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異世界魔刀士と七変化の眷属   作者: 来夢
第1章 旅立ちの準備編
13/203

第12話  迷宮調査 後編

―――― 迷宮・10階層・ボス部屋前 ――――


魔法の練習をしつつ、危なげなく10階層まで辿り着くと、このフロアは一面、壁なっていて、最奥の壁の中心には石作りの大きな扉が見える。


「ここはボス部屋よ。入るとほら、そこの魔石が光って扉が閉まるわ」


「ひょっとして、ボスを倒すまで出られないのか?」


「そうね、ボスを倒すと中の出口にある、扉の魔石が光って、次の階層に行く扉が開くわ」


ゲーム、アニメ、迷宮系のラノベと、同じ設定なのは理解不能であるが、取り敢えず、突っ込まずにおいておく。


「まぁ、扉が開こうが開かなかろうが、どっちにしても倒すから、関係ないちゃ関係ないか」


「それもそうね。モンスターも出ない事だし、この辺で一休みする?」


「そうだな。一気にここまで来たから、お腹も空いた事だし、そうしようか」


そう決まると、アイテムボックスから、折りたたみ椅子と、折りたたみテーブルを出して、食事の用意をする。


「タクトってば、用意がいいわね。感心するわ」


「ああ、地球では、仕事は段取り8割、作業は2割って教えられたからね」


『実際、バイトとかしてた時、先輩からいつもそう言われてたな~』


「なるほどね。効率よく準備できるのは、段取りがいいからって事なのね」


「時間は、お金じゃ買えないし戻せないからな。後から後悔しないように、あらゆる場面を想定して色々準備するってことだな。まぁ、それでも想定外があるから、落ちて死んじゃったんだけどね」


「立派な考えだし、実践する事に意味があるのよ。人は失敗から学んで成長するんだもん。それに、あのタイミングで、タクトが落ちてきたおかけで、私達は神様を通して出会ったんだから、そう悲観する事ないわ」


『確かに、あのタイミングで落ちていなければ、今ここにはいないよな……神様と女神様には感謝の言葉しかないや……』


「ありがとう!なんか元気になったよ」


今のところ、本心を口に出しては言うつもりは無いが、フィーナに心の中で深く感謝をした。


「なによ、いまさら水臭い……私とタクトの仲じゃないの」


『いや、まだ出会ってから1週間も経っていないですけど……』


フィーナは、照れくさそうな顔をして言うので、ここは突っ込まず同調しておいた。


ご飯の用意といっても、今日の朝から作った、バーガー類を皿に置き、テーブルに並べただけなので、あっと言う間に準備が整った。


「飲み物だけど、何にする?」


「そーね、何か、スカーっとするもの飲みたいわ」


「じゃ、サイダーがあるから、それでいいっか。自作だからさ、味の保障は出来ないよ」


今日の朝、鉱山で取れた、重曹、クエン酸、砂糖、ハチミツを混ぜ合わせ、炭酸飲料水を作ってみたのを、手渡すと「おいしいわね……うん!これおいしいよ」と、なぜ2回言ったのかは、分からないが、気に入って貰えて何よりだった。


それからハンバーガーを食べ始めると、フィーナは無言で全て食べ尽くした。


「あ~美味しかった。余は満足じゃ」


「なんだその時代劇の言い回し!まぁ、でも満足してくれたようで、作った甲斐があったよ」


「ふふふ、ハンバーガーだったっけ?お肉が柔らかくて美味しかったし、もうひとつの方も、ほんのり甘くて美味しいから気にいったよ。また作ってね」


「分かったよ、今日モンスターから、いっぱい肉をドロップしたから、また作るよ」


「タクトと、一緒でよかった。毎日おいしいもの食べられるから……」


「そう言って、褒めてもらえるのは嬉しいんだが、フィーナの専属のコック、じゃないんだけどな」


「だって、本当に美味しいんだもん」


そう言いつつも、次は何を食べてもらおうか、考えている自分がいた……


ごはんを食べ終えると、作戦?と言うかボス攻略の話をする事になる。


「通常なら、ワイバーンとかBランクモンスターだけど、この異常事態だから、何が出くるか分かったもんじゃないわ、用心に越したことないわね。気を引き締めて行きましょう」


