お世話したいもん!
風呂から上がってきた恋は髪を乾かし昨日と今日でいろいろあったから疲れたのか眠そうだ。時計を見るともう深夜0時過ぎている。
「もう寝るか? 布団もうひとつあるからさ、俺そっちで寝るわ。 恋はベッドの方がいいだろ?」
「え? どうして? それに春季君を差し置いて無理して泊めてもらってる私がベッドなんて……」
なんとなく女の子はベッドが好きそうなイメージがあったからそう言ったんだけどな…… というか恋は何か言いたそうだ。
「そ、それに…… 昨日みたいに…… い、一緒に寝たい」
「は!? いや、昨日もマズかったけど今日もなんて……」
「1人だと…… 1人だと嫌な事考えちゃいそうで…… だから、だから一緒に」
「お前記憶喪失なのに嫌な事ってあるのか?」
記憶がない事を考えてしまって、それが嫌って事か? ならわかる。 でもそれは嘘でここに来た経緯が嫌だったという可能性もある。
「き、昨日春季君と一緒に寝たら安心して…… よく眠れたの。なんか私1人だと記憶の事でいろいろ考えちゃいそうで」
俺は逆に緊張して眠れないんですが? 恋は可愛いからどうしても隣にいると気になってしまうし…… まぁコイツは俺と一緒に寝ると安心するって事はそんな事は俺1人の愚かな妄想だが。
「どうしても…… ダメ?」
袖を口に当て上目遣いでウルウルとした目でこちらに伺ってくる恋はとても可愛い。 ダメか…… 断れそうにないな。 仕方ない、無心になろう。
「わかったよ、静かに寝ろよ?」
「え? う、うん! ありがとう」
恋はそれだけで飛び切りの笑顔になった。 相変わらず浮き沈みの激しい奴だよな。
俺と恋はベッドに入り電気を消した。 本当に疲れていたのか恋はすぐにくぅくぅと可愛らしい寝息を立てて寝てしまった。
寝顔見られて恥ずかしそうにしてた割には俺と一緒に寝たいなんてよくわかんねぇ奴…… ジーッと恋の寝顔を見ていると寝たと思ったらまだ寝てなかった、パッと恋の目が開いた。
恋は何か言うわけでもなく俺の顔を見るとニッコリと笑い再び目を閉じた。 ダメだ、気にしてると本当に眠れなくなる。 寝よう……
そして朝になり目を開けるとあれ? 恋の顔が横になってるって…… もう既に恋は起きてて俺の顔を見ていた。
「あ! 起こしに来たらちょうど起きたんだね、春季君」
「え? 今何時!?」
まさか寝坊したか? と思って時計を見るとまだ7時だった。よかった、寝坊してはなかった……
「お前何時に起きたの?」
「えーと、1時間ちょいくらい前かな。あっ! 何も変な事してないからね! お掃除とか春季君に朝ご飯とそれにお弁当箱あったからそれ作ってただけだから!」
「いや、そこは疑ってないからそんな慌てて言わなくてもいいよ、てか弁当まで作ったんだ?」
つうか弁当とは…… 俺は弁当作るの手間だから学食派になっていた。 弁当なんか持って行ったらどうしたんだ? なんてツッコミが入りそう、なんて自意識過剰だな。 そんな俺の事気にしてる奴なんていないだろうし。
「もしかしてお弁当いらなかった?」
俺の反応ですぐ顔に出るからわかりやすいな恋は。
「いや、そんな事ない。ありがとな!」
「えへへ、どういたしまして! こぉゆう事なら任せて」
そして恋が作った朝ご飯を食べる。パンと目玉焼きに厚切りベーコン、サラダ、コーヒーか。 なんかカフェのモーニングみたいだな。
「へぇ、美味しそうじゃん」
「朝は洋食派だから」
「え?」
「あ! だって春季君朝はいつもパン食べてるって言ってたでしょ!?」
「ああ、そういう事」
朝は寝惚けているので恋の迂闊な発言にも別に気にもとめず眠いなぁなんて思いながら朝食を食べる。 ていうかやっぱり恋の料理ってなかなか見た目もいいし美味しそうだし…… ていうか実際美味しいけど。
「ん? どうかした? 嫌いな物でもあった?」
「いや、恋が居たら俺の不健康な食生活とかだらしない生活とかも改善するかな?って」
「え? うん、うん! 私頑張るよ! 私春季君のお役に立ちたいもん!」
俺にそんな事を言われたのが余程嬉しいのか恋はあとこんなのも出来るよ? とかなんとかテンションが高かった。 記憶喪失なのにそんなの覚えてるの? 騙してるんだったら本当に騙す気あるの? と言いたい。
朝食を食べ終え歯を磨き、そこそこ鏡で整え制服に着替えて学校に行く準備が終わりそろそろ行くかと思って玄関へ行くと恋が近寄ってきた。
「ちゃんと留守番してろよ?」
「…… うん、それはするけど…… 」
「他にまだあるの?」
「私も春季君がどこの学校に行ってるか気になるから今日だけついて行っていい?」
はぁ!? また何をアホな事言い出すんだ? 恥ずかしいじゃねぇかよ! 恋は可愛いからなんとも思わないだろうけど俺と恋が歩いてたら釣り合わない。
涼とかイケメンだったら俺も堂々としていられたんだろうけどな、そこら辺に関しては俺は卑屈なんだぜ? 自慢する事でもないけどさ。
「やめとけよ、恥かくよ。 主に俺が」
「え? どうして春季君が?」
「俺と並んで歩いて恥ずかしくないか? 俺は恥ずかしいな、恋と並ぶと俺が不釣り合いな気がして」
「だからそんな事ないって! 私は全然そんな風に思わないし春季君と一緒にいたいよ? …… ああ! 全然大丈夫だよって事だからね!」
でも俺そんな浮ついたキャラじゃないから学校が見える所までならついてきていいよと恋に言うと喜んで頷いた。
人の学校にそんな興味あるか? なんて思いながら恋は俺の行った通り学校が見えてきたら家の方へご機嫌で引き返して行った。 余計なツッコミ入るから誰にも見られてませんようにと俺は思った。




