僕と姉さんと子猫の水浴び
というわけでネコミミ少女メインの話。
書き手の意図するところより登場回数が増えてるな、この娘。
ギンギラギンにさりげなくない強烈な直射日光が僕の体を焼き尽くす。
体が夏になる。過激なのはよろしくない。
……うん、いい具合に頭が茹だっているね。
「あ〜〜〜〜〜〜ああ〜〜〜〜〜」
口から漏れる声が歪んで聞こえるのはそんな声が実際に出ているからかそれとも僕の耳か頭がおかしくなっているのか、さてどっちだろう。
「にゃぁぁぁぁ……」
となりでへばっている涼莉は普段の猫の姿ではない。しかし漏れてくる声は猫のそれに似ていた。
いつもは元気にピンと立っている耳もへたりと垂れてしまっている。毛に包まれている事もあって暑さは僕の比ではないだろう。
本日夏休み初日。
時刻は午後一時過ぎ。
場所は自宅のリビング。
蒸し暑い空気を追い出すために窓は全開。差し込む日光が床を強烈に熱する。
救世主たるクーラーは……恐ろしいことに故障中だ。
これには深い深いわけがある。
——回想。
「むぅ〜、朝は〜、眠いよ〜そらぁ〜」
「はいはい、姉さんとにかく座って」
「むうぅぅぅ〜〜……う。た……た……た……」
「た?」
「太陽が眩しい!!」
スッパアァァァァンッッ!!!!
——回想終わり。
といったようなやりとりがあって、姉さんの無意識発動の斬撃により我が家のクーラーは真っ二つだ。寝ぼけた姉さんがモノを斬るのは初めてのことなので、今後は何かしら対策を講じないといけないだろう。
クーラーを新調しようにも、それだけの出費を子供の僕らだけで判断することはできないということで、今姉さんに連絡をとってもらっている。
ちなみに、父さんとそれに付いて行っている母さんは基本的に電話が通じる場合の方が少ないので、姉さん独自の方法で連絡をとっているらしい。らしい、というのはその方法を今までに見たことがないからだ。
そんなわけで姉さんは外に出ているわけだけど、僕らはその間待つしかない。気分転換をするようなテンションでもないし、外を散歩しようという気も起きない。
暑い。
めっちゃ、暑い。
「そらぁ〜、あーつーいーのー」
「僕も暑いよ涼莉。そして僕にはどうしようもないんだ涼莉」
「うにゃぁ……」
床に寝そべったまま汗をひたすら流し続ける僕と涼莉。ましゅまろ? いつもどおりの顔でそのへんコロコロ転がってるよ。お化けだけに暑さ寒さは関係ないんだそうだ。もう逆恨みしそう。
いっそ友達の家に行けばいい、とも思うのだけれど、それも今日に限っては難しい状況だ。
まず夕陽だけれど、アレは昨日の晩から始まった母子大戦が未だに集結していないらしい。ローカルニュースでは今日の夕方には決着がつきそうだと言っていたので、それまでは近づかないほうが無難だろう。
……あの成績をたたき出した夕陽が圧倒的に立場弱いはずなんだけどねぇ。
そして綺月だけれど、こちらは今日明日は生徒会の仕事があるらしい。というのも、夏休みが明けるとすぐに生徒会選挙、体育祭、文化祭と業務が続くので、今の時期にまとめて仕事を片付けなくてはならないのだとか。
特に綺月は次期会長候補ということもあって、現会長から色々と引き継ぎ作業で忙しいようだ。
大地は——ないな。うん、ない。
それ以外の学校の知り合いとなると、こちらの事情を知らせていない人ばかり。ヘタった涼莉はうっかり人化したり猫化したりするので、今のこの娘を背負って歩くのは結構リスクが高い。
ということで友達を訪ねるというのは詰んでいた。
いつまでこの灼熱地獄を味わえばいいのか。
そんな事を考えていると、玄関の扉んの開く音が聞こえた。
