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NHKの「秘島探検」が面白かった、という話――前編

 最近にみたNHKの番組がとても面白かったので、感想を書きとどめようと思い、今回はエッセイに初挑戦。

(エッセイというより感想ブログのようになってしまいましたが)


 私がみたのは、「秘島探検 東京ロストワールド」という番組。

 東京都の中にありながら、人間を寄せつけない秘境「ロストワールド」

 コナン・ドイルの小説『失われた世界(ロストワールド)』のように、外界と隔たれたそこには、私たちが目にしたことのないような未知の生物たちが生きていました。

 その秘境の謎を解き明かすべく、科学者や探検家、エンジニアといったプロフェッショナルたちがチームを組み、「ロストワールド」に挑む――というドキュメンタリーです。



 第1集の舞台は、南硫黄島(みなみいおうとう)

 都心のはるか南、太平洋に浮かぶ絶海の孤島です。

 砂漠の中にそびえるピラミッドのように、その島は海原の中、緑の頂を青空に向けて屹立している。

 その光景が、まずスゴい。すさまじい。

 東京都の一部なのですが、とても同じ日本とは思えない。まるで映画に出てくるような風景でした。


 海岸から島の中腹までは断崖絶壁に囲まれています。とても人間の住めるような場所ではないです。

(過去には遭難した人が数年ほど生活していたこともあったらしいですが……よく生きてこられたなと思う)

 島の中腹から山頂までは白い雲に覆われて、それが島の環境にも大きな影響を与えている。

 海岸から頂上まで、熱帯・亜熱帯、雲霧帯(うんむたい)(雲霧の水分によってジャングルのように木々が生育した領域)、温帯と様々な環境が、高さ900メートルほどの島の中に存在しています。

 その環境下で生きる生物たちは、他の場所と大きく違うもの。独自の生態系が、そこでは発展していました。


 海岸から数百メートルの断崖を昇り降りして、海鳥の死骸を食す、カニ。

 この島では、カニが「陸の王者」として君臨しています。

 陸を往くカニの足取りは、多脚戦車が前進するように力強いものです。まさに王者の風格。


 空にはコウモリが飛びます。

 この島のコウモリは夜だけでなく昼間にも活動していました。

 本来の主食である果実が少ないこの島では、食べ物を得るためには昼夜を惜しまず飛び回らなければなりません。

 はばたくのではなく滑空する独自の飛び方も、エネルギーの消費を抑えるためだといいます。


 他にも、他の地域とは違う植生や形状の植物。

 絶滅危惧種の海鳥の、ここにしかない巣と卵。

 などなど……多くの生物たちが、視聴者に驚きを与えます。


 そして、この番組の主役だったといえるだろう「木霊(コダマ)

 その正体は、2ミリほどの小さなカタツムリなのですが……彼らは、遠く離れた北海道からやって来たといいます。

 北の大地から、南海の孤島へ。

 新天地に上陸した小さなカタツムリたちは、その地で独自の進化を始めつつあります。

 彼らの小さな体の中に、生物進化の謎を解く重大な秘密があるかもしれない……。

 

 この島の生物たちは、進化をしていく途上にありました。

 そして、その貴重な現場を捕らえるために、研究者たちは島中を調べまわります。

 荒波にもまれて上陸し、断崖を登って、キャンプを設営する。

 そのキャンプ地も急斜面で、(ここじゃ寝られないだろ……)と思ってしまうほどのもの。

 島を探検していく中で、腕は擦り傷だらけ。日焼けをして真っ赤になっていたり、皮が剥がれていたりと痛々しい。

 それでも、研究者たちの表情は明るい。

 まるでカブトムシを取りに来た夏休みの小学生のように、あるいは自分の趣味のために東奔西走するオタクのように……。

 卑近な(たと)えとなってしまいましたが、好きなものに熱中して知的好奇心を昂らせる人たちというのは、見ていて気持ちがいいものです。

 Twitterなどネットで番組の感想を見ても、そうした研究者の人たちの表情や態度についてのものが多くあったと感じます。


 厳しくも美しい島の自然、そこで生きる生物たちの神秘、進化の謎に挑む人間たちの探究心。

 それらを50分間にたっぷりと見せてくれた、良い番組でした。


 後編は、「第2集 孀婦(そうふ)岩」について語りたいと思います。


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