わたしと殿下2
「あくまで、何も知らないというのだな…。本当のことを教えてくれる気はないのか…?」
殿下は続けておっしゃいます。
「君が故意にプリラム草をわたしに渡したのだとしても、君を罪に問うことはないと約束しよう」
殿下はわたしと視線を合わせておっしゃいました。わたしも視線を合わせて返します。
「わたしのことは罰してくださってもかまいません」
わたしの言葉に殿下は目を見開きました。
「もし、わたしがわざと殿下をプリラム草で害したのだとしたら、わたしは甘んじて罰を受けます。わたし一人で罰を受けますので、どうか、お姉様にもわが家にも類が及ばぬようにお願いいたします。…殿下…わたしが、わざと殿下を害したのだとしたら、なぜわたしがそのような行動に出たのだと思われますか?」
殿下がわたしを見つめます。
「…わたしに、何か原因があると言いたいのか?」
「…心当たりはありませんか?」
「……」
「……」
しばしの沈黙がありました。
「…たとえば、わたしが故意に殿下を害したとして、その理由を聞いたら、ご自分の行いを振り返ってくださいますか?わたしの申し上げることに聞く耳を持たず、ご自分の思い込みだけで決めつけてしまわれるのなら、わたしからは何も申し上げることはございません」
殿下が、わたしが故意に殿下を害したと確信した場合、本当に罰せられるのか罰せられないのか、わたしにはわかりません。殿下の采配ひとつでしょう。しかし、罪に問わない、罰を与えないという自分の言葉を翻すなら殿下は信用できません。信用ならない方にお姉様をお任せするつもりはないのです。わたしが殿下を害したと罰せられれば、姉であるお姉様と殿下の婚約は破談となるでしょう。いずれにしても、わたしが罰を受けても、結果としてお姉様を守れるのですからわたしは満足です。
「わかった…」
殿下はそうおっしゃいました。
「自分の行いを振り返ると約束する。今回のことが故意にやったことだとして、覚悟を持ってやったことだと思う。そして、それをさせるだけの原因がわたしにあったということなのだろう…と思う」
殿下は、わたしの目を見ておっしゃいました。