ばっ! と、今までのだらけ具合が嘘のような俊敏さで僕と涼莉は起き上がり、玄関へとかける。
「姉さん!」
「ママっ!」
僕らは走った。
これでこの世界が変わるのだと、そう信じて。
そして。
——何がどうなってこうなったのか。
「空ー、なにぼーっとしてるのー?」
「いやなんていうかこう、色々と釈然としないものが」
「いいじゃないの。青い空、白い雲」
「にゃはははははっ! つめたーいの!」
「そしてネコミミ白スク水ロリ少女」
「姉さん笑顔はいいけどヨダレはしまってくれないかな」
おっとっと、と口元を拭う姉さん。
最近、姉さんが涼莉を拾ってきたのは邪な感情が目的だったのではないかと邪推するようになってきた。女どうしでも光源氏計画って成立するんだろうか。
まあさすがに姉さんが衝動と感情で舗装された人生を全速力で駆け抜けていると言ってもそれはないか。うん。僕としたことが変な想像をしてしまったねまったく。
いやはや恥ずかしい限りさ。
「そういえば空、また身長が伸びたみたいだね」
「あ、気づいた? そろそろ伸びが悪くなってきてるから夕陽にはさすがに届きそうにないけど、もう少し伸びそうだよ」
「そっかそっかー。うんうん。…………ゆうちゃんくらいの高さだとバランス悪いし、このくらいがちょうどいいよね。うん、計画通り計画通り」
「……? 姉さん、どうかしたの?」
「なんでもないよーう。ほら涼莉ー、涼しいねー」
はてなんだったのだろうか。まあいいか。
それにしても。
良くこんな場所を使えたものだとつくづく関心する。
僕らが今いるのは住んでいるマンション——の、屋上の一角だ。
本来ならば屋上は鍵がかかっていて使うことのできないはずのスペースなのだが、一体どうしたのか僕らは現にここにいる。
そしてそこに大きめのビニールプールを広げ、中に水をめいっぱい注いでいる。スクール水着姿——正確には白いスクール水着姿の涼莉は水を浴びてご機嫌だ。
なぜこんなところでビニールプールを広げているのか、正確な物事の流れは僕も知らない。
というのも、帰ってきた姉さんが『プールで遊ぼう!』と連れてこられた場所がここだったということなのだ。
ちなみにクーラーに関しては、父さんが目を付けていたものを買うとのこと。通販で設置まで頼んでしまうそうで、なんと明日の午前には届くらしい。
夕方を過ぎれば暑さも和らぐのでそれまでの数時間をしのげば僕らは暑さから解放されるわけだ。それを乗り切るための案としてプールというのは至極まっとうだと思う。
ちなみに、市民プールという選択肢は涼莉がいるということで却下だ。
どうしても人目を引いてしまう容姿に加えてネコミミにしっぽだ。プール中の視線を集めることは想像に難くない。人見知りする所のある涼莉には見ず知らずの他人の無数の視線、というのは耐え難いものがあるだろう。
それに一緒に行くことになる姉さんというダブルパンチ。一緒にいる僕がどんな視線でみられることになるかと想像するだけで疲労感が……。
それらもろもろを考慮してビニールプールということだ。
ちなみに、別に家の風呂場でよかったんじゃないの、といったら姉さんに真顔で。
『空、昼間からネコミミ白スク水ロリ美少女とお風呂場で戯れる自分を想像しなさい。できた? 感想は?』
『犯罪者がここにいるって通報したくなった』
ということで却下だけれど、よくよく考えたら別に一緒に入る必要はないよね。
あと白スク水ってのがポイント大幅加算してるよね。
よくよく考えなくても姉さんが白スク水着せたかっただけだよね涼莉に。
「…………やっぱり僕ハメられてないかなぁ?」
なんだか色々と納得がいかない。
「まあいいじゃない空。楽しいし涼しいでしょ」
