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episode18『何もしない日→無理だった』

episode18

『何もしない日→無理だった』



[part1]


12:01、昼時。

城壁都市『ブルーリバー』のとある公園、ぐにゃぐにゃベンチに座っているノーチェ。今日は何もしないことを決意する。その理由は。


ノーチェ「今後の計画プランを今日中に考える!よって!何もしない!」


ノーチェは現状をまとめる。


現状

・借金1020Gを冒険者組合に返さなければならない

・Lv5

HP3

攻撃力2(しょぼい剣の武器攻撃力込み)

・冒険者ランクE、つまり薬草採取や街のお掃除ぐらいしか依頼がない。ランクを上げるには依頼の数をこなさなければならない

・しかし、ランクを上げてる間に返済期間をすぎてしまう

・アイテムボックス内(10+5つまで所持可)は

しょぼい剣

通信石

修理キット

ポーション

アウトドアセット

のみ

・所持金18G

・スキル本、スキル等なし

・能力は何でもかんでもぶち壊す経験値が入らない純魔法のみ

・コネはAランク冒険者のメイジ職、ムツキのみ

・闇雲の純魔法は魔族(反◯)や大賢者(セレブロ)に追跡される可能性がある



ノーチェ「どぉすればぁいいんだよぉぉぉぉーーー!!!」


ノーチェの悲痛な叫び。ノーチェは考える。


・プラン1

金を借りる→信用と経験がない為、無理


・プラン2

純魔法の飛空能力を使って運び屋をする→正式な依頼はランクが上がるが飛空能力は希少な為、すぐに噂が広がってしまう


・プラン3

ムツキに個人の依頼(非公式)として運び屋をしてムツキからのポケットマネーを頂く→悪くない……が国や魔族、大賢者(セレブロ)にマークされる可能性は多いにある


・プラン4

冒険者組合に一旦、ゴネてみる(返済猶予期間を伸ばす)→その後の計画は考えてない


と考えている内に何を血迷ったのか別の情報をAIから調べ始めるノーチェ。


※冒険者ランクによる制限

E→討伐、護衛等の依頼受注不可

D→低レベルの魔物の討伐は可能

C→討伐依頼受注可能、緊急依頼受注可能(ポリスメン的な)

B→護衛依頼受注可能

A→大体の依頼は受注可能

S→特別依頼(国からの依頼など)を受注可能


冒険者ランクのSは高報酬故に責務が重すぎる為、冒険者はAランクで留めることが多い



ノーチェ「へー」


ノーチェ「……Cを目指すといいな。緊急依頼なら絶対に需要あるし、とりあえず生活はできるだろ……」


ノーチェ「まー借金がなー」


再び頭を抱えるノーチェ。しかし、運命というのは常に波がある。

なんか周囲の様子がおかしい。気づけば5、6人の黒服に囲まれていた。


ノーチェ「え?」


ノーチェは唖然とするが、黒服達は特に怪しい行動はしていない……がノーチェに徐々に近づく。


黒服「プレミアムギルド試験に合格……いえ、特別措置をされた……ノーチェさん……ですよね?」


ノーチェ「は?」


ノーチェは一瞬、理解が追いつかなかったがやがて記憶を思い出した。


黒服「(手帳を見せる)冒険者組合(借金1020Gを払わなければならないラスボス)です。ちょっと話を聞かせて貰えませんか?」


ノーチェ「あ、あー……」


黒服「心配要りません。危害等は与えませんので……」


黒服達の後ろに大型の馬車がスタンバイされてる。


黒服「あちらの馬車に乗ってください……ここでは人が多い……施設へと移動します」


ノーチェ「(う、うわー……今日1日、終わった……)」


勿論、拒否権は無かった。



[part2]


