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スーパーヒーローは何人?

 零羅は一兆を半ば無理矢理連れて出て行った。


 「まずは二人・・・で、はじめましてね、三日月君。私は静也丸 峰子。シィズって呼んで。あなたの事は三上君から電話で聞いたわ」


 「あ、ども」


 コイツは所で一体何者なんだ?


 「なんでも、クロノスから時を止める能力を貰ったんだって?凄いじゃない。にしても、セカンダビリティの譲渡って相当難しいんじゃなかったかしら?リリアちゃんが一応メカニズムを見つけたのよね?」


 凄いな、やっぱりみんな頭おかしい連中ばっかりだ。魔法自体がノーベル賞ものなのによ。


 「はい、最上級魔法の光の魔法の使用でセカンダビリティの譲渡、又はやり方次第では強奪も可能です。しかし、最上級魔法に必要なのは愛する心。譲渡となると互いに愛と言う感情が必須になる筈なのですが・・・三日月さん、どうやったのですか?」


 え、先生にキスされた・・・なんて言えないよな。


 「いやー、よくわかんねーのよね。目瞑ったらなんか出来るようになってたんだよ」


 「へぇ〜、あいつそんな簡単な方法があるなら教えなさいよねー。ほんと、よく分かんない奴よね。ところでさ、三日月君はやるの?」


 シィズはすっと話題を変えてきた。


 「なんの話だ?」


 「スーパーヒーロー大作戦。三日月君も参加するんでしょ?」


 「え、俺は無理だよ。零羅みたいに戦えねーし」


 「なぁに言ってんのよ。時止めなんて出来るのあんたくらいなんだからさ。大体戦隊ヒーローが五人なんて誰が決めたっての。今どき十人規模の作品もあるらしいわよ?ってな訳で、全員参加ね。ほらまずは三日月君にはこれ」


 なんか、服渡された・・・これどないせいゆうねん。


 「え、なにこれ」


 「コンセプトはやっぱり時を止めると言えば黄色い吸血鬼よね。それの背後霊的なのをモチーフにアメコミヒーロー風に仕上げました」


 うん、そんな話誰も聞いてないけど。


 「次は飯綱ちゃんとリリアちゃんねー!!」


 「おしゃー!!おいらがんばるぞーい!!よーし!今こそマイケル ジ◯イ フォックスを名乗るぞー!!」


 「わたくしも宜しかったのでしょうか」


 それぞれ衣装が渡された。


 「無論よ。RODのメンバーは一応全員変身出来るようにって三上君に依頼されてたのよ。もしかしたら思わぬタイミングで敵と遭遇した場合、直接戦闘は避けたいでしょ?」


 なーる、納得。けど、ここまでやる必要性あるか?


 「って事は三上のもあんの?」


 「まだ作ってる段階だけどね。けど、麗沢君のは依頼通り手がかかるけどなんとか完成系は見えてるんだけど、どうにも三上君の衣装が思い浮かばないのよねー。彼のモチーフのロングコートをあしらうべきか、いや、いっそまた女装を・・・殺されるわね。うーん、中々アイデアが浮かばないわー」


 「そうですか。なら、俺今日剣道の稽古あるんで。んじゃ」


 この女は変な奴だ、あまり関わらないようにしておこう。


 「あちょ!!これだけは持ってって!!三日月君用の変身兼通信デバイス!!」


 あ、これ零羅とかが付けてるやつと同じやつか。まぁ、これは貰っとくか。


 「何かあったらこれで連絡するから!」


 「あいよ」


 さぁて、言うて稽古は夜からなんだよな。家帰って宿題やるか、純連先生こんな時にもちゃんと宿題用意しやがって・・・


 「あれー?三日月まだ帰ってなかったのー?」


 「あ?霧矢?」


 何やってんだ?頭でリフティングしながらよく俺だって分かったな。


 「ほっ、キャッチ。なー、今日俺んち遊びに来るー?それとも俺三日月んち遊びに行くー?俺は三日月んち行きたいけど」


 「なんでしれっと自分の意見優先しようとしてんだ。まぁ別にいいぜ。今まだ家に誰もいねーしよ」


 「やったー。家帰っても鍵かかってたからさー」


 「おま、最初っから俺んち来る気満々かい。ってか、合鍵とか持ってねーのかよ?」


 「ねーよ?だってなくすからって持たせてもらってないもん」


 方向音痴もそうだが、ほんとこれでよく生きてんなこいつ。


 「じゃぁ行くか」


 「おーう。にしてもさぁ、転向してきたリリアちゃんめっちゃ可愛くね?」


 っ!?な、なんだと!?いつもサッカーしか話さない霧矢が、女子の話題をした!!俺は思わず目を見開いて霧矢を見た。


 「そ、そうなの?」


 「なんて言うのー?零羅には無い落ち着き具合が良いよねー」

 (くちゅん!)


