第11.5話 迷宮調査 中編
今回の話は補足回となります。(話の重複する部分あり)
物語の本スジにはあまり関係ない話となりますので、読むのが面倒な方は、読み飛ばして頂いても大丈夫だと思われます。
―― 迷宮2階層 ――
2階層目に続く階段を降りると、どうやら2階層目も洞窟となってるようだ。
「先に進む前に、アイテムの回収のことだけど、これからは、食料と金品は俺が回収するから、魔石はフィーナが回収するって事にしないか?」
「いいわよ。その方が持ち物の把握しやすいし、タクトの世界ではなんていったっけ?」
「ああ。こう言う時に使う言葉なのか分からないけど、適材適所って感じかな?」
「そう、それ。じゃ私からも提案なんだけど、ここからは、せっかくだから各属性魔法を説明したいから、使いながら進もうと思うんだけど異論はあるかな?」
「異論と言うか、是非ともお願いしたいです」
なぜ、フィーナが適材適所なんて言葉を知っているのか疑問だが、恐らく脳内翻訳なんだろう……
「それじゃ、モンスターが現れたら、私が攻撃するから、タクトは見ているだけでいいわ」
「それでは師匠、お願いします」
「ふふふ。師匠っていい響きね!」
フィーナは、師匠と呼ばれて気分をよくしたのか、笑顔でロッドをバトンのように回転させ始める。
すると、視界にはモンスターの影すら目視確認出来ないのだが、フィーナの神眼では見えているのであろか「早速おでましよ。まずは氷属性から行くわね」と、言うとロッドに魔力を流し始めた。
フィーナの言うとおり、視界に大きなコウモリ系のモンスターが5匹見えると「アイス・ブラインド」と詠唱をする。
すると、モンスターの数と同じ氷の刃が一瞬でフィーナの頭上に現れ、モンスターに向けて「行け!」と言いながらロッドを振る。
氷の刃が、5匹全部のコウモリ系モンスターに飛んでいき、命中をすると、コウモリは氷に全身を包まれ、浮力を奪われ、落下して砕け散る。
フィーナは嬉しそうに「どう?今ので分かった?氷系の魔法はこんな感じね。質問はアイテム回収してから受け付けるから、少し待っててね」と言って魔石をアイテムボックスに収納しに行った。
フィーナは魔石を回収して、笑顔で戻ってきた。
「さっき説明はしてくれたけど、その魔石の属性って全部で8種類あるの?」
「そう言えば説明を端折ってしまったわね。魔法でとどめをさすと、最後の攻撃で倒した属性の魔石が80パーセントの確立ででるわ。残りの20パーセントは、生活にかかせない光の魔石や金品が出るのよ。光の魔石は照明にしか使えないし、闇は魔石自体が存在しないけどね」
「そうなんだ。でもなぜ、光と闇は限定的なんだ?」
「光魔法は、攻撃魔法が強力すぎるから神様が封印しちゃったのよ。闇魔法に関して言えば、研究者がゴミや廃棄物に使おうとしたから、全面的に廃止した感じかな。吸い込まれたら最後死んじゃうからね」
「なるほど。確かに何でも吸い込んでくれるなら、掃除機とかに仕込めば便利だけど、資源の問題とか、証拠隠滅とか、責任っていう問題に関しては、問題がありすぎるよな」
「そうね。まぁ、光と闇魔法に関しては、もしギルドカードを作ったとしても隠蔽されるようにしてあるから安心していいわ。それとも、勇者や英雄になって、女の子からちやほやされたい?」
「いや、面倒だからいいや。神様から与えられた目的はそこじゃないし。そんなに俺がモテたいように見えるかい?」
「ふふふ、見えないわ。むしろ大丈夫?ていうか、まぁいいわ。そう言うことにしておくわ」
なんだか、最後は煮え切らない感じではあったが、納得したし。納得してくれたので、これでよしと思うことにした。
こうして、フィーナは、2階層目~5階層目までの間、次々と色々な魔法を駆使してモンスターを倒していく。
そして、魔法の説明を受けながら危なげなく進み、約半日をかけて5階層目まで到達した。
「結局最後まで、出てくるモンスターは違ったけど洞窟ばっかだったね」
