あしたの風はきっといい風
「最低だな。あなたって」
「え?」
くぐもった翔《かける》の声を聞き逃したのでふりむくと、翔が一瞬だけ米子《よねこ》を強く睨んだ。目力のある澄んだ目だった。米子はドキッとした。彼の瞳に現れていた軽蔑に、がらにもなくうろたえてしまったのだ。米子は年下の男に一瞬でも動揺した自分の気弱さに怒りを覚えた。
――第二話 本文より――全九話
「え?」
くぐもった翔《かける》の声を聞き逃したのでふりむくと、翔が一瞬だけ米子《よねこ》を強く睨んだ。目力のある澄んだ目だった。米子はドキッとした。彼の瞳に現れていた軽蔑に、がらにもなくうろたえてしまったのだ。米子は年下の男に一瞬でも動揺した自分の気弱さに怒りを覚えた。
――第二話 本文より――全九話