 あ、なんか零羅のくしゃみが聞こえた気がする。


 「まぁ、確かに零羅とはちょっと違うよな。あいつあー見えてアグレッシブだしよ。でもあいつも相当変・・・というか天然というか。あぁ、お前も相当天然か・・・成る程ウマが合うかもなー」


 「でしょー?明日告白してみよっかなー」


 しれっと毒舌スルーされた。まいっか。


 「面白そうじゃん。やってみろよ」


 「なんの話ですか?」


 「うおっ!?」

 「びっくり!」


 びっくりってどういう驚き方だ。ってか、


 「リリア?なんで・・・」


 「はい?わたくしも帰宅しようと思っただけなのですが・・・それより、告白ってなんの話しですか?」


 やべっ、聞かれてた。


 「あー、えーっとねー・・・」


 流石の霧矢もいきなりで照れ笑いしてる。にしても、こいつが恋愛ねー。大人になったなぁ・・・あれ?なんで俺がそんな年寄りみたいな感想持ってんだ?


 「霧矢さん、わたくしの事が欲しいのですか?」


 「え゛っ!?な、なんで!?」


 マジか、そっちから話を深掘りしてきやがった!!


 「何故って、霧矢さんそういう表情してましまから。わたくしは構いません。わたくしを奴隷にしたご主人様はもういません」


 リリアのこの奴隷のくだり結構ガチっぽいんだよなぁ。けど、いくらなんでもその話を信じる奴は・・・


 「どれい!?俺!リリアちゃんをそんな風には絶対に扱わないよー!俺、リリアちゃんを絶対に幸せにしてみせるから!!」


 ・・・馬鹿正直に信じる奴はお前だよな。つーか、そのクサイセリフはどこで覚えた?


 「お優しいのですね。けど、そのぐいぐいと我が道を行く姿勢。わたくしは好きです・・・では霧矢さん、わたくしで良ければ付き合っていただけますか?」


 あ、小5にしてカップル成立した。


 「やった!んなら・・・まずは・・・サッカーやろうぜ!!」




 ズッコー!!!!!!!!!!!




 俺は盛大にずっこけた。このまま京都あたりまで滑って行こうか。


 「なんでやねん!!付き合ってやる事がまずサッカーっておまっ!!」


 「サッカーは!みんな大好き!」


 俺も好きだけどさ!!全員が全員そうじゃないだろ!