そこに否定すべき要素は何ひとつとして存在しないので、素直に頷いた。
「それに涼莉も可愛らしいし。うん、かわいいかわいい」
「まあ……」
やっぱり否定要素がないので同意しておいた。
ちなみにこの場で水着を着ているのは涼莉だけだ。僕は短パンとタンクトップ。姉さんも白のシャツとスパッツという姿だ。
この前の買い物で買った水着を着るのかと思いきや、ふたりの答えは『もったいない』だった。
だから本当なら涼莉も濡れても構わない格好で遊ぶハズだったのだが、姉さんがこの格好を押し通した。
真っ白なスクール水着。姉さんが言うには旧スク水という種類らしい。スクール水着に新旧があったとはついぞ知らなかった。そう言ったら姉さんにすごい目で見られた。なぜだ。
ちなみに、なぜかしっぽに鈴をつけられていた。赤いリボンのついた大きな鈴。
なぜそんなモノを、と尋ねた僕と涼莉に対して姉さんは自然の摂理を語るような顔をして言った。
『様式美でしょ?』
相変わらずこの世界は僕の知らないルールに満ち溢れているらしい。
ぷかぷかぷかと水面に白い球体が浮かぶ。ましゅまろだ。
ましゅまろの物理法則の適用ルールがいまいちわからないな。壁にめり込む時もあれば反射するときもある。こうして水に浮かべばその分の波紋が浮かぶこともあれば、降りかかる雨は全てスルーしたりもする。
基本人の目に見えないことは常に変わらないみたいだけれど。
そんなましゅまろに寄りかかって水に浮かぶ涼莉。
白いスクール水着が似合い過ぎていてなんというか言葉に出来ない。
ゆらりとしっぽが揺れてちりんと鈴が鳴る。青空に浮かぶ白い雲。それと同じ白い肌。青みがかった灰色の髪と耳、しっぽは水にしっとりと濡れて水滴が輝く。
きらきらと陽の光を反射した水面に照らされて、ほやっと柔らかな表情を浮かべている。見ている方の心までほっこり暖かくなる。まあ現在進行形で全身がじりじりと焼かれているわけだけれども。
「そーらー。空は入らないのー?」
「あー……」
僕は最初に適当に入って、あとは水をかけられたりした程度であとは涼莉をながめていた。
姉さんは下にジュースを取りに行っている。
「まあ」
ビニールプールにしては大きめのサイズとはいえ、僕と涼莉が入ると少々手狭だ。
まあ、いつぞやのお風呂ほどではないが。
……うんまあ。
ぶっちゃけ気恥ずかしいのだ。
いやいや、別に僕にやましい気持ちがあるわけではない。ただ年頃の青少年としてはどうしても気後れを感じてしまうのは致し方ないのではないだろうかと進言する次第。
何がいいたんだ僕ぁ。
「僕のことは気にせずブッフォオッ!!」
むせた。
「げっほ! ごほ、げほ、ごほ、がはっ!!」
痛い痛い! 顔面がすごい痛い!!
なんかこう、顔面全体を一気にビンタされたようなそんな痛み。
かつ、鼻と口に大量に侵入してきた水が呼吸器を責め立てる。
「な……けほっ! い、一体何が……」
しばらくむせて、ようやく収まった。
一体何が起こったんだ? 唐突で訳がわからなかった。
と。
我が身を見下ろす。
ビッショビショに濡れていた。
「……ふむ」
涼莉を見やる。
プールの水が半分くらいに減っていた。
うん。
「……あのう、涼莉さん? なぜ突然このような凶行に?」
「つーん」
拗ねていやがる。
僕が遊びに入ってこないので拗ねていやがるこの猫娘。
というか分かっているのかな。君の本気を食らえば僕なんて障子紙の如く一瞬でボロボロになるんだけど。
事実、今水をぶっかけられたという事は理解できたけれど、モーションはまったく見えなかった。衝撃なんて水面にダイブした時のような衝撃を受けたんだよ?
