんが立った。


 「ネーちゃん自身が取り戻したんだよ。そして、奴らから奪った者もある・・・ね?青龍さん」


 「ようやく・・・この長い悪夢から醒めた気分ですよ。あなたが、私を取り戻してくれたのですね。礼を言います」


 燕尾服を着て、長い角を持つ爽やかな青年。青龍、悪魔の元にされていた存在だ。


 「コイツは・・・黒星から取り戻したのか」


 「おや、これはこれは・・・大きくなられましたね桜蘭様。お久しぶりです。そうです、彼女の能力はその言葉に魂をぶつけて眠る魂を呼び覚ます、それの応用をした・・・流石です、ミツキ様」


 青龍、思ってた以上に癖に刺さる・・・じゃないや、良い事言ってくれるじゃない。


 「成る程、ミツキ・・・これがお前の答えなんだな」


 「これが答えだよ。桜蘭さん、あなたがまだ私たちを滅ぼそうとしてるのだとしても、私は抗う。絶対に諦めは無いから」


 「そうか・・・俺は止まらない、止まるつもりはない。だが、足掻きには期待するよミツキ・・・さて、チャンの奴、敵を纏めてくれたな」

 

 「だね。ネーちゃん!!」


 「ハイナ!!」


 ネーちゃんはピョーンと飛んで私の元に着地した。


 「おお!!この精神世界の空間凄いネ!!身体が自由ヨ!!」


 「いや、それはマキシマムビーストの力をその身に宿したからだ、現実でも身体能力はそれになってると思え。さて、ミツキ!!」


 私は銃のシリンダーをスイングアウトして中に入った銃弾を全部飛ばした。それと同時に桜蘭さんが自身の銃のスライドを引いて一発弾き飛ばす。


 私はその飛んだ弾丸を弾倉に込めた。


 「第三帝国よ」


 桜蘭さんが私の手に触れる。


 「コイツデ」


 ネーちゃんも続いた。


 「終わりです」


 そして青龍が私の肩に手を置いた。凄まじいパワーが銃に送り込まれる・・・





 「「「「行くぞ!!ジャッジメント・レイ!!!!」」」」


 


 今度こそ、今度こそこの世から、第三帝国は跡形もなく消え去った。

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