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『勢州軍記』著者 神戸良政について

信長の伊勢攻めについて訳す前に、著者の神戸良政先生についてちょっと紹介いたします。

※画像入れています。

『勢州軍記』の著者、神戸良政(能房)


 神戸先生の人生を 勢田道生氏「神戸能房編『伊勢記』の著述的意図と内容的特徴」、榊原千鶴氏「牢人神戸良政の著述活動──近世初期にみる『平家物語』享受の背景──」(『平家物語 創造と享受』所収)を参考にして紹介します。


 神戸先生は、慶長十四(1609)年ごろ、会津で誕生します。関ヶ原の戦いが慶長五(1600)年ですから、織豊期を生きた人たちから見たらかなり下の世代ですね。


 お父さんである政房は会津藩の蒲生家に仕えていました。しかし、蒲生家の転封によって、伊予に移ります。この時、神戸先生は十五才くらいでしょうか。

 藩主蒲生忠知の死後(寛永十一(1634)年)、まあ色々あって蒲生家は断絶してしまい神戸先生は牢人(浪人)になってしまいます。

 

(ちなみに、北畠家をのっとった織田信雄は四年前の寛永七(1630)年に亡くなっています。信雄がもう少し長生きしていたら、神戸先生は信雄にも取材をしたかったんじゃないかな、なんて私は妄想します。)


 牢人となった神戸先生は父の故郷である伊勢に移りました。そこで『勢州軍記』『勢州兵乱記』を著します。(榊原千鶴氏によれば執筆後に能房に改名したのではないか、とのこと)

 寛永十五年、『勢州兵乱記』を紀州藩主徳川頼宜に献上します。後に紀州藩への仕官が叶ったようです。牢人生活から脱出できた。゜(゜´ω`゜)゜。(参考榊原氏p163)

 

 


 『勢州軍記』『勢州兵乱記』の執筆モチベーションは何だったのか?

 

 信長記にある伊勢攻めに関する記述に納得いかなかったようなんです。

(参考榊原氏p170より)


『勢州軍記』の序文において神戸先生は伊勢人たちの『信長記』に対する不満を述べています。そこが一番大事なところ。私の現代語訳では飛ばしちゃったんですけれどね!


 信長側の記録では神戸先生の先祖「神戸友盛」の活躍が書かれておらず、榊原氏は「それこそが良政にとっての最大の不満ではなかったか」と指摘しています。

 『勢州軍記』では「神戸友盛」の活躍が書かれています。「神戸友盛」といえば信長の息子「信孝」の養父ですね(榊原氏p172)。 友盛のことが省略されてるなんて…

 また、蒲生家の関連もちゃんと書いておきたかったみたいなんです。

 信長の観音寺城攻略のとき、蒲生家を説得したのは「神戸友盛」であると『勢州軍記』は記しています。友盛のおかげで蒲生家は存亡の危機を回避したと言えます。しかも、『勢州軍記』にはこの時の鶴千世丸(後の蒲生氏郷)と信長の出会いのエピソードが記されているのです。

 神戸良政先生のお父さん、政房は蒲生家に仕えていましたね。かつての主家・蒲生家のことを神戸先生は書いておきたかったのかもしれません。

 

 


 さて、話は変わって、神戸先生が一時期、伊勢山田(現在の伊勢市の外宮の近辺)にいたかもしれないという説を紹介します。

 勢田道生氏によると慶安二(1649)年から承応二(1653)年の間に伊勢山田に在住していて豊宮崎文庫に関わっていたのではないか?とのこと。


 豊宮崎文庫にある資料を調べたりしていたのかな、なんて私の妄想がはかどります。


挿絵(By みてみん)


先日、久々に伊勢に行ってきました。


豊宮崎文庫の桜が綺麗に咲いていました。


挿絵(By みてみん)




※画像の門があるところは自動車の往来が激しい道路に面しています。見に行く際はお気をつけください。









 

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