大型馬車でキビキビと動く馬達。ノーチェは黙っている。隣には黒服達の圧で固められている。


ノーチェ「(どう言い訳しようかなー)」


早速逃げに徹するノーチェ。


そして……冒険者組合『ブルーリバー支部』に到着。そこそこの大型の施設で中には10人ぐらいの黒服が出入りしている。

馬車から降りて黒服に連行されるノーチェ。施設内の会議室に入った。


会議室には複数席が用意されていたがお偉いさん(多分)が数人と着崩れしたスーツのお兄さん達が席にどっしりと座っている。


ノーチェ「(これもう……圧迫面接だろ……)」


そう思いつつ、ノーチェは抵抗なく黒服の言いなりになった。

ノーチェが椅子に座るとお兄さん達が興味津々に覗き始めた。


お兄さんA「(チャラそうな声で)なんだぁ?その服?随分と身分が高そうだなぁ〜?ソレ、どこで売ってたぁ?」


ノーチェ「あー……ざ、雑貨屋でー(←嘘)」


お兄さんB「(渋い声で)その服……これェ魔女って奴だな……?あのバカみてぇに研究で部屋に籠もってる連中だ」


ノーチェ「魔女……?」


お兄さんC「(紳士な声で)魔女を知らない……その格好で……?いや、おかしい……君は嘘をついているよ」


ノーチェ「(…………)」


ノーチェ「(あのさ……)」


ノーチェ「(なんで反◯みたいな人に絡まれてるの?僕?)」


すると黒服がお兄さん達を紹介する。


黒服「彼らは『Sランクの冒険者』だ。我々と深い癒着がある。君達、自己紹介をお願いしてくれ」


お兄さんAは足を組み始めた。


お兄さんA「(チャラそうな巻き舌声で)オレェはアシナガって呼ばれてるんだ……名前ぐらい聞いたこと……あんだろ?」


ノーチェ「(ない)」


アシナガ「おー!お嬢ちゃん……まあまあ知っといてくれよぉ……なあ?」


次にお兄さんBの出番。


お兄さんB「(渋い声で)キイロ……だ。職はウォーリア……戦士職」


キイロは淡々と呟く。


お兄さんC「(紳士な声で)……モンって言う。まあ、通称だけどね……あ、そうそうメイジ職を生業にしている」


アシナガ、キイロ、モン。3人の自己紹介を終える。そして正面に座っている貫禄がある老人(お偉いさん)が1人。


老人「冒険者組合『ブルーリバー』支部長のミラカンだ」


ミラカンはお辞儀をする。ノーチェはとりあえずされるがまま……。


黒服「では本題に……」


アシナガ「いやぁ〜まあまあ〜お茶でも飲みながら……ゆっくりでも……な?」


ノーチェ「(おおおおおお……!)」


ノーチェ「(これ魔族よりやべーよ……)」


アシナガ「確かぁ〜ステータスは……レベル5だっけな?」


キイロ「そうだ。彼女は……レベル……5だ」


モン「このような服装はもっと高位か貴族クラスじゃないと……変なんだよね……君?令嬢とかじゃなくて」


ノーチェ「所持金18Gしかないっス……」


アシナガは深く頷く。


アシナガ「おぉ〜随分とキツイ生活を強いられているんだなぁ〜?……んじゃその服は家系の……形見……とかかぁ?」


すると黒服が話を戻した。


黒服「脱線をしている。話を戻そう……ノーチェさん。君は確かレベル5になる為にプレミアムギルド登録試験を行ったはずだ」


ノーチェ「……はい」


黒服「そして……謎の爆発と共に試験は中断……君は特別措置としてレベル5に上昇した」


ノーチェ「……は、はい……」


アシナガは明後日の方向を向いている。キイロとモンはしっかりとノーチェを見ていた。


黒服「そこで君、ノーチェさんは『剣を刺したら爆発した』と呟いた」


アシナガ「そう!それェよ!んで今流行ってる消失(ミッシング)とかに……関係ェ……してねェか?」


キイロ「そのミッシング……たった数件の怪異だが……Sランク冒険者は目ェ血走って真相を追ってる……ふ、全くどいつも人間だぜ……」


モン「国からの特別依頼だからね……報酬も桁違いな金額……それは必死になるよ」


ノーチェ「…………」


ミラカンが口を開いた。


ミラカン「ノーチェさん。君の1020G……今すぐ……『取り消そう』」


ノーチェ「…………え?」


ミラカン「だだし……」


彼は両手を組んで答えた。


ミラカン「君を……証人として少し、協力してもらう……君の過去の言動を1つずつ話して欲しい……具体的に言うと……アシナガ達としばらく過ごす……できるかい?」



ノーチェ「(絶対ヤダ!!!)」


ノーチェ「(もう存在が凶器みたいなメンツだろ!!コレ!!)」


ノーチェ「(しかも、疑う気満々じゃん!!)」



ノーチェ「(逃げ道ねー)」


ノーチェが絶望に浸っていると……運命の歯車は更に加速する!!