「……涼莉。あのねえ、さすがに僕もこれはちょっと許しがたいというか」
ため息をついて、涼莉をみる。
……ネコミミがぴたりと頭にはりついていた。
一応人型の時は横にも人間の耳が付いていて、そちらも機能しているらしい。どちらを使うかはオンオフで切り替えられるそうだ。つまりまあ、ネコミミをペタリとやっても本人的には特に影響はないわけで。
つまりは『聞いていませんアピール』でしかないわけだ。
うん。
「涼莉さん。涼莉? ねえ涼莉ってば」
「つーん、つーん、つーーーーん」
ぷちっと。
僕の中で何かが切れた。
「涼莉こら人の話を聞きなさい! 聞き分けのない子どもじゃないんだから!!」
「に、にゃああああっ!!」
とびかかる。
耳を無理矢理立てようとすると逃げるので足を捕まえた。
あ、痛、痛い痛い。ちょっと、顔面は無し顔面蹴るのは無しだってば!!
思わず手を放す。
すると涼莉、ネコミミを寝かせるだけでなく両手の平を頭の横につけてこっちでも話し聞きませんアピールを開始。
オーケイ、よっぽど僕と戦いたいようだな。
いいだろう僕の本気を見せてやる!
「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!!」
二秒で負けた。
足の指先でみぞおちを踏みしかれて。
いやこれ本当に痛いから。シャレになってないから。しかも涼莉が慎重に手加減をしているのが表情でわかってプライド辺りも現在進行形で同時に踏み潰されている。なにこれ敵に気遣われるってすげぇ落ち込むね。マンガとかで手加減された人が滅茶苦茶怒る理由がわかったよ。
しかし。
僕もただでやられるわけにはいかない。
ふふふ、これでも、中学校の技術科目の先生から別方面の技術も教えてもらっているのだ。
あ、ダメ、そんな自慢話考えてたら意識超ヤベェ急いで対処しない――とっ!!
「に、にゃっ?!」
ぐりん、と。
手と足でそれぞれ涼莉の両足に力を加え、体軸をずらし、教わった要領で涼莉の力を捩じ曲げる。
丁寧で、それでいて、恐れず、大胆に。下手にためらうと逆に涼莉の足を傷つけてしまいかねない。
「よい――しょ……っと!!」
「うにゃー!!」
ぱしゃあっ!! と音を立ててその体を引き倒す。
ふははははどうだ見たかかよわい人間のかよわい男でもこうして圧倒的強者である少女に打ち勝つことができるのだ!!
……なんだろう、凄まじく情けない気分になってきた。
ともあれ。
「どうだ見たか涼莉! さあおとなしく僕の話を聞くんだ!!」
「にゃあー! もぅ、空のばかあー!!」
てんやわんや。
やんややんや。
びしゃびしゃ。
ばたんばたん。
ビニールプールの中で水をバシャバシャと弾かせながらああでもないこうでもないと暴れ回る。
あれ、なんだか楽しくなってきた。
「ふははははは! もう諦めろ涼莉!!」
「に、にゃああああっ!!」
「――――――――楽しそうね、空」
声に温度があるのなら。
それはきっと絶対零度の声だった。
姉さんだ。
姉さんですよ。
姉さんに決まってます。
僕の耳が姉さんの声を間違うはずも聞き逃すはずもないし、僕の目が姉さんを見間違うはずも見逃すはずもない。
だから、そこにいるのは姉さんなんです。
ええと。
その背後に魔王もかくやというオーラが漂っていることを除けば。
屋上の入り口。
ごうん、と音を立てて閉まる扉の前に。姉さんが直立不動で立っていた。
「ねえ、空」
ずん、と足が踏み出される。
びくり、と僕の両肩が震えた。汗がドバっと飛び出す。
「何を、しているの、かな?」
「え? ええと何ってその、涼莉があまりにも言うことを聞かないから、これはもう力ずくしかないかなあと思――ひぃっ?!」
ぎらん。と姉さんの瞳が光る。え、なにそれ人間にできるエフェクトなの。
「そう。言う事を力ずくで。ふうん……どんな事をさせようとしていたのかしら、そんな格好をして」
「そんなって……え?」
今になって自分がどんな体勢になっているのか自覚した。
さあて解説いたしましょう。
さっきまで自分たちでもわけのわからない状態になって騒いでいたわけだけれど、僕の目的は涼莉の両手を頭から離してネコミミもしっかりと立てることだ。要は両手を拘束して頭を掴まなくてはいけない。
そうして冷静になって今の僕の状態を確認してみようじゃないか。
まず事を優勢に運ぶためにはポジションが重要なのは諸君も理解してくれると思う。相手より優位な立ち位置――それも圧倒的優位性を手に入れることができるポジションはどこか判るかな?
