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三瀬の変(具教暗殺)、ついに!

隠居して三瀬谷で暮らす具教は織田のことをよく思っていません。娘婿である信雄のことも嫌っていたようです。婿に自分の家を乗っ取られたのですね。両者には不穏な空気が……

巻下

具教騒動


国司不快の事


 伊勢国司三瀬大御所、北畠具教不智斎、思いもよらず北畠家を他家(織田)に渡してしまったことを後悔していたため、織田信長とは不仲であった。

 また、信雄のこともよく思っておらず、武田信玄と通じていたのだ。

 具教につき従う侍たちも気持ちは同じだった。


 ある時、信雄の小姓が国司侍(伊勢の侍、具教派)の屋敷に入って、小鳥を刺した(これは誤訳。詳しくは後述します)。

国司侍は激怒して小姓をめちゃくちゃに打ちのめし、信雄の面目をつぶした。

 自分の小姓を殴打された信雄は怒った。信雄の実父、信長は前々から北畠具教を潰してしまおうと野心があり、これを機会に織田掃部助(信雄につけた側近)に北畠家を討つよう命じた。


 その命令書によると

「三瀬御所(具教)父子三人、坂内御所父子(北畠の一族)を討つべし」と。

父信長の命令書には大河内家(北畠の一族)の名はなかったが、大河内家の領地を欲しいと思った信雄は大河内家の者の名も付け加えた。これで狙うは六人になった。

 信雄は自分の家来にこのことを命令した。この時、天野佐左衛門尉、柘植三郎左衛門尉は田丸城の門外でこの暗殺計画について話をした。

 誰も聞いていないと思っていたのに、なんと下女が扉の陰で立ち聞きをしていた。暗殺計画を聞いた下女は皆にしゃべってしまった。

 知られてしまっては仕方がない。急遽、計画を実行せねばならなくなった。

 

 大事な秘密の話は口に出してはいけないものだ……。

ちょっと訳し方が自信がない。

信雄の小姓が「小鳥を刺す」とありますが、ものすごい動体視力じゃないですか?小姓、何者だよ! 

この「刺す」という言葉、底本では「指す」になっているんですよね。もしかしたら、小姓は刺したのではなく指さして何か言ったのかな?なんて思います。

小姓に暴力をふるわれて激怒した信雄。


そして、領地を欲しがって父親の命令書にない大河内家もターゲットにしてしまう信雄。信雄といえば、頼りないキャラクターとしてドラマや小説では描かれることが多いですが、勢州軍記ではちゃんと戦国武将をしているのです。できる男なのです、信雄は。




令和元年8月1日追記

感想欄にて読者様から「小鳥を指す」についてご指摘いただきました。

小鳥は鷹の餌であり、その餌を勝手に他所者が獲るのは非礼であるのではないか、とのこと。


ご指摘いただいて、ネットで検索しましたら、江戸時代の例ではありますが、鷹の餌を用意する役を「餌指」と言う例を見つけました。


底本にある「小鳥指」とは「鷹の餌となる小鳥を獲った」という意味なのでしょう。

謎が解けました。他人の敷地に入って勝手にそんなことしたら、怒られますね。



高村様、ご指摘ありがとうございました。

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