ドガシャーーーーン!!!!

当然の衝突音!!建物の一部が破壊される!ミラカンとSランク冒険者達は立ち上がる!


ミラカン「なんだ!!?」


アシナガは軽く舌打ちをする。


アシナガ「っ……なんだよ……アイツらかよォ……今ァ!オレェはスーツなんだよ!!」


ノーチェ「何が起きた!!?」


キイロは窓を覗く。


キイロ「奴らだ。魔族がカチこんだらしいな……」


ノーチェ「(魔族!?メンティラか!!?)」


モンが冷静に分析を始める。


モン「Sランク冒険者が3人……こんな境遇はなかなか無い。熟年者に喧嘩をふっかける存在は……奴しかいないだろう」


ノーチェ「奴?知り合い!?」


アシナガ「『コンバテ』かぁ……アイツ……しつけーンだよなァ……」


ノーチェ「コンバテ……?」


キイロ「上位クラスの魔族幹部だ。情報屋兼上位魔族『メンティラ』との犬猿の仲……お互い……ボスが違ェから……同族争いが絶えない」


ノーチェ「(メンティラの所属とは違う組織の幹部……)」


モンがキイロに便乗して更に周囲を確認。


モン「中位、下位魔族はいない……彼は……ソロで……目的は……私達?か?」


キイロ「だろうなァ……だが、この魔女っていう可能性も無くはない……」


ノーチェ「マジかよ……」


ミラカンは急いで黒服達に指示、周囲いる護衛兵など手配しようとするが……男の声が外から響き渡る。


コンバテ「いらん!いらん!部下はどーでもええ!!ハチ集団だけよこせや!!」


ノーチェがその声を聞き取る。


ノーチェ「ハチ集団……?」


アシナガ「ぁああ!オレ達のことだ。アシナガバチ、キイロスズメバチ、モンスズメバチ……こいつらからァ名ァ取ってる……」


モンが窓を開けた。


モン「ここは公共施設だ。人も多い……喧嘩なら……もっと荒野でやってほしいよ?」


コンバテ「んな時間あるか!!?3人も集まる機会なんてそーそーないで!」


コンバテは手で招く。


コンバテ「はよ来い!建物の修繕費を負担するってゆーとるだろうが!」


ハチ集団達はため息をする。


キイロ「どうしよもねェな……これェ」


アシナガ「ドンパチかぁ〜……後で『お国さん』に慰謝料請求してもらわねーとなァ」


ノーチェ「あ、あの……僕は?」


ミラカン「ノーチェさんは護衛兵達に匿って貰いましょう」


ノーチェ「あ、はい」


ハチ集団は面倒くさそうに会議室から離れた。そしてノーチェは護衛兵をつけて別の部屋に隔離。



[part3]