 「いや、普通どっかデート誘うとか、そっちだろ?」


 俺はなんとか感情を押し殺して宥めるように言う。


 「そうなんだろうけど・・・俺今、金がねー!!」


 あぁ、ごもっともな理由。


 「金が!!ねー!!」


 「2回も言わんでいい!」


 「ならどうすんのさー。三日月んち遊びに行くー?」


 「あほか、カップルなら俺の事は放っておいてどっか行けよ!んー、あ・・・」


 ふと俺はさっき貰った腕時計を見た。これは使えるかもな・・・


 「だったらさ、病院前のコンビニ行ってきたらどうだ?なんかちょっと面白い事になってるらしいぜ?」


 「・・・あ、成る程。良い提案ですね。霧矢さん、行ってみます?」


 「いいけど、俺お金ないよー?」


 「構いません、なんならわたくしが奢りますので」


 「やたー!」


 「こら!!何簡単にヒモになる宣言してんだ!!いいからさっさと行け!!」


 もーこいつときたら、


 「・・・ねぇ三日月ー」


 「今度はなんだよ」


 「・・・今になってめちゃ緊張してきちゃった。後ろからついてきてくれる?」


 ・・・・・初心(うぶ)なんだか、慣れてんだかしっかりしろい。なんか俺まで不安になってきた。仕方ない、こんなやつでも俺のダチだ。


 「分かった、分かったから。後ろからついていくから。ったく、俺はお前の保護者か?」


 「あんがとねー」


 ほんと、締まらない奴だなぁ。ちょいと刺激浴びてこい。






 天正市立総合病院前にあるコンビニ、ヘブンマート市立病院前店。


 そこにて、現在ナイフを持った男による立てこもり事件が発生していた。


 「えー・・・俺強盗見るの初めてかもー」


 その野次馬の中にリリアと霧矢、そして俺がいた。


 「おら!!近づくんじゃねぇ!!見せもんちゃうぞごらぁ!!とっとと消えねーとこいつぶち殺すぞぉ!!」


 犯人は半狂乱でナイフを店員の女性に突きつける。警察は既に説得を試みて別働隊を裏に回してるみたいだけど、間に合うか?これ。

 

 にしても、俺も狂ったもんだ。この光景は人生初なのに、めちゃ落ち着いてる。


 「やめなさい!!田舎のお母さんが悲しんでるぞ!!」


 ベッタベタなセリフ初めて生で聞いたわ。


 「うるせー!!俺は悪くねー!!悪いのはこの世の中だろーが!!世の中が俺を狂わせたんだよぉ!!」

 

 あー、相当溜まってたっぽいなこの犯人。自暴自棄になった的な感じか。


 「一体何がそんなに不満なんだ!?」


 「俺はなぁ!!遊ぶ金が欲しいんだよ!!人間遊びがなけりゃ生きてかねーだろうが!!けどよ、いくら働いても働いても働いても働いても!!税金に借金!!毎月マイナスだ!!いい加減にしてくれよこの現状をよぉ!!」


 かわいそうに。けど、同情はしない。みんなそんな中で頑張ってる人もいるんだぞ。ま、あんたがどの程度の底辺を生きてきたのかは知らんけど。


 「それは半分くらい君の責任じゃないのか!?」


 「ぁあ!?全部俺が悪いってか!?上等だ!!俺が悪いなら仕方ねーよな!!殺す!今すぐこいつを殺す!!」


 「や、やめなさい!!」


 この説得の人こそ、この仕事やめた方がいいんじゃないかしら。下手くそ過ぎる。さて、そろそろか。


 「行くぜ・・・俺は狂ったんだ、殺すことなんざ何にも!!思わねーぞ!!」

 「風殺指弾・・・」


 犯人が人質にナイフを突き立てようとした。それと同時に部隊が動き出した。けど、何よりも早かったのは彼女だ。


 「んぐぁっ!?な、なんだ・・・これは!?」


 ナイフは店の壁に刺さり、犯人の指がダメな方向に曲がってた。


 「君が狂っているのか否か・・・狂っているのであればわたしは君を止められなかっただろう」


 「だ、だれだ!?」


 警察がキョロキョロと探した途端、上空から降ってきた。


 「この町を守る新たな抑止力のスーパーヒーローと言ったところですかね・・・」


 ウィッグなんだろうけど結構違和感無い金髪で、アイドル衣装みたいな格好の女性。零羅ことキュートブレイカーだ。相変わらず顔とセリフがマッチしない。


 「か、勝手な真似はよしなさい!!これはヒーローごっこじゃないんだぞ!」


 「分かってますよそれくらい。しかし、我々は本気です。ほら、ご覧なさい」


 零羅が指さすと人質の姿が消えて、タキシード姿でマスカレードなマスクを付けた男に助けられてた。あれ、一兆か・・・


 「あ、ありがとうございます」


 「なに、助けを求めれば俺はいつでも現れるさ。この、ジャックポッド伯爵様がな」


 あ・・・あの女の人、堕ちた。目がハートになっとる。


 「さぁ、取り押さえるのなら今ですよ警察の方」


 「取り押さえろ!!」


 「うわ!離せ!!なんで!なんで俺がこんなふざけた連中に!!」


 犯人は警察に取り押さえられた。


 「警察屋さん、彼の始末は任せますよ。さて、君に一つ言っておきたい、君程度では狂ったふりしか出来ません。本当に狂ってる人は自身の行動に全くの躊躇がない。自分が正しいと思えば人を殺す事に躊躇なんかいらない筈だ。指を折られた程度で人質を離してしまう君は、至極真っ当な人間にしか見えない」


 あ、犯人が暴れるのをやめた。


 「では、わたしはこれで失礼しよう。さらば」

 「またいつか、何処かで・・・」


 一兆が一枚のカードを取り出すといきなり巨大化して、姿が見えなくなった。そしてカードが消えると2人の姿は何処にもいなくなっていた。あいつ、マジシャンかなにかか?





 「すげー、あーゆーのってアニメだけだと思ってたよ。ほんとにいるんだねー」


 真正直な性格の霧矢だ。なんの疑いもなくこの出来事を信じた。


 「そうですね。すごく決まっててかっこよかったです」


 「リリアちゃんって、やっぱりあーゆーの憧れるの?」


 「どうなのでしょう、わたくしは誰か追いかける生き方しか出来ませんでしたから・・・」


 「俺もー、兄ちゃんの背中ばっか追いかけてるけど、追いつける気がしないんだよねー。兄ちゃんは強いし、成績も良いからさ、父ちゃんも母ちゃんも、そんな兄ちゃんにつきっきりだから俺いつも置いてけぼりなんだよー。もしかして、似てるのかなぁ俺たち。それで惹かれたのかも・・・」


 「確かに、そうかもしれません。わたくしもずっとお兄様の後ろを追いかけただけですから、自分が引っ張って行くというのはよくわかりません。ですから、一緒に頑張りましょう。互いに兄の背を追う者として・・・」


 「・・・うん!!」


 おぉ、案外いい雰囲気になってんじゃん。なら、そろそろ俺はここでお暇するか。この先はおませなファーストキスでもしてな。


 俺はこっそりといなくなろうと思った。けど、ふと病院の2階に目をやったら俺の目を疑った。なんで、なんであいつがいる!?チャールズ オリヴァーだ!!


 「リリア!!6時の方向!!」


 「わたくしも今見つけました!!何故・・・っ!?それにこの反応!!異空間の気配があります!!」


 「え、なに?どったの?リリアちゃん」


 突然の事で霧矢が困惑してる。一旦時を止めて引き離すか?


 「立てこもり犯よりもっとやべー奴がいたんだよ霧矢。俺はたまたまそいつの事知ってんだ・・・それよりも、今あそこってバカ姉がいつもお見舞いに行ってる時間じゃねーか?」


 「あ!兄ちゃんも今あそこにいるかも!友達が入院してるんだって!どーしよ三日月!!」


 どうする・・・俺の判断は?いや、迷ってんじゃねー。遅かれ早かれ知る事になるんだ。


 「ちょっとこっから先は刺激度マックスのデートプランになるかもしれねーけど、いいか霧矢!?」


 「それって!リリアちゃんの転入の時に言ってたどれいがなんとかって話と関係ある感じなの!?」


 鋭いな・・・俺も詳しく知らねーけど、リリアのやつ、あいつを見た瞬間雰囲気変わった。何か噛んでるのは間違いない!


 「そういうこった!!言っとくけど、俺だってまだ現状は分かりきってねーんだ!!でも、お前がガチでリリアの事守りたいってんなら協力してくれ!俺たちは援護に徹する!!リリア!!時を止める!!準備は出来てるか!?」


 「はい!!まさか、わたくしまで変身する必要になるとは思いませんでした。いきますよ、止めてください!!」


 「時よ・・・止まれ!!!」


 俺が時を止めると同時にリリアは返信した。ピタっとしたスーツを身に纏い、右腕にガントレット。そして長いフード付きのマフラー。これがリリアの変身した姿だ。すぐバレそうな格好だけどいいのか?


 さて、集中マックスでも止められるのは30秒。それまでに一気に病院まで行く必要がある。


 「な、なんだこれ・・・みんな止まっちゃった。それに、リリアちゃんその格好・・・」


 「説明してる時間はねーんだ霧矢。それより、走れるか?」

  

 「・・・走るよ。安心して、こういう時は俺、迷わないから」


 ほんと、正直でいい奴なんだよなこいつ。


 「あそこですね・・・時を止めても尚蠢く空間があります。あれが異空間、探すのが難しいのでこれまでは三上さんに頼る他なかったのですが、これなら分かります。行きます!!」


 リリアは地面を蹴って飛んだ。あいつ、やっぱり相当身体能力高かったんだな。ひとっ飛びで病院の2階に辿り着いて、モヤモヤしてる空間を引き裂いた。あと5秒・・・


 「霧矢・・・追うぞ!!停止、解除!!」


 「うん!!」


 時は動き出し、俺たちは走り出した。

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