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天正市スーパーヒーロー大作戦

 「これでおしまいです」


 零羅は綺麗さっぱりあのバケモノたち全てを消し飛ばした。


 「ま、まさか正義の味方が本当にいるなんて・・・」


 委員長が驚いた顔で言ってる。にしても正義・・・か?


 「面白い響きですね正義の味方。成る程、こういうのを正義の味方と言うのですね。勉強になりましたよ。ではわたしは失礼しましょう」


 零羅は地面を軽く蹴ると、凄まじい風を巻き上げて教室から飛んでいった。




 

 『緊急放送です。校内に侵入した動物の駆除に成功したとのことですので、全校生徒は教員の指示に従い体育館へ避難してください』


 こういう時避難訓練ってのは役に立つのな。切羽詰まってないからってのもあるけど、みんな落ち着いてる。気がついたらいつのまにか零羅が教室に戻ってるし。ぞろぞろと整列して体育館に向かう。


 「なぁ零羅。あれ、なんだったんだ?」


 俺はヒソヒソ話で零羅に尋ねる。


 「変身ですか?あれは、三上さんの刀の召喚と同じで腕時計に仕込んだ・・・」


 「そっちじゃねー。急に身長伸びて性格もガラッと変わったろ?ありゃなんだ?」


 「あぁ・・・あれは、もう一人のわたくしです。わたくし実はわたくしの中にもう一人、人格があるのです。壊す事が大好きなもう一人のわたくし、変身はその彼女に協力してもらったのです」


 「に、二重人格ってか?大変だな・・・」


 こいつ、そんな病気あったのかよ。


 「いえいえ、確かに前は彼女と対立してましたが、今は仲良くやってます。ただ、趣味といいますか、趣向がちょっとズレてるのですよね。わたくしあの格好は恥ずかしいので、ヒーロースーツで登場したかったのですが・・・」


 あー、さっきの独り言はもう1人の自分と話してたのね。んで、この零羅はあの衣装は好きじゃないと・・・


 「あ、それともう一つ問題が」


 零羅は真剣に悩んだ顔になった。


 「何かあったのか?」


 「ヒーローって一人だけじゃダメだと思うのです」


 「・・・そこ?」


 零羅、相変わらずちょっとわかんない。そんなとこそこまで真剣になることか?


 「そこが一番重要なんですよぅ。ラ◯ダーも2号は必要ですし、戦隊では5人は必須、ギニュー特◯隊も5人です。なら、わたくし以外にも変身して戦う人が要りますね・・・うーん、どなたかいませんでしょうか?」


 「なら飯綱とかでいいんじゃね?」

 「んおー?」


 俺はチラッと飯綱を見たが・・・鼻ほじってた。ありゃダメだな。なんかこう、変身ヒーローに必要な決定的何かが欠けてる。


 「じゃリリア?ってか、あいつは戦えんの?」


 あいつなら、零羅と雰囲気似てるしさ。


 「あ、彼女は強いですよ?昔相当苦戦しましたから・・・ですけど、彼女はちょっと別働隊でして、今は三上さんの手伝いで忙しいかと」


 「なら三上は?」


 「それも、三上さんここ最近特に忙しいみたいで・・・なんでも転移装置のアップデートと、散らかった配線片付けたいとの事で」


 まめな性格だな・・・まぁ分からんでもない。散らかってるとどうにも気分が悪いのは。

 

 「うーん、どうしたもんかね、誰かいねーかなぁ?」


 「そうですねぇ・・・この天正市スーパーヒーロー大作戦。やはり五人は欲しい所ですよねぇ」

  

 なんだそのクソダサ町のPRタイトルみたいな作戦名は。


 「こら君たち、移動中は静かにしなさい」


 「あ、すんませーん」


 スミレ先生に怒られた・・・ん?スミレ先生はどうなんだ?俺はチラッと先生を見つめた。


 「・・・私は傍観者です、直接手助けは出来ませんよ」


 「いや、そうだろうけど・・・」


 「別にこの学校の人物にこだわる必要なんかありませんよ。天正市スーパーヒーロー大作戦はこの町全てで起きる訳ですから。さぁ、私語は謹んで速やかに体育館に行きなさい」


 俺は先生に背中を押されて体育館に向かった。そっか、別にこの学校のメンバーだけで集める必要ないのなら。





 昼過ぎ、今日の授業は先生たちが割れたガラスの回収とかで俺たちは昼前に下校する事になった。そんな中・・・


 俺と零羅はリリアと飯綱を呼び出して作戦会議を始めた。


 「・・・というわけでして、この町を守るヒーローとなれる人を集めたいのです!」


 「んお!?はいはい!!んならおいらやるよぅ!!」


 いや、さっきダメだって判断したばっかのやつが名乗り出た。


 「あの、確かに飯綱さんもお強いのですけど、変身ヒーローというのは変身してなんぼなのです。しかし、飯綱さん既に変身した状態じゃないですか」


 「おう!?おいらとした事が!!こっから更に変身したらほい!!ただのキツネになっちゃうもねぇ〜!」


 飯綱はポンっとキツネの姿に変身した。てか、却下の理由それ?変身は要するに超速早着替えするだけなんだろ?別に良い気も・・・あ、飯綱はどっかで素顔をドヤ顔で晒しそう。あくまでこの作戦の意味は謎の戦士って事に意味があるんだったわ。


