第19話:海辺のバカンスと、水着の狂宴
領地が発展しすぎるあまり、最近のわしは連日「シゲオ様、この流通網の整備のご決裁を!」「シゲオ様、新しい魔法陣の特許申請のサインを!」と、女の子たちから書類を山のように押し付けられていた。
(いかん! これでは前世で会社員として馬車馬のように働いていた頃と同じではないか! わしはもっと、キャッキャウフフとした青春がしたいんじゃ!)
限界を迎えたわしは、すべての書類を放り投げ、高らかに宣言した。 「よし! たまには息抜きが必要じゃ! みんなで領地の東端にある、気候の穏やかな港町へ『慰安旅行』に行くぞ! もちろん、海じゃ!」
かくして、わしたちは透き通るような青空と白砂が広がる、絶好のビーチへとやってきた。
「シゲオ様! お待たせいたしました!」 「マスター、私の計算し尽くされた流体力学水着を見て!」
更衣室として錬成した小屋から、女の子たちが次々と飛び出してきた。 わしは思わず、持っていた浮き輪を落としそうになった。
「おおおおっ……!!」
褐色肌のアリアは、普段のビキニアーマーをさらに布面積を減らしたような「水着用・真紅のビキニアーマー」姿。健康的な褐色の肌にオイルが塗られ、太陽の光を弾いて艶やかに輝いている。 リナはフリルのついた可愛らしい水着、チヨは東方風のスポーティな水着、ルミエルは清楚な白いワンピース水着、ゼノビアはゴスロリ風の黒いフリル水着と、まさに眼福の極みである。
(素晴らしい! これぞわしが夢にまで見た青春の1ページ! 生きてて……いや、転生してよかったーっ!)
わしは感涙に咽びながら、パラソルの下で大きく伸びをした。 しかし、そんなわしの最高のバカンス気分は、海の方から聞こえてきた物騒な音によって打ち砕かれた。
ドォォォォォンッ!!
「むっ? なんだあの大きな船は」
わしが水平線を指差すと、チヨがスッと気配を消してわしの隣に立ち、報告してきた。
「お館様。あれは海の向こうの別大陸からやってきた『無敵艦隊』です。数十隻の巨大な魔法帆船を連ねて港を封鎖し、この町の住民に法外な税と食料を要求しているようです。現地の水軍は、すでに手も足も出ない状態かと」
見れば、大砲のようなものを備えた巨大な木造帆船が、沖合にズラリと並んでいるではないか。
「な、なんじゃと!? あれでは危なくて、女の子と海で水遊びができないではないか!」 「ご安心を、シゲオ様」
アリアが腰の剣をチャキッと鳴らした。 「このアリアが海面を走り、あの薄汚い船団をすべて真っ二つに斬り捨ててまいりましょう!」 「待て待て待て! せっかくの可愛い水着が、潮風と返り血で汚れてしまうじゃろ! そんな野蛮なことは却下じゃ!」
わしの真っ当な(?)理由による制止に、アリアは「ああっ……私の水着姿を、そこまで大切に想ってくださるなんて……!」と身悶えしている。