そう。マウントポジションだ。
僕のおしりの下には涼莉の胸が当たっている。
まあ待って。待って。
既にアウトの雰囲気だけれどまだ話は続くから。お願い聞いて。
次に、僕はその状態で右ひざと左手を使って涼莉の両腕を固定している。そして今まさに、右手で涼莉のネコミミを立てようとしていたわけだ。さて、こんな体勢になると、どうしてもお互いの距離が近くなる。ぶっちゃけ涼莉の顔がすぐそこにあった。
ちなみに涼莉さん、ちょっと涙目である。
待ってってば。まだ続きがあるんだから。だから最後まで聞いて。
とっくにメーターはレッドを振りきってアウトどころかコールドゲームの様相を呈しているけど、とにかく聞いて。
極めつけは、暴れていた事による二次災害だ。
みんなも良く知っているように水着というのは柔らかい素材で出来ている。そして動きを阻害しない様になっているけれど、それは反面、迂闊なことをすると着衣がずれてしまう事があるということでもあるわけだ。
うん、大体わかったよね。
そして僕の絶望もだいたい分かって欲しいかな。
涼莉のスクール水着の肩紐がずれていた。
二の腕の半ばでひっかかっていて、胸元がかろうじてR−18タグを回避するように隠れていた。
白い肌が顕になり、なんというか、年齢以上の色気を感じさせる。
涙を浮かべて赤く染まった顔が、それをまた助長していた。
さあ皆さん考えて欲しい。
スク水少女を組み敷き。
顔をぎりぎりまで近づけ。
あまつさえ水着をはだけさせる。
無論、その被害にあった少女は涙目だ。
こんな事をしている人間を、一般的になんて呼ぶのか、知っているかな?
そう。
「待って姉さんちょっと待って僕もねこれはわざとじゃなくてそう偶然って言うかだからそのね」
「犯罪、厳禁――っ!!」
スパカアアアアンッ!!!!
と。
どこからどう見ても犯罪者な僕は、姉さんの一撃によって意識をぶった切られた。
今回のオチというか反省というか自己嫌悪というかもうね
新調されたクーラーの前でぼーっとする。
あれ以来、涼莉は微妙に距離をとっている。ご飯を上げる時もちょっと距離がある。悲しい。
姉さんはいつも通り。いつも通りだけれど、僕が涼莉に近づくとじっと見ている。明らかに警戒監視している。怖い。事情は話して分かってくれたと思っていたのに。
まあ、仕方ない。
一度失った信頼を取り戻すにはもう努力しかないのだ。うん、頑張ろう。頑張ります。
ころころころ、とましゅまろが転がってきた。
ああ、僕を慰めてくれるのか、君は。
ううううう、ありがと――、
「……へっ」
ころころころ。
転がって視界からフェードアウトするニヒルに笑った白い球体。
……。
泣いた。
僕は泣いた。
出てくる割に大抵被害者じゃないかと、投稿直前に気づきました。
次出すときはもっと活躍させよう……。
ちなみに今回書いていて一番楽しかったのは主人公が追い詰められているシーンです。
本当は本当に何事も無く終わるだけの話にするつもりだったのに。