「了解だよ。じゃあ作戦じゃないけど、セオリーどおり行くなら、飛行系のモンスターなら魔法攻撃で、地上系のモンスターなら物理攻撃って事いいかい?」


「それで構わないけど、それはもう作戦とは呼べないわね。細かい話はいいわ、じゃあ行きましょうか?」


「仕方ないじゃないか?迷宮のボス戦初めてなんだからさ。それじゃ、臨機応変ってことで参りますか」


こうして、ボス部屋に入ることになると、攻略戦を始める。


石作りの扉が「ゴゴゴゴゴ……」と音を立てながら開くと、驚きはしたが迷わずボス部屋に入る。


すると、再度音を立てながら、自動で入り口の扉が閉まり、壁沿いに設置?してある光の魔石が、一気に発光して、部屋の真ん中に魔法陣が現れる。しかもかなりの大きさだ。


『これって一体……どう言う仕掛けになってるんだよ……』


すると魔法陣から、巨大な黒紫色のモンスターが「ギョワォーン」と、咆哮を上げながら現れた。


「――――――!ベヒーモス!」


フィーナは、神眼の鑑定結果を見て、驚いた様に言った。


「気をつけて!こんな浅い階層で、Sランクのベヒーモスが現れるなんて異常事態よ!」


ゲームで何度か見たことはあるが、実際に自分の目の前に現れると、驚愕的なな大きさと迫力で足が(すく)みそうになる。


「ちょ・ちょっい待ち、でか過ぎないか!大きく見積もってだけど、10mはあるだろ?」


「今はそんな事言ってる場合じゃないでしょ!まず私が魔法で、気を逸らすから、その間に攻略方法を考えてよ!」


「分かった!全力で考えるよ!」


「アイス・ブラインド」


フィーナがそう詠唱すると、氷の刃が10本ほど現れ、ベヒーモスの方向へ飛んで行く。


ベヒーモスは、氷の刃を見ると、巨体を捻り背中で受けると、全くダメージを受けた様子はなく、その後も、後方から連続で各属性の魔法攻撃を仕掛けているが、皮膚が分厚いのか、まるで効いてはいない様子である。


それを見て、直ぐさま攻略の糸口を見つけるために頭をフル回転させた。


『魔法はまるで効いてないな。物理攻撃なら、あれだけデカいんだから、足さえ何とかなれば……』


「よし!作戦は決まった。取り敢えず時間がない。これ以上いい案が思い浮かばないから、やってみるしかない!」


「タクト、気をつけて、突進が来るわ!」


ベヒーモスは、後ろ足で土を掻くと、俺達のいる方向へ向かって突進してくる。


「フィーナ、下がってろ!俺が何とかしてみせる!」


そう指示を出すと、居合い斬りの構えをすると、刀に早急に風の魔法を纏わせ、すれ違がう様に縮地との合わせ技で、刀を振り抜くと同時にエアカッターを放つ。


「シュッパーーン」と空気を切り裂く音が鳴ると、放った攻撃はカウンターとなり皮膚を切り裂き、エア・カッターでベヒーモスの右脚を斬り落とした。


「どうだ!」


「タクト!安心するのはまだ早いわ」


「えっ!どう言うこと!」


「Sランク・モンスターは、核となってる、魔石を壊さないと何度でも復活するわ、ほら、額の魔石が見えるでしょ、あの魔石を壊すしか倒す方法はないから、魔石を狙うのよ」


斬り落とした、ベヒーモスの足を見ると、足の周りに光の粒が集まり出し、足の形に形成されていく……


「――――――って!マジかよ!」


「額にはどう考えても刀が届かない!もう一つ脚を斬って、寝かせるしかないな!」


「それが、一番良さそうね!」


そう答えを出すと、足が形成される前に先ほどと同様、左脚も斬り落とす。


「ドーン」と音を立てて、ベヒーモスは、自重を支える足が無くなると、前のめりに体勢を崩して、横倒しの状態になる。


「タクト、今がチャンスよ!」


額のコアが手の届く距離にある事を確認すると「よし、狙い通りだ、任せておけ!」と言いながら横倒しになった、ベヒーモスの体に飛び乗り、すかざず、頭の上まで移動すると、ベヒーモスの額にある、緑色のサファイヤのような魔石を刀で切り裂いた。


