第17話:最強の胃袋と、戦慄の魔王女
「ズズッ、ズズズッ……!!」
どんぶりから立ち上る湯気と共に、わしは一気にラーメンをすすり上げた。 (おおおおっ! 平打ちのちぢれ麺に、スープが絶妙に絡みついておる! チャーシューも口の中でとろけるようじゃ!)
そして、わしはレンゲでスープをすくい、ゴクリと飲み込んだ。 その瞬間。
「……ん?」
わしの動きが止まった。 屋台の奥で息を潜めていたゼノビアの口角が、ニィッと吊り上がる。 (フフフ、効いたわね! さあ、七孔から血を流して無様に……)
「おおっ! このスープ、あっさりした醤油の中に、ピリッとした『刺激的なスパイス』が効いておる! 絶品じゃ!!」
「…………は?」
ゼノビアの口から、間抜けな声が漏れた。 レベル999の大賢者であるわしの肉体は、物理的・魔法的な防御だけでなく、内臓器官までもが神話級の強度を誇っていた。 魔界の致死毒など、わしの胃袋に入った瞬間にアミノ酸へと分解され、ただの「ちょっとした香辛料の風味」に変換されてしまったのだ。
「いやぁ、美味い! 美味いぞ! 職人さん、スープまで全部飲み干してしまったわい!」
わしは空になったどんぶりをカウンターに置き、満面の笑みでプハァッと息を吐いた。
「ば、馬鹿な……」
ゼノビアは屋台の奥でへたり込み、ガタガタと震え始めた。 「魔界の猛毒を……隠し味のスパイスだと……!? ありえない! こんなバケモノに、私たち魔族が勝てるわけないじゃない……っ!」
完全に戦意を喪失し、腰を抜かしてしまった彼女。 わしは屋台の奥で震えている彼女に気付き、首を傾げた。
「おや? お嬢ちゃん、こんなところでへたり込んでどうしたんじゃ? さては、お腹が減っておるのかな?」