「ええ。そうね。そろそろ疲れたし。お腹が空くじかんじゃない?」
「もうそんな時間か。それじゃモンスターの出ない階段で休憩がてら昼食にしようか」
階段に腰を下ろし、フィーナに準備したおにぎりと卵焼きなどのおかずを渡し、食べながら、今回見せてくれた魔法を簡単に纏めると、
氷魔法のアイスブラインド (省略)
風魔法のウインドカッター (省略)
火魔法のファイヤーボール (炎の玉がモンスターに飛んでいき、当たると炎上)
雷魔法のサンダーフォース (モンスターの頭上に雷)
水魔法のスピンウォーター (高速回転する水の刃が、ブーメランの様に飛んでいく)
土魔法のグランドクエイク (地割れが出来、モンスターが地割れに落ちる)
光魔法のホーリーライト (光の熱でモンスターを蒸発させる)
闇魔法のダークホール (空間にブラックホール?のような物が出来、モンスターが吸い込まれる)
という、なんとも厨二くさい名前のついた、チート級の魔法を見せてくれた。
「それにしても、どの魔法も強力過ぎやしないか?」
フィーナ曰く、「これは最上級魔法なので、人前では使用禁止よ」と念を押された。
じゃ、いつ使うんだよと突っ込みたくなるが、そこは歯向かわずに納得しておいた。
「じゃ、6階層目からは、タクトが魔法の練習ってことでいい?」
「もちろんいいけど、上級魔法なんだろ?普通に使えれるの?」
「タクトに関して言えば、全て使える筈よ。なんたって全属性習得済みだし、魔力量も私と同様にあるからね。出したい魔法を詠唱して、放つだけでいいわ」
「とんでもないなー。世界の努力している人に申し訳ないよ」
「神の使徒なんだから、そこらへんは気にしちゃ駄目よ」
「神の使徒?」
「ええ。神様から特命を受けて、この世界に降り立ったんだから、その認識でいいでしょう。称号にもそう書いてあるしね」
「称号か~、なんか大袈裟っていうか、なんか普通の人間なのに、いいのかなって」
「いや異世界転移者ってだけで、普通じゃないでしょ」
「普通ってことにして欲しいよ」
「ふふふ。いまさら無理な相談ね」
昼食兼休憩を終え、6階層に進むとそこは、辺り一面砂漠が広がっていて、砂なので歩きにくいのだが、太陽が照り付けている訳でもなく、暑くはない。
「これって、道とかってどうなってるの?」
「ほら、あそこに矢印の書いてある看板が見えるでしょ。それに向かって歩いていけばいいのよ」
「なるほどね。それじゃ先に進むとしようか」
「そうね。夜までには、半分の10階層目まで行きたいからね」
こうして、砂漠を歩いていると、お決まりの様に、大型のサソリやサンドワームなどのモンスターが現れ、フィーナに教わった魔法で、いとも簡単に倒していく。
「あのさ、これって、練習じゃなくて一方的な蹂躙じゃない?しかも魔法で倒しているせいで、魔石ばかりで負担掛けてるし、美人に働かせて、申し訳ない気持ちでいっぱいだよ」
「ち・ちょっとそんな風に思ってくれてたのね。ありがとね」
『そう言えば、美人だとは思っていたけど、口に出したの初めてだったな。軽い気持ちで、さらっと言っちゃったよ』
それからも、魔法を使いながら足を進めると、7階層目の中間地点にあるオアシスで休憩を挟む。
「こうした、休憩を取る場所って他の階層にもあるの?」
「そうね、順調にここまでくれば、中級以上の冒険者なら丁度この辺で夜になるし、結界あるからモンスターも現れないから、冒険者のキャンプ地になっているわ」
「まだ、3時だから俺たちはハイペースなのか?」
「そうね。普通より3時間は早いかしら」
「それじゃ、とっとと10階層まで行くとしようか」
「そうね、それがいいわ」
そんな話をしつつ、短い休憩を終えると、さらにペースを上げ、もはや魔法の練習とは呼べない、蹂躙を行いながら、夕方5時になるころには、話にあった、10階層目のボス部屋へと続く階段まで辿り着いた。




