1. 赤ずきんは、おばあちゃん家にお菓子を届けに
むかしむかしというほどでもないむかし、
とある森の近くに、一人の少女が住んでいました。
少女の名前は――赤ずきん。
真っ赤なキャップをかぶり、今日も元気に森の中を歩いています。
ただし。
「はぁ~~~……マジで今日だるいんだけど」
昔話の赤ずきんとは、かなり違いました。
彼女は現代の女子高生。
そして――配信者。
「ていうかさぁ、おばあちゃんにお菓子届けるだけって何?
徒歩なんだけど?
普通に配達サービス使わせてよ。こっちは忙しいんだけど?」
ぶつぶつ言いながら歩く赤ずきん。
その背後。
木の陰から彼女を見つめる一匹の狼がいました。
「……今日もかわいい」
狼は赤ずきんの姿をじっと見つめていました。
彼の名前は、大神 仁。自称「狼」
ただし、このウルフ。
偶然森に住んでいるわけではありません。
赤ずきんのSNSを毎日チェック。
配信予定を確認。
ライブで配信視聴した後は、アーカイブで再チェック。
1回目で見落とした気づきを確認している。
過去の配信アーカイブも確認。
投稿時間、好きなお菓子、苦手な食べ物、最近ハマっているゲームまで把握。
さらに、
「昨日は午後11時42分に配信終了……そのあと午前0時13分に『眠い』と投稿……就寝は午前1時18分と推測……」
手帳に細かく記録していました。
完全にネットストーカーです。
「今日はおばあさんの家に行く日……」
ウルフはニヤリと笑いました。
「……見守らなければ」
おばあさんの家も、SNSもチェック済です。
どう考えても見守りではありません。
監視です。




