証明
「私『スタッグ』に聞いたことがある。『オレンジ・バイス』を持つ『ギラファ』は何度もオオヒラタに化身したって、疑ってる訳じゃないけど、あなたは本物の『バイス』なのかしら?」
「何を言ってるの、『リンリン』。『バイス』は本物よ、決まってるじゃない」
「姉さん、今まで何度も騙されたのに、懲りないのね。わたしは念を押しただけよ」
「疑いがひとつでもあれば、結束は崩れる、『ラクレス』たちを倒すのは正しき勇者が集まらなければ。わかった、どう証明しようか」
『バイス』はそう『リンリン』に答えた。
「『スタッグ』は、私に腕を切り落としてこの『オレンジ・バイス』を取り出した。それと引き換えに『スタッグ』の鋭い爪を持った腕はその能力を無くした、彼はこう言ったわ、橙龍刀が抜かれても、その能力が消えるのではない、再びこの手に戻るまで使えないだけだと。『オレンジ・バイス』を一度取り出しても、本物の『バイス』ならあなたのままでしょう?」
「確かに、そうだ。もし俺が偽物ならその化身が解かれるってことか」
そういうと『バイス』は肩当てごと、肩の盛り上がった筋肉をひとつかみし、引きちぎった。辺りに血しぶきが上がった。
「おお、『バイス』なんてことを」
「『テンテン』、いいんだ。『リンリン』の言う通りだ、これが俺の『オレンジ・バイス』だ、『リンリン』ほら、俺は『バイス』だったろう」
『リンリン』はバイスから橙龍刀を受け取ると、『バイス』の周りをゆっくり回り、上から下までじっくりと確認した。
「でも今敵が襲って来たら、『ドルク』にはなれないわよ」
「『テンテン』が心配そうに言った」
「ドクン」
大臣もそう思い、『バイス』に言った。
「そうだなそろそろ『ドルク』になっておく方がいい」
「ドクン、ドクン」
その時、ほこらの中に黒い影が飛び込んだ。それは片腕の『スタッグ』と『サキ』だった。
「駄目だ、ラクレスの呪いが甦る。また『リンリン』が……」
しばらくの沈黙の後、ほこら中にひとつの笑い声が響いた。
「あっははははっ、とうとう言わせてやった、私を目覚めさせるその言葉を」
『テンテン』は二度と聞きたくなかった言葉を妹の口から聞かされた。
「メタモルフォーゼ・ブラック!」
漆黒テントウが再び『テンテン』の前に立った。やはり二人は戦う運命だった。
「メタモルフォーゼ・レインボー!」
新しい『レインボー・ランス』が『テンテン』の右手に握られた。
「メタモルフォーゼ・アゲハ!」
由美子が、青いソードを抜いた。その時あらたな敵が現れた。それは『ギラファ』たちだった。
「主役がお出ましの前に、さっさと片付けておくか、やれっ」
「『ギラファ』が命令すると『ナノリア』に生き残っていたシカバネカナブンの兵士がほこらの中になだれ込んで来た。『ギラファ』が『ブラック』に言った。
「ご苦労、『ブラック』。さあ例のものを渡せ」




