最終話 ここは流転の國
「ここは…?」
ジェイが目を覚ます。
「うわっ!玉座の間!?」
その場にはマヤリィとルーリの姿があった。
「目が覚めたようね、ジェイ」
「姫…!それにルーリ…!ここは流転の國ですよね!?帰ってこれたんですね??」
ジェイの言葉に、二人は頷く。
「まさか私に元の世界がないということが役に立つ日が来ようとは思ってもみませんでした」
ルーリがそう言うと、マヤリィは微笑んで、
「貴女のお陰で助かったわ。…ルーリ、本当にありがとう」
「勿体ないお言葉にございます、マヤリィ様」
ご主人様の前で、跪き頭を下げるルーリ。
流転の國のいつもの光景だ。
「ところで、皆はどこに…?」
「流転の國に戻った瞬間、あの異世界から、それぞれこの城のどこかに飛ばされたみたいだけれど、全員無事よ。念の為、10時に第6会議室に集まるよう念話を送ったわ」
マヤリィが言う。
「そしたら皆から返事があった。ミノリも、ネクロも、シロマも、ランジュも、そしてシャドーレも、すぐに念話を返してくれたのよ」
「そういえば…あの異世界における皆の名前が思い出せません。…マヤリィ様、私はあの世界でなんという名前でしたでしょうか?」
「確かに、僕も思い出せないです」
それを聞いて、マヤリィも首を傾げる。しかし、思い出すことは出来なかった。
そして、宙色の耳飾りは何事もなかったかのようにマヤリィの耳にある。
いつしか、あのNIPPONという世界に飛ばされたことさえ、記憶から消えていった。
因みに。
第6会議室でジェイの隣に座ったネクロは相変わらず『隠遁』のローブを着ていた。
(ネクロの素顔って、いまだに謎だな…)
あの世界で見た彼女の素顔は完全に忘れてしまっていた。
「ジェイ殿。どうかなさいましたかな?」
「い、いや…何でもないよ」
そして、10時を迎える。
マヤリィは定刻通りに会議室に現れると、皆と一緒に流転の國に帰還出来たことを喜ぶのだった。