ハチ集団、絶賛ドンパチ中。


ノーチェは屋内の個室にて待機。ノーチェ、考える。


ノーチェ「まーこれで、1020Gは……免除だろう……助かった……いや助かってはないけど……」


防音対策をしているのか比較的静かな部屋だった。部屋にはノーチェしかいない。部屋の外に大量の護衛兵。


ノーチェ「とりあえず、絶対に純魔法は使っちゃダメだ!ミッシングがバレれば……武闘派のコンバテが突っ込んでるはず……」


ノーチェ「てかさー軍って動かないの?あーでもSランク冒険者が強者なのは異世界ではよくある話だし……」


ノーチェ「金輪際!何もしない!コレさえ守れば……証拠はない!怪異も所詮は噂で終わるはず……!」


コンコン。


ドアのノック音。


ノーチェ「?」


ガチャン。


ノーチェ「開いた!?」


そこにはロングコートのフードを被った青髪の少女が笑み浮かべながら佇んでいた。


ノーチェ「メンティラ!!」


メンティラ「しー!」


ノーチェ「護衛兵は?」


メンティラ「健全に入眠してるわよ」


ノーチェは廊下を見ると全ての護衛兵が気持ちよさそうに寝ていた。イビキをかく者もいる。


メンティラは部屋に侵入。


ノーチェ「なんで来たんだよ……」


メンティラ「『バカ』が領域を荒らしてるから……」


ノーチェ「バカ?コンバテ?」


メンティラ「そ。今、ドンパチしてる……彼、周期的にエキサイトするのよねー」


メンティラは続ける。


メンティラ「こんなド真ん中の街中で暴れてるのって幹部としてのメンツが立たないんじゃないかしら……」


ノーチェ「知るか……!」


ノーチェは興味は無さそうだ。メンティラは両手を後頭部に添える。


メンティラ「冒険者組合『ブルーリバー』支部の周囲に『お人形達』がしっかりバカを観測してるのに……ね」


ノーチェ「は?」


つまり施設外からコンバテを包囲するようにメンティラが生成した大量の下位魔族が配置されているという意味だった。下位魔族はコンバテの行動を観測、記憶している。


メンティラ「もし、あのバカがSランク冒険者に引けを取る展開になれば……そうね……ボス(コンバテのボス)からの厳しいお叱りを受けるのは間違いない……」


ノーチェ「(おおおおおおお!!!)」


ノーチェ「(ガチで抗争感でてきたな!)」




しかしここで疑問が。


ノーチェ「(なんで、メンティラがわざわざ僕にコンタクトを取ってきたんだ?)」


ノーチェ「(そして、今の疑問……メンティラに……話さない方がいいのでは?)」


ノーチェ「(彼女には個人的なバック……大賢者(セレブロ)がいる)」


ノーチェ「(つまり、僕の今とこれからの言動を観測しに来た……カマかけてるんじゃないか?)」


ノーチェ「(もし、コンバテが僕を認識するなら純魔法の使用確率は大幅に上がる……)」


ノーチェ「(冒険者組合やSランク冒険者、ハチ集団、メンティラ、セレブロは僕をマークしている……)」


ノーチェ「(メンティラの本当の目的は……ミッシングの正体なのでは!?)」



ノーチェは答えを出す。


ノーチェ「(ハチ集団……やらかすなよ〜)」


ノーチェはふかふかのソファーに座り待機。メンティラは再び外出をしたようだ。


ノーチェ「……セレブロはどこまで世界を観測できるんだ。どうやって本を集めてるんだ……?」


ノーチェの悩みは止まらない。


ノーチェ「純魔法は痕跡が残らない……ただあれは破壊しか脳がない………もっと……もっと使い勝手がいい能力は無いのか?」


ノーチェ「過去の僕はどうやって敵を索敵してたんだ?」


ノーチェ「視認→ブッパ!→消滅」


ノーチェ「なんだこの脳筋技は!!?」



『魔女様、視認不可の邪神との戦いはどうされましたか?』


突如、過去世界(現世)のクビにした弟子の言葉が過る。


ノーチェ『数撃てば当たる戦法』


弟子『非効率ですよ!せめて探知能力は覚えましょう』


ノーチェ『ダル』


弟子『覚えましょうって……』


そしてなんだかんだでその能力を得るが現世では使い道が無かった。


否、探知能力は……微量すぎる魔力故に副作用である外部の破壊が発生しない。ノーチェはこれを思い出した。


ノーチェ「……やるじゃん……クビ弟子」


ノーチェは目を閉じて純魔法、心眼を発動させた。

ノーチェは部屋の周囲を探知をする。そして……




『竜眼石』……つまり監視カメラが誰にも認識されないように小細工をして設置されていた。




ノーチェ「……セレブロ……これか……」





episode18

END

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