すると、額についていた魔石はガラスが砕けるように割れ、ベヒーモスは苦しそうに咆哮をあげると『これはマズいかも』と感じて、慌ててベヒーモスから飛び降り、距離を取る。


その瞬間、ベヒーモスは弾けるように一気に光の粒子になると、それが集まり、何かアイテムの形になろうとしていた。


「よし!やったぞ!」


「ええ、やったわね!もっと、てこずるかと思ったけど、ベヒーモス相手によく戦ったわ!」


「魔法は皮膚が硬くて効かないし、やっと斬った足も、光が集りだして修復し始めたから、正直焦ったよ」


そう話しをしていると、ベヒーモスの光の粒が全て集まり、アイテムである宝箱の姿に変わると同時に、いつもより大きな光が、俺とフィーナを包みこむ。


「なんだ?いつもより大きく光ったぞ!」


興奮冷めやまぬままだったので、大袈裟に反応をしてしまうと、フィーナは笑顔で頷いた。


「やったわね! 二人とも新たにスキル覚えたみたいよ。それにしても、意図も簡単にあの足を斬るなんて、相変わらずその刀って凄いわね。さすが神器だわね」


「そうだな。どう考えても、刀身だけじゃ斬れる範囲が狭いから、風の魔法を纏せといて正解だったよ」


「咄嗟に、よくそこまで判断出来たわね。凄いとしか言い様がないわ。それじゃ、新しく覚えたスキルを確認をしよっか?」


――――――――――――――――――――――――――――――

現在時間

PM5:49


タクト 人族(18歳) 職業 魔刀士


身長 180cm 髪の色 黒髪 黒い目

<スキル>

アノース語  創作 縮地(NEW) 居合い斬り(UP) Lv2(縮地合成) 全属性魔法 魔法創造 XXXXX


武器スキル 

治癒 連続剣(単体)二刀流剣舞(NEW)4連続斬り


称号 神の使徒 


武器 右手 草薙の刀(黒) 武器クラス 神器(全属性)

   左手 天叢雲の刀(紫) 武器クラス 神器(全属性)

   脇差 村雨の短刀 武器クラス 神器 



フィーナ 妖精族(18歳)  

 

身長 15cm 髪の色 金色  青色い目


――妖精時――

<スキル>

アノース語 日本語 人間化 神眼Lv2(スキルボード、鑑定、索敵)転移魔法 隠密 飛行

付属スキルなし


――人間時――(魔法使い)

<スキル>

アノース語 日本語 神眼 Lv2(スキルボード、鑑定、索敵) 創作 全属性魔法 治癒 転移魔法 隠蔽 リンク XXXXX XXXXX

武器スキル

プロテクションシールド(NEW)


称号 タクトの眷属


武器 両手 賢者の薙刀 武器クラス 神器(全属性)


――――――――――――――――――――――――――――――



「もう、なんだか無敵ね……それよりあれを見て。アイテムは宝箱よ。早く中身を確認してみましょうよ」


「そうだな。Sランク・モンスターの出した、アイテムなんて、何が入っているのか楽しみだよ」


そう言いながら、二人で宝箱に近づいて行き、宝箱を開ける。


すると中身は、宝箱の名に恥じぬ、大きな金貨数枚と宝石が見える。


「こ・こりゃ凄いなぁ~!初めて見たよ金貨なんて」


「宝石と星金貨10枚以上あるなんて、凄過ぎるわね」


「星金貨って、そんなに驚くほど凄いの?」


「ええ、屋敷を買って、ゴージャスな暮らしをしても、一生お金に困らないくらいにね凄いわよ!」


俺とフィーナは、咄嗟に笑顔で握手すると、自分たちでした事なのに照れてしまい、相変わらず、何がしたいのか、よく分からない関係であった……


あまりにも気まずい雰囲気になったので「ゴホン!」と、一度咳払いをして、その場を誤魔化す。


「でも金品があっても意味無くない?もう屋敷もあるし、何も買わずに、全て物は自分で創作するんじゃなかったけ?」


「そう言えばそうね。まぁ、お金はあっても困らないし、いずれ使う日がきっとくるわ」


いつか、そんな日はくるのだろうかと思ったが、今考えても意味がないので考えるのをやめる。


「それじゃ、今回習得したスキルの説明だけど、タクトが新たに習得した剣舞は、発動すれば隙間なく、高速で連続攻撃出来る、刀スキルよ!鍛錬次第では、最大で10連続、攻撃出来る様になるわ」


