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いつもクールで完璧美人な孤高の狼姫が、実は寂しがり屋で甘えん坊な子犬姫だと俺だけが知っている  作者: ゆめいげつ
第六章 狼姫のお泊りラブリゾート 後編

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第124話 「狼姫と、脱衣所の先は」

「か、家族風呂っ!?」

「内湯と露天、ご家族や恋人と心ゆくまでお楽しみいただける造りでございます」

「そういう意味で驚いたんじゃないですけどっ!?」


 驚く俺に、斑鳩宮さんがクールな感じで説明してくれたがそうじゃない。

 この場所このメンツこの状況でここに来れば、次に何が起きるかの想像が容易にできてしまうからだ。


「総一郎。一緒にお風呂? やった、一緒だ」

「……ありがとな咲蓮」

「なるほど。柳様がお求めのものは細やかな施設の説明ではなく、入浴の同意でございましたか。参考にさせていただきます」

「しなくて大丈夫ですよ!?」


 そう、混浴である。

 大雨に濡れた状況でこんな場所に来てしまえば避けられないのは目に見えていた。

 それを咲蓮が、俺の隣で喜んでくれている。

 嬉しく思うのと同時に恥ずかしくもあり、そんな俺を見て斑鳩宮さんが真顔で分析するものだからつい大声を出してしまった。


 この灰色銀髪クール美女コンビの天然っぷりはとんでもないシナジーを生み出しているのである。


「おや? 柳クン、思いのほか冷静じゃないか。キミの事だから、美少女四人と混浴なんて顔を真っ赤にして焦ると思っていたんだがね」

「……流石にこの状況なら、ですよ。外は大雨、身体は全員ずぶ濡れで避難した場所が風呂なら、そりゃあ風邪ひかない為にも入るしかないでしょうよ……それに、水着も着てますし……」


 そう、水着である。

 俺がここまで冷静でいられるのも水着のおかげだった。

 特に今俺に悪戯な笑みを向けてきた十七夜月先輩の着る白のV字水着は色も露出度も公共の場では着れないようなとんでもないデザインをしているが、混浴となれば話は別である。


 もし万が一にも裸を晒す危険性と比べれば、露出度が高すぎる水着でさえも衣服と同然だった。


「まあそれもそうだね。ただ申し訳ないけど今は外が豪雨だから脱衣所も室内にある一カ所しか使えないよ」

「何言ってるんですか。この雨ですし、風呂と身体を拭けるタオル、それと場所があればなんとかなるじゃないですか」


 確かに驚きはしたが、外は現在進行形で暴風雨の真っ只中で屋根や窓を叩く雨風の音が凄くてここにいる方が確実に安心である。

 入り口からもまるでテレビで見るような老舗の銭湯のような作りになっていて落ち着きがあり、俺のワクワク感を加速させていく。


 それこそ家族旅行は毎年行っているけれど、友人との旅行は初めてなので感動もひとしおだ。


「総一郎。嬉しそう」

「あぁ。海では色々とあり過ぎたからな、こうして落ち着けるのも悪くない」


 南の島丸ごと、という規模感は無視するとして。

 こうして一つの場所を貸し切れるというのはとてもワクワクする。

 それが家族風呂という、ほどよい狭さと広さを兼ね揃えている場所と言うのもかなりポイントが高かった。


「風呂の中はどうなってるんですか? 露天風呂は流石に雨なので行けないのが残念ですけど、中の風呂だけでもめちゃくちゃ楽しみですよ俺は」

「そう言ってもらえて何よりだよ」

「浴室は脱衣所の先、でございます」


 笑顔の十七夜月先輩と、脱衣所を手のひらで示す斑鳩宮さん。

 二人に感謝しつつ俺は貰ったバスタオルで念入りに雨で濡れた身体を拭いてから、脱衣所へ向かって歩き出した。


 まあ奥に風呂があるのは、朝日ヶ丘先輩が扉の向こうから顔を出したので知ってるけどそれはそれとしてとても楽しみで。


「…………」

「…………」


 そんな楽しみの先で。

 金色の髪と、見開かれる碧眼と、白い肌がそこにあった。

 猫穴が開いた黒の水着に覆われていた大きな胸が露わになっていて――。


「うわあああああああああああああああああっっ!!!!????」

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっ!!!!????」


 ――完全に半裸な朝日ヶ丘先輩と、目が合ってしまったんだ。

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