 「わたくしも学校に来れるようになったとは言え、三上さんの手伝いがありますし、三上さん今新しい何かを作ってるので中々町を救うヒーローの役はやれませんね」


 リリアはやっぱりか。


 「そうですよね・・・あ!三日月さんはどうですか!?」


 「なんで俺!?俺があんな万国びっくりショーな戦い出来るかぁ!!ってか!俺も夜剣道の稽古あんの!!」


 あと普通に恥ずかしい。


 「そんな怒らなくてもいいじゃないですかぁ・・・あ!!良い方がいました!!」


 少し拗ねたと思ったら、これだと言わんばかりに手を叩いた。


 「えーっと、他誰かいたっけ?」


 「この大作戦の本質は、迫り来る脅威の前に立ち塞がる謎の戦士たち・・・それは正体を隠す事が得意な人、つまり、みなさんを欺ける技量を持つ方が最適だとおもうのです!と、言うわけで・・・」




 「断る」


 今の間に場面は変わって、俺たちは馬喰 一兆の目の前に立った。その瞬間に否定された。


 「まだ何も言ってないじゃないですかぁ!!」


 「言わなくても大体分かる。どーせヒーローは二人以上だとかなんとか言って新たに仲間集めようぜって話だろ?」


 おぉ、御名答。


 「凄い。一兆さん、エスパーですか?」


 「お前と一緒にいれば大体分かるっつーの。つーか、その手の話なら麗沢の野郎はどうなんだよ?あいつなら、喜んでやるだろうぜ?それにあいつもお前みたいに眼鏡取ったら変貌するしよ」


 あいつもそんな感じなのか、変な奴ばっかだな。


 「あ、麗沢さんはやる気満々ですよ。そもそも作戦名考えたのは彼ですから。ただ」


 「ただ?」


 「衣装はやはりこだわりたいでござる。とのことで、色々とオーダーしたら衣装が出来上がるのが来月になってしまったらしいのです」


 ・・・変な奴だな、やっば。


 「あんの、クソボケナスが!!零羅、ちょっとあいつシメてくる」


 一兆は額に怒りマーク付けて歩き出す。それを零羅はグイグイと止める。


 「待ってくださいよ!一兆さんも一緒にやりましょうよぅ!!この作戦はやはり五人くらいの方が絶対に良いですから!!」


 零羅、めちゃくちゃ勧誘するじゃん。


 「だー!零羅!お前のパワーで引っ張んなコラ!伸びる!!つか!お前そんなわがままキャラだったか!?」


 「わたくし!結構駄々こねる時ありますよ!」


 へー、意外。零羅もわがまま言う時とかあるんだ。結構控えめだと思ってたからなぁ。


 「そうよ!一兆君やらないなら私も駄々こねるわよ!せーっかく衣装用意したんだから!!」


 「あ!?なんか増えたんだけど!?」


 いつの間にか一兆を引っ張る腕が増えた。この姉ちゃん、誰だ?ボッサボサポニーテールで、ぐるぐるメガネの女だ。


 「あ!シィズさんじゃないですか!!」


 「おひさー零羅ちゃん。ヨーロッパ支部の仕事終わったからこっち合流しにきたわよー。で?私がせっかく君の為に拵えたスーツ。着ないって?せーっかくかーっこいい風に仕上げたのになー。けどこれ着ないなら仕方ないかぁ。なら代わりにコレ着せるから」


 あれって、零羅が着てたキュートブレイカーの衣装?少し大きめ・・・


 「おまっ!それ俺に着せようってか!?」


 「一兆君、これはお願いじゃなくて脅しよ?零羅ちゃんはこっちの味方。逃げ切れると思う?いいわよ?逃げ切れたらこの話は無し。けど、逃げられなかったらコレ着て零羅ちゃんとツーショット撮らせて貰うわ」


 ・・・・ぷっ!一兆がアレ着るのを想像したら笑いが。

 

 「っ・・・わかった。この性悪女が・・・けどいいか?俺の都合の良い時しかやらねーからな」


 一兆が折れた。あのケンカ最強で有名なあいつでもこの女二人には勝てないのか。女って怖いな・・・


 「やったー!!やりました!!天正市を守るヒーローの誕生です!!だとしたら今度はチーム名がいりますね・・・えっと」


 「アタオカ戦隊バケモンジャーだな」


 一兆はにやっと笑って呟いた。うん、ピッタシなネーミングだな。


 「なんですかぁ!?その名前!!」


 「間違っちゃいねーだろ。面倒だからそれでけってー。さーて、バケモンジャーのお仕事は町の平和を守ること。ってんなら、バケモノ退治だけが仕事じゃねーよな?って事でほれ、警察無線俺もってっからそれで事件現場にでも行けば?まずは知名度を上げる事が先だろ?強盗退治とかやれればバズる事間違いなし。ミスったら大炎上間違いなしってなー」


 一兆はポイっと無線機を零羅に渡した。


 「い、いきなりプレッシャーかけないでくださいよぅ!!」


 「知らねーよ。手伝ってやる代わりにお前がリーダーやれって事。ヒーローごっこだけじゃねぇってのを見せてみな」


 そう言うことか。ただの嫌がらせって訳じゃないんだな。


 「そうですね・・・これは、ごっこ遊びとはいかないですから・・・アタオカ戦隊バケモンジャー。いざ!!出動です!!」


 うん頑張って。行ってらっしゃい。

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