「10連続って、普通に凄すぎだよ!いったいどんな敵と戦うんだ?」


「敵は単独だとは言えないでしょ?それと、今回私が覚えたスキルは、プロテクション・シールドと言って、名前そのままね。人にも物にも使える結界防御魔法ね」


「マジかよ!色々チート過ぎてもう無敵じゃないのか?」


「神の使徒だから当然と言えば当然かな?ベヒーモス倒しんだから、これくらいのスキルを覚えて当然よ!ふふふ……」


と、フィーナは、何か企んでいるように、ほくそ笑むのであった。


『それにしても、索敵は分かるとして、なぜか日本語も追加されてたな……リンク絡みであろうがなんだか……また余分なこと考えてなけりゃいいけど……』


一抹の不安を感じながら、宝箱を箱ごとアイテムボックスに収納すると、連動する様に奥の扉が開いた。


「じゃ、次行きますか?」


そう言うと、二人は11階層の階段を見つけて、降りていった。



※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



11階層に降りると、そこは、森になっていて、迷宮内は理由は分からないが夜になっていた。


その理由を確認すると、体内時計が狂うと人間は体調が悪くなり、精神的にも体にも、影響が出るからと言うことで、神様がバベルのクロックの様に、外の時間に合わせて変わる様に、迷宮を創ったみたいだ。


その話を聞いて、流石神様だと、感心と敬意を表した。


そんな話を聞いた後に、現時刻を確認すると、既に午後6時半になっていたので、野営キャンプをすることにすることになった。


辺りをすこし探索すると、丁度キャンプをするのにはいい感じの場所があったので、野営はこの場所でする事が決定した。


アイテムボックスから、日本にいる時に、地震や災害があった時の為に買っておいた、テント、寝袋、ランタンなど、キャンプに必要な道具を取り出して、寝る準備をし始める。


「へ~!野宿を覚悟してたけど、地球にはこんな便利で有用なグッズがあるのね」


「日本は特に災害が多い国だからね。イザと言う時の為に買っておいたんだよ」


「備えあれば憂いなしだね。手伝おうか?」


「気持ちだけでいいよ。このテントワンタッチだから。ほら、このとおり」


「バッ!」


ワンプッシュでテントが完成すると、フィーナは後ずさりして驚くが、直ぐに新しく覚えた、プロテクション・シールドを掛けて貰った。


日本に存命中、幸いにして災害は一度も無かったので、自分もテントの中に入るのは初めてだったが、中に入ると案外広く、なかなか快適であった。


寝袋は、丁度2個あったので、テントの中に敷かれた、クッションマットの上に寝袋を置く。


「それじゃ、寝るとしようか?」


「この金属は何?」


「ああ。寝袋を繋げるジッパーだよ。二つの寝袋をドッキングすると広くなるんだよ」


そう説明をしながら寝袋に入り目を瞑ると、フィーナがこっそり寝袋をドッキングしようとしたので「悪戯しちゃ駄目だってば」とお断りする。


すると「ちぇ、つまんないの」と、ぶつぶつと言いながらも、同じ様に寝袋に入った。


それから、暫く経のに、フィーナは、寝付けないのか、寝袋に潜ると、芋虫の様な動きをしながら、テントの中を徘徊したり、ごろごろ回転して、しばらく遊んでいて、睡眠の邪魔をしてきた。


「あのー、フィーナさん。まだ8時だけど、その分、朝早くから行動したいからさぁ、もうそろそろ寝ませんか?」


「なによ!タクトが意地悪したからじゃない。たまには、一緒に寝てくれてもいいのにさ」


なんだか、男女が逆転した発言に笑えてしまい、仕方がなく「寝つくまでなら、手を繋いでもいいよ」と言うと、フィーナは嬉しそうな顔をして、やっと就寝する事が出来たのであった。



※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



翌日、目覚めると、迷宮内は明るくなっていていたので、フィーナと一緒に少し散策をしてみると、近くに湖があったので向ってみると、湖の水はとても澄んでいて、魚の泳ぐ姿も見られた。


「へー、凄く水が綺麗なんだけど、この水は飲めるのかい?」


「ちょっと待ってね、鑑定してみるわね」


そう言いつつ、簡単に鑑定が終わると、水は飲んでも問題ないと言う事だったので、顔を洗い、歯磨きをして、朝食が終わると、いよいよ、迷宮の調査、二日目をスタートさせた。


「今日は、せっかく新しいスキルの剣舞を習得したから、それのスキルアップってことでもいい?」


「そうね。魔石は各属性、山のようにあるし、魔法はだいたいの使い方も分かったみたいだから、それで構わないわよ」


こうして、今日の修行内容が決まると、11階層以降はやはり、水系や森系のモンスターに変化し、主に槍を使うリザードマンや、石化してくるコカトリス、それに、虫系のキラービーなどを中心に、次々とモンスターは現れる。


その中で、今日はとても運が良かったのか、マジカルスパイダーと言う、滅多に遭遇しないとされる、激レア・モンスターに遭遇したのである。


マジカルスパイダーの吐く糸は、魔糸と呼ばれる、この世界で一番流通している糸よりも丈夫で、手触りもよく、魔力を効率よく伝達するので、とても貴重品という話だった。


マジカルスパイダーを倒しても、それなりに良いアイテムになるそうだが、凄く勿体無いので、何かいい糸の回収方法がないか考えると、フィーナが木の棒を創作して、それに巻きつけるように誘導する。


「おまえの力は、そんなものか?」


と、どこかで聞いたセリフをいいながら、身振り手振りで、フィーナが威嚇をすると、マジカルスパイダーは糸を大量に吐き攻撃をしてくる。


だが、マジカルスパイダーの糸は、魔力を元にして糸を生成する為か、糸も無限ではなく、だんだんと吐く量が少なくなっていった。


もうそろそろか、と終わりを感じていると……フィーナはアイテムボックスから陶器で出来た小瓶を取り出し、マジカルスパイダーに投げつけると、体に当たり小瓶が割れた。


「おい!いったい何を投げたんだ?」


「魔力回復液に決まってるじゃない。ほ~ら、まだまだ行くわよ」


すると、マジカル・スパイダーが薄いグリーンに光り、糸を吐き出す量がまた増えた。


フィーナは、にやりと悪い顔をして、魔力を復活させては、また糸を吐かせる。


『いったい、どれだけ、悪知恵働くんだよー』


と感心しながらも呆れていたが、切りが無いので、ここらで諦めて貰う事にする。


「もう10本目だよ。もうそろそろ、いいんじゃないかな?許してあげようよ」


「仕方がないわね!倒されもせず、逃がしてもらえるなんて、運がいいわね、今日のところは見逃してあげるわ」


と、フィーナは、何かを企てている様な顔で笑っていたので、後からそれとなく聞いてみると、やはり事実は、<見逃してやったというのは嘘で、また糸がほしい時に、いつ来ても居るようにしたかった>と、言う事だった。


この話を、している時のフィーナは、とても悪い顔をしていたので『女は恐ろしい……』と、生まれて、初めて、そう認識するのであった。


ちなみに、糸を回収したあとに聞いた話だが、蜘蛛の糸特有の粘着する成分は、熱湯で煮ることで効果が無くなるみたいであった。


その後は、スキル剣舞の練習に、リザードマンやキングオークなどの、中型のBランク・モンスターを狩まくると、瞬く間に、スキルのレベル?はMAXになり、19階層に辿り着く前には、最初の4連撃から、10連撃まで出来る様になっていた。


しかも、確認方法が無いので、仮定ではあるが、身体能力も上がっているみたいだ。


理由は、走っても、さほど疲れないし、跳躍力も恐らくは地球基準で、人外なくらい飛べる様になっていた。


そんなこんなで、後は大して代り映えもなく、ついに最終階層である、20階層に辿り着いたのだった。

いつも異世界魔刀士と七変化の眷属を読んで頂いて、ありがとうございます。



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