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友達の訪問


恋にちょっと遅い昼ご飯を作ってもらった。調味料だけは結構あるので後はお任せだ。 そして台所で普通に料理をしている恋を見て、ああ、やっぱ料理は出来るんだなと思った。



まぁ確かにそういうのは身体が覚えてるというものがあるかもしれないので気にしない事にした。 そしてしばらくすると料理が出来たようだ。



「出来ました! ペペロンチーノです!麺を買ってきていたようなので早速使っちゃいました」


「ふぅん、普通に美味しそうだな」


「だってパスタは得…… とっとと作れて簡単でいいです!」



いちいち言葉に詰まるからこいつは話のテンポが悪いんだよ…… というか得意って言おうとした? 記憶喪失なのに?



「なんか濁してなかったか?」


「い、いえ! か、滑舌が悪いのかな私…… あ!さぁさぁ、食べて下さい」



そして振舞われたパスタを食べると美味しそうだったので普通に美味しかった。やっぱ女の子って料理とか作れるのかと感心した。



「美味しい」


「本当ですか!? 良かったぁ、結構初めての人に料理作って食べてもらうのって緊張しますね」


「家でもよく作ってた?」


「え? 覚えてないです……」



ちっ! 自然な流れでついついうっかり口走ると思ったが躱されたか…… まぁもうしばらく様子を見るか。そして食べ終わり食器を洗おうとすると……



「大丈夫です! 私やります、ただでさえお世話になっているのにこれくらいは私が担当を」


「担当って…… かなり居座る気満々なんだな」


「…… だ、だって私他に頼る所が」



恋の表情がまた曇る。 あんまりこの話題には触れて欲しくないんだろうがこのままなぁなぁで行くと俺も恋もヤバい事になりかねないが恋は可愛いから俺が絶対悪者になるよなこれ……



「頼るならまず警察かどこかの相談所にでも……」


「い、嫌です! 私の名前だって春季君が付けてくれました、私恋って名前凄く好きです。だから今更警察に行くとか……」



ええ! それって俺が名前付けたんだから責任持って面倒見て欲しいって事か!? いや、でも恋みたいな子から好きって言葉が出ると少しドキッとはするけどさ……



「いろいろバレたら俺達大変な事になるかもしれないぞ? 特に俺が……」


「大丈夫です! そうなってしまったら春季君には一切非がないって私からちゃんと説明します、私がご迷惑をお掛けしてるので」



まぁそこまでいうなら…… こいつの親御さんはもしそうなったらそれでも許しそうにはないけどな。だって男同士とかならまだしも恋は女だし心配はするだろう。



ジャーッと食器を洗う恋は鼻歌を歌いながらまるでこれからの生活に少し楽しみを感じているように見えた。 俺はそれを見て相変わらず呑気な奴だと思った。



そして掃除も終わって落ち着きしばらく経った頃それは突然やってきた。ピンポーンとインターホンが鳴り俺はハイハイと出ようとしたが……



警察とかじゃないよな……? それか恋の知り合いとか? うん、考え過ぎたわ。俺は思い出した、涼と連絡を取っていた事を。



風邪は嘘でしたと言ったからだから見舞いなんていらないよも伝わったかなと思ったけど……



「春季ーッ! いるだろ?」



声からしてやはり涼だった。 恋はお友達? みたいな顔で首を傾げているが見られるとやっぱりいろいろと面倒だと思い恋の腕を掴んでベッドの中に急いで恋を連れて行く。



「え?え? 春季君、い、いきなり何?」



行動がトロい恋に俺は今にも勝手に入って来そうな涼に慌てて恋を抱き上げベッドに寝かせる。



「きゃッ! は、春季君!? 」



何を勘違いしているのか恋は顔を真っ赤にさせているが俺にはそんな事を考えている余裕はない。



「俺の友達に見つかると面倒だし出来るだけ早く帰ってもらうようにするからここに隠れててくれ!」



そして返事は聞かずに素早く布団を掛け見えなくした。細めな体型だからわかりにくいだろ? そして玄関にある恋の靴を隠し、急いで涼のもとへ向かいドアを開ける。



「遅い! てかどうした? なんか慌ててるぞ?」


「いや、今日部屋の掃除してたんだ」


「へぇ、面倒くさがりの春季がねぇ?」



涼は玄関から部屋をグルッと疑いの眼差しで見てくる。 すると涼の横からヒョコッと女の子が出てきた。 やっぱりついてきたか…… 俺の予想通り涼と一緒に莉華まで来てしまった。



「高坂君! 私も来ちゃった、お邪魔だったかな?」



ごめんねぇと手を合わせているが涼といつも一緒に居るしまぁ予想してたよ。



「どれどれ、本当に片付いたか見てやるか、なぁ莉華」


「こら、失礼だよ涼! 涼だってだらしないじゃない? 美人なお母さんになんでもしてもらって!」



まぁお前らの母さんどっちもめちゃくちゃ美人だから羨ましいよ。涼と莉華も母さん似で美人な顔立ちまでそっくりだからビックリだ。俺の母さんは微妙だから似てもそこまで嬉しくない……



「うるせぇな、じゃあお邪魔するわ」


「こら!涼」



なんて言いながら2人ともズカズカと俺の家に入ってきた。 一人暮らしだと遠慮なく上がってこられるからこういう時はマイナスだ。



まぁ居間と寝室は別だからここに居させておけば何も問題はないが入りかねないから注意をしておこう。



「どうした? なんかソワソワしてないか春季?」


「いや、別に。 わざわざ来なくても良かったのに」


「いいじゃん、友達が休んだら気になるだろ?」


「はぁ、何か飲むか?」



俺の質問に適当でいいよと言ったので冷蔵庫からさっき買ってきたジュースを取り出しコップに入れる。 そして2人の監視も忘れない。



すると涼が莉華の匂いを嗅いでいた。 何やってんだあいつ?



「涼? な、何? 私臭い?」


「あ、いや。なんか春季の匂いらしからぬ香りがしたからこれって莉華かな?って思ったけど違うみたいだな」



は? なんでお前がそんなに鋭いんだよ!? ていうかそんな匂いしてるのか? 恋の匂いか?



「春季、誰か俺達の他に来てた?」


「ああ、うん。母さんがな、今日それで休んだんだ」


「ふぅん」


「それにしても高坂君って今から一人暮らしとか出来て羨ましいなぁ」



莉華がキョロキョロと辺りを見渡した瞬間怪訝な顔になった。 え? 俺何かミスをしたか? なんだ? 隠す物は隠したぞ? そう、俺は1番隠さなきゃいけない物を隠すのを忘れていた。



恋の洗濯物だ…… いろいろ夢中で気付かなかった。ベランダに干して置くと女物があったらもしもの事があるかもしれないし、ここに干しておけと居間に普通に洗濯物を干していた事に。そこに俺の部屋着の間から覗く恋の下着もあった事に。



あいつ…… 今下着つけてないのか? だが俺はそんな事を考えている場合ではないと思った。



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