表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/69

君達元服の事

順番がゴチャゴチャになって申し訳ないのですが、神戸隠居の事とか長嶋一揆の事とか三瀬御所の事ととかは後ほど現代語訳していきます。


今回は織田家の話です。


元亀三年 みずのえさる春頃、信長卿の息子たちは岐阜城にて元服した。


嫡男の奇妙丸は秋田城介信忠と名乗り、このとき十六歳であった。


次男の茶筅丸は北畠三介信雄と名乗り、十五歳であった。


三男の三七丸は神戸三七信孝と名乗り、十五歳であった。


息子たちの成長により、信長卿の武威はますます強大になって、人々は皆羨ましく思ったという。




——————————————————


>北畠三介信雄と名乗り


この時はまだ「信雄」ではなく「具豊」だったと思うのですが、勢州軍記は誤って記しているのでしょうか。

著者である神戸良政が後に編纂した『伊勢記』をみると

「茶筅丸元服号信意十五歳号大河内北畠三介後天正三年改信勝又同年改信雄」

としています。

後から検討しなおして『伊勢記』ではこう書いたんですかね。

この頃の信雄は名前をコロコロ変えているのでややこしいのです。

北畠具豊→信意→(信直)→信勝→信雄→織田信雄

と、変わっていきます。

『勢州軍記』では勘違いしていたのか具房の名を「信意」と間違えていて……神戸先生痛恨のミス!なんですが、『伊勢記』の方ではちゃんと「具房」になってます。神戸先生は研究を進めていくうちに『勢州軍記』の間違いに気づいたのでしょう。


(『勢州軍記』のこの間違いを、大西源一氏は信雄の書状にある花押を比較検討し指摘しています。)



信雄は当初は北畠家の通字が入っている「具豊」を名乗っていたのに、織田家の通字が入っている「信意」に改名しました。それは何か決意の表れだったのかもしれません。北畠の通字を捨てた時に、大御所具教を粛清する覚悟はすでにあったのでしょう(妄想です)。

※稲本紀昭氏によると「信意」に改名した後も花押は北畠風だった時期があり、彼の立場は複雑だったんじゃないかと。

織田家の息子であり北畠の当主でもあった茶筅。両家の間に挟まれた立場の彼は、実は気苦労が多かったんじゃないんでしょうか。


>神戸三七信孝


信孝についてもこれから勉強して書いていきたいな、と思っています。

彼の妻、「鈴与姫」が気になる♪( ´▽`)


神戸友盛の一人娘(養女とも)で、

関家の息子と婚約していましたが、破棄させられ信孝と結婚し、信孝の死後は神戸家を継いだ林与五郎の嫡男十蔵と再婚した人です。


この「鈴与姫」の名前の出典(史料)を探しているのですが、よくわからないです。

文献には残っていないけれど、口伝で地元に伝わっていた名前なのかな?

北畠源氏系図や『伊勢記』では彼女の名は「竹子」と記されています。

「鈴与」と「竹子」、どっちが本当の名前なんだろう?


ちなみに長覚寺の北畠源氏系図によると、彼女は九歳で信孝に嫁ぎ、のちに信孝が自害したときは二十一歳だったそうです。意外と若かった(・・;)そりゃあ、周りは再婚をすすめますよね。


長覚寺の北畠源氏系図をどこまで信じていいのかはわかりませんが、当時の女性の年齢を記している史料があるのはかなり貴重だと思います。

(東京大学史料編纂所のサイトで読めます)



そして、北畠源氏系図に記された彼女の経歴はすごいドラマチックで、ちょっと創作を疑ってしまうほどなんですよ。


北畠源氏系図によると……、


信孝の死後、彼女は林十蔵に嫁ぎます。

しかし、天正12年に十蔵も討死。

天正13年、鈴与姫(竹子)は再再婚します。


その相手は、関勝蔵(十兵衛)。

かつての、幼い頃の許婚だった人です。


神戸家の一人娘(養女とも)鈴与姫は元々は関家の息子勝蔵と婚約していました。

しかし、破棄させられ、鈴与姫は信孝と結婚したという経緯があったのです。


かつての許婚と再再婚するとは、鈴与姫の人生はドラマすぎです。


▲追記

『勢州軍記』に関勝蔵と再々婚したことは記されています。

「林十蔵討死之後其内室信孝北方元来如契約為関勝蔵一利之内室云云」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