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少し接近


莉華達と別れ家に帰り明日は学校なのでさっさと風呂に入って寝ようと思い風呂場にお湯を入れようとしに行こうとしたら恋にまた袖を引っ張られた。



「ん? なんだ?」


「…… 今日貸してもらったお洋服似合うか見てもらえませんか?」



そんな事かと思い風呂にお湯入れてくるから着替えてみたら? と言うと喜んでじゃあ着替えてきますと寝室の方へ行った。 莉華はあげるって言ったのにこんな高い服とても貰えないよとじゃあ貸すってことでとなっていた。



今からファッションショーでもする気か? そういうのは莉華の家で莉華に見てもらいながらしてきたろうに…… そういえば莉華の私服なんだから莉華っぽくなるのだろうか?



風呂場から戻ってコーヒーでも飲んでいると寝室から恋が出てきた。 莉華の服に着替えてきた私服って原宿系というかちょっとロックテイストな服なんだなって思った。 少し個性的な莉華にはよく似合うなと思ったが恋もとても似合っていた。 可愛いとなんでも着こなすのかな?



「見てください! キャンスパのお洋服なんですよ? 高いんですこれ! それに莉華さんってセンス良いですねぇ!」



記憶がなくてもそういうブランドとかの事は忘れてないのか? どこからどこまで忘れているんだ? 着ている服を次々と変え俺にどうです? なんて聞いてくる恋に不思議な眼差しを向けていると……



「あの…… 私には似合わないでしょうか?」



眉を下げ俺の顔を覗き込んで恋は尋ねてくる。 いや、近いから…… 俺は少し恥ずかしいので覗き込む恋から一歩下がり……



「いや、凄く可愛いって思ってボーッとして見てただけだよ」


「え!? 本当ですか? やったぁ!まだまだ可愛いの貸してもらったんですよ、ちょっと待ってて下さいね!」



そう言ってショップバッグからガサゴソと服を楽しそうに漁る恋を見ていてまぁこんな時に余計な事を聞くのも野暮だなと思い楽しそうにファッションショーしている恋に付き合ってやった。 そしてその間ドボドボと溢れる風呂場のお湯に気付かない俺であった。




「あうぅ…… 私が夢中になって春季君を引き止めてしまってすみません」


「いや、俺も気付かなかったの悪いし別にいいよ、じゃあ俺風呂に入ってくるから」



俺はそう言い着替えを持って風呂場に入った。服を洗濯機にポイっと入れようやく一息ついた。そしてしばし考え事をする。



風呂場だとついつい考え事が進んでしまうような気がする。 何故か俺の家に恋という知らない女の子が突然やって来て記憶喪失だから助けてなんて恋の奴何件か言い回っていたのかな?



それだったら噂が広まりそうで怖いな…… それを俺が匿ったってなったら恋は可愛いから恋が目的で匿ったと誤解されかねないし。



あーでもないこーでもないと考えながら髪を洗おうとするとちょうどシャンプーとコンディショナーが切れてしまった。あ、ヤバい。 この後入るであろう恋の使うのがなくなってしまった……



仕方ない、俺が風呂から上がったらコンビニでも行って買って来るか、なんでここまでしてやらなければいけないんだろうか?



風呂から上がり髪を乾かすと恋が俺の近くに座ってきた。 なんなんだ?



「ん? 何?」


「あ、いえ! なんとなく……」


「そういえばさ、シャンプーとコンディショナー切れちゃったんだ。俺今から買いに行くから申し訳ないけどそれまで風呂待っててくれる?」


「あ、あの…… だったら一緒に行きたいです。 ダメですか?」


「ダメじゃないけど…… じゃあ近くのコンビニに行くか?」


「はい!」



そして家を出てコンビニへ向かう。 女の子とそれも恋みたいな可愛い子と夜出掛けるなんて初めてだな。 というか恋がいると初めてだらけなんだけど。



恋は外に出るのが楽しいのかご機嫌だ。 そういや恋って記憶をなくす前にはどこに住んでたんだろ?



この辺なのかな? 移動手段もなさそうだし恋は何も持ってなかったから案外足で移動出来る距離から来たのかもしれない。



「どうしました?」


「いや、お前って記憶なくす前までどの辺に住んでたのかなって思ってさ」


「あ…… そ、そうですよねぇ。 どの辺でしょうね?」



恋にそう言うととてもシュンとした顔になりさっきまでのご機嫌な顔を曇らせる。 普通記憶をなくしたら思い出そうとして必死になるんじゃないのか?



だけど恋は忘れた記憶に俺が触れようとするとまるで思い出したくないような素振りだ。 それに酷く俺に申し訳なさそうにする。 居候しているのが悪いと感じているのか? それとも……



コンビニ着きシャンプーとコンディショナーを買いレジに向かおうとすると恋は物凄く言いにくそうに顔を真っ赤にしてある物を持ってきた。



「あ、ああ、あの! こ、これも買っていただけないでしょうか?」



プルプルと少し震えながら持っていた物を俺の手に渡す。 なんだこれ? ポケットティッシュのデカイの? と思った俺はよくそれを見ると……



生理用のナプキンだった。 そうだった、恋は女の子だったんだ。 そういうのもあるよな、恋はめちゃくちゃ気まずそうにしている、俺って気が利かないかもしれない。



「あー、そうだよな。 そうだった、俺と一緒だと買い辛い物もあるよな、だからさ恋に仕送りで来た金あげるからこれからは必要な物買ってていいよ?」


「いえ、ただでさえ私図々しい事してるのにそこまでしてもらったら余計になんか……」


「はははッ、だったら余計に変な遠慮してもしょうがないだろ? 気を遣うと疲れるだろ?」



恋はハッとし俺を見てきた。 なんか変な事言ったかな俺?



「ありがとう、ありがとうございます春季君!」


「それに敬語とか使わなくていいよ? そんなのも一緒に居るんなら鬱陶しくなるだろ? 歳はどっちが上かわかんないけどさ」


「同い年……」


「え?」


「あ!! 同い年だったらいいなって! じゃあ早速お言葉に甘えて…… いいかな?」


「ああ。いいとも」



そしてコンビニから目的の物を買って帰り恋は風呂場に向かった。 なんか少し距離が縮まったかな? なんて思ったがあいつはどう思ってるんだろう? この状況。



誤字報告してくれた方ありがとうございます、また見かけたらご報告下さいましたら